Webデザインの間違い・トップ10-違反者は誰?

前回のAlertboxでは、私が3年前に書いた「Webデザインの間違い・トップ10」を取り上げ、この3年間のWeb技術、およびユーザビリティの進歩という観点から再評価してみた。私の結論はこうだ。10カ条の間違いは、今なお間違いであり、避けるべきだ。

幸い、大手Webサイトのほとんどは、大部分の間違いを回避している。著名なサイトを20選んで調査してみたところ、平均して上記リストの16%に違反しているということがわかった。言い換えると、平均的な大型サイトは、Webサイトの間違いトップ10のうちで、違反している項目は2つ以下ということになる(残念ながら、小さな企業が運営する新しいサイトの方が、ここで議論している大型サイトよりもたくさんの違反をしていることが多い)。

デザイン上の間違い 違反率
ダウンロードが遅い 84%
標準的でないリンク色 17%
たくさんスクロールしなくては
ならないナビゲーションページ
15%
自動スクロールするテキスト、
またはループするアニメーション
12%
フレーム 11%
孤立ページ 10%
最先端のテクノロジー 7%
複雑なURL 6%
ナビゲーション支援の欠如 4%
情報が古い 1%
平均 16%

この表は1999年5月時点での各間違いの平均発生率を示したものだ。この表は違反率を示したものなので、数字は小さい方がよい。20の大手サイトそれぞれについて、各デザイン上の間違いを犯していないかを調べ、その違反の程度を判定した。ホームページや、人気のあるページでの違反は、副次的なページでの違反よりも大きくカウントした。違反の発生が恒常的だったり、激しかったりした場合は、まれに発生する場合、違反の程度が軽微な場合よりも大きくカウントした。

当然ながら、非常に大規模なサイトでは、全ページを見て評価するなんて無理だから、サンプルをもとにスコアをつけている。大手サイトでは、私がたまたま目にしたもの以外に、古くなった情報をサイト内部にたくさん隠し持っているに違いない。そのため、「古びてしまった情報」についての得点は、過小評価になっているかもしれない。

大企業 vs. 人気Webサイト

何10億ドルもの売上を誇る大企業のWebサイトには、人気Webサイト(たくさんのトラフィック得ているサイト)と比較して、実質的に、より多くの間違いが発見された。

  • 大企業10社を平均した場合の違反率は、20%であった。
  • 人気Webサイト10を平均した場合の違反率は、13%であった。

Webデザインの間違いトップ10に関して、もっともトラフィックの多いサイトが並外れて違反率が低いというのは偶然ではない。話はまったく逆で、これらのサイトは使いやすかったから、これだけのトラフィックを得られるようになったのだ

大企業の中でもっともよいサイトはIBMのものであり、違反率は11%であった。IBM、おめでとう。確かに、他の大企業をIBMと同列に論じるのは、少しアンフェアかもしれない。ある意味では、IBMはインターネット企業でもあるからだ。

もっとも人気の高いWebサイトのうち、ベストの成績を収めたのはGoで、違反率はたったの6%。だが、他の大手「ポータル」サイトもGoのすぐ後につけていて、Yahoo、Excite、Lycosのすべてが、違反率8%というかなりの好成績を挙げている。

企業サイトと人気サイトの違いで、もっとも顕著なのは以下の各点である。

  • ダウンロード時間:企業ホームページのダウンロードは、カタツムリの動きを見ているようだ。平均で19秒もかかった。一方、人気サイトのホームページは、平均8秒でダウンロードできた。この時間は、週末のISDN回線で測定した数値だ。アナログモデムのユーザなら、なおさら厳しい状況になるはずだ。
  • フレームに関して、企業サイトの違反率は21%だったが、高トラフィックのサイトにはまったく見られなかった。

サイトの選択

大企業のサンプルとしては、1998年の年間売上高が最大だったアメリカ企業11社のうちから10社を選んだ。このデータはForbesの1999年4月19日号に掲載されたデータにもとづいている。すぐにわかることだが、これら大企業のうち、Philip MorrisはWebサイトを持っていない(訴訟関連のサイトを除く)。そのため、私は同社をリストから外し、代わりに11番目の企業と差し替えた。これら企業のすべてが、500億ドル以上の年間売上高を誇っている。

対象となった大企業は以下のとおり。General Motors、Ford、Wal-Mart、Exxon、General Electric、IBM、Citigroup、Boeing、AT&T、それにBankAmerica。

「大企業」の指標として私は売上高を選択したが、株式評価額という選択肢もあった(大企業のリストには、こちらを用いることが多い)。だが、インターネット関連の株価は変化が激しく、これに影響を受けたくはなかった。また、株価というものは将来その企業がどれくらいの規模になるかという予測値であって、現状を評価するものではない。

人気Webサイトとしては、もっとも多くのビジターを集めたサイトを10サイト選択した。選択にあたっては、Media Metrixの1999年4月の調査結果を基準にした。リストアップされたサイトは、いずれも月間1400万以上のビジター数を誇っている。原則として、「ユニークビジター数」をサイトの人気指標に採用するのは、私はあまり賛成しない。常連ユーザの数や、ページビューの方が、指標としてはもっといいと思っている。だが、残念ながら、こういった数値の推定値を見つけることができなかった。

人気サイトは以下のとおり。AOL.com、Yahoo、MSN、Go、GeoCities、Netscape、Excite、Microsoft、Lycos、それにAngelfire。

1999年5月16日