UXデザイン実現のためのプロセスをまとめた『UXデザイン入門』

この本では、UXデザインの必要性やメリットが分かりやすく整理されています。またUXデザインに必要な調査・分析方法についても具体的例が豊富に紹介されており、UXデザインについての基本を再確認することができる本です。

UXデザインがなぜ必要か

本書では、ユーザーインターフェイスを利用する際に混乱する原因として、ユーザーの「脳内モデル」と開発者の「実装モデル」に乖離があることを指摘しています。

ユーザーが心の中で描いている「脳内モデル」に対して、開発者が好んで用いるのは「実装モデル」です。開発者は背後にある仕組みに精通しているので、全てを制御できる実装モデルを好み、これをユーザーにも提供しようとします。しばしばこれがユーザーを混乱させるのです。

特に、ユーザーにとってこれまでの経験を活かして予測することができないUIであるほど、混乱の度合いは大きくなってしまいます。従って、新規性の高いサービスやプロダクトの開発にこそ、UXデザインが必要であるといえます。

ユーザーと利用状況を把握する方法とは

優れたUXを提供しうるUIを設計するためにデザイン調査(ユーザー調査)が必要であると述べられています。

デザイン調査においては、ユーザーの現状(”asis”)として、既存のシステムの枠組みにおけるユーザーの利用実態、脳内モデル、顕在的な不満や要求を明らかにしていきます。しかし、1点だけ注意しておくことがあります。それは、デザイン調査は、既存のインターフェイスのユーザビリティを向上させるために行うものではないということです。

本書では、デザイン調査(ユーザー調査)の考え方に加え、実際に調査を行う際に気をつけるべきこと、調査対象となるユーザーの決め方、調査手法の選び方、調査実施のプロセスについてもまとめられています。

実際に調査を行う方だけでなく、弊社のような調査会社へ調査を依頼する立場にある方にとっても参考になる情報かと思います。

ペルソナ・シナリオの作り方

本の後半では、ペルソナ・シナリオの作り方についても解説されています。デザイン調査によって得られた情報をどのように扱い、どのような情報をペルソナ・シナリオとして落とし込むか、どのように活用してUIを設計するかについてまとめてあります。

これまで独自のやり方でペルソナ・シナリオを作った経験のある方は、そのやり方や作成目的について今一度確認するために大変役に立つのではないでしょうか。

特に、「主役ペルソナ」と「脇役ペルソナ」の取り扱いについては、日頃からペルソナを利用している方であっても見落としがちであるため、しっかりと押さえておきたいポイントです。

主役ペルソナの決定の仕方ですが、これはデザイン上の議論ではなく、製品戦略上の議論となります。自社の戦略や強み・弱み、市場規模などを基に主役ペルソナを決定します。主役ペルソナは必ず、1名に絞る必要があります。主役ペルソナが複数名いると、主役ペルソナ同士の要求が競合した場合にプロジェクト関係者の間で意見がまとまらず、デザイン上の意思決定が上手くいかなくなってしまうためです。
(中略)
次に、脇役ペルソナ固有の要求を考慮するタイミングとやり方について簡単に説明します。まず、脇役ペルソナの存在はいったん忘れておき、主役ペルソナのためだけにデザインします。そして、主役ペルソナの満足度を下げないように注意しながら、脇役ペルソナ固有の要求をデザインに組み込みます。

まとめ

このように、UXデザインの必要性から始まり、それを実現するために必要なプロセスについても順を追って説明されています。また、各プロセスごとにそのプロセスの意義、留意しなければいけないポイントがまとめられているため、UXに関わる多くの方におすすめの書籍です。

書籍情報

UXデザイン入門
ソフトウェア&サービスのユーザーエクスペリエンスを実現するプロセスと手法

著者: 川西 裕幸、栗山 進、潮田 浩
発行日: 2012年1月30日
出版社: 日経BP
ISBN: 4822296105 / 978-4-8222-9610-0
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終わりに

株式会社イードでは、ユーザー調査の設計から実施、分析、ペルソナ・シナリオの作成まで幅広くご提供しています。本書に記載されている調査手法に関しても、ノウハウが豊富にございます。また、ワークショップのご支援も行っておりますので、調査やワークショップをご検討の方は是非お問い合わせください。

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執筆:株式会社イード リサーチ事業本部HCD事業部 宮内

公開: 2015年10月9日
著者: U-Site編集部

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