Cドライブのあり方

  • 黒須教授
  • 2003年2月10日

Windowsを使っていると、一般的な機器構成の場合、Cドライブのハードディスクにはシステムやアプリケーションソフトがインストールされる。データ、つまりMy DocumentsもデフォルトではCドライブに設定されるのだが、最近は、データの安全性を考慮して、ハードディスクをもう一つ追加し、そちらにMy Documentsを持っていくケースが増えているようだ。要するにシステムがウィルスに汚染されたりしても、データは安全、というわけだ。システムやアプリケーションは再インストールの手間さえかければ復元できるが、データはそういかないので、そうしたやり方は自衛策としては自然なことだろう。

追加したハードディスクにデータを移動するもう一つの利点は、パソコンのグレードアップと関係している。私は平均して毎年パソコンを買い換えている。自宅と研究室でデスクトップを使い、移動した時のためにノートを使っているので、都合三台を買い換えていることになる。相当な出費になるが、自宅のデスクトップ以外は、職場の資金で購入しているので、個人的負担はそれほどでもない。

そうした場合、それまでに溜まったデータを新しいマシンに移動しなければならなくなる。ノートの場合は二台のハードディスクを内蔵できないので、外付けのドライブを経由して移行することになるが、デスクトップの場合は、データ用のハードディスクを取り外し、それを新しいマシンにセカンドドライブ(スレーブ)として取り付ける。そうすれば、My Documentsのドライブ設定を変更するだけで、新しい環境で、元のデータをそのまま使うことが出来る。だから、Outlook Expressのデータなど、データの類は基本的にいつもスレーブにあるMy Documentsの中にいれることにしている。もちろん、最近のハードディスクの大型化にともなって、60GBから80GBへ、80GBから120GBへと付け替えることもあり、その場合は仕方なく、USB2を使った外付けHDにいったんMy Documentsを移動して、そこから新しいデータ用のスレーブのハードディスクにデータを再移動することになる。

長々とデータのことについて書いたのは、データについては、まあそれでいいだろう、仕方ないだろうということなのだ。比較的簡単な手順で以前の環境を復旧できるのだから。

問題はシステム側である。まずはアプリケーションについて。私のように沢山のアプリケーションソフトをインストールしている人は少ないかもしれない。私の場合は、ソフトウェアのユーザビリティを検討するのも研究の一つの目的なので、たとえば地図ソフトでも、デジカメ用ソフトでも、翻訳ソフトでも、同じ目的のソフトを複数インストールしている。まあ、その意味では例外的なユーザなのかもしれないが、それでも一般ユーザの場合でもかなり多数のアプリケーションをインストールしていることは多いだろう。しかるに、新しいマシンに切り替えた場合、現状では、すべてのソフトを再インストールしなければならない。昔々のアプリケーションと違って、最近はインストーラが完備されているので、ユーザとしては、あるアプリケーションに関連して、どのようなファイルがどのような場所にインストールされたかを認識できていない。だから、システムファイルを書き換えたりしているソフトもあるのに、その実態を把握できていない。そうなると、Cドライブをそのまま移動することができない。OSはハードウェアのコンフィギュレーションに応じて設定されているため、マザーボードなどのハードウェア構成が変わると、そのたびにインストールしなければならないからだ。

アプリケーションと同様の問題はシステムの設定についてもいえる。現在はほとんどのマシンでWindows XPを使っているが、デフォルトの設定で使う気にはなれないので、相当あちこちをチューニングしている。これを改めて新しいマシンで設定しなおすのは、かなり注意力と根気を必要とする作業だ。

そこで提案である。システムドライブの中で、ハードウェアに依存する部分と、それ以外の部分をモジュール分割し、後者については、単純なコピーで新しいマシンに移行できるようにできないものだろうか。そうすれば、OSのインストールは避けられないものの、それ以外のすべて、データもプログラムも、以前の環境をコピーないしは換装だけで対応させることができ、新しいマシンへの移行作業が相当楽なものになる。このように作業を効率化できれば、私のように高い頻度でマシンを買い換えているユーザばかりでなく、一般のユーザにとっても新しいマシンへの移行が効率的で楽なものになり、ひいてはパソコンの売り上げ増につながるかもしれない。OSメーカーさん、どうでしょう。真剣に考えてみてはくれないだろうか。