ウェブユーザビリティ評価スケール

ウェブユーザビリティ評価スケール(Web Usability Scale; WUS)とは、富士通とイードが共同で開発した、ウェブユーザビリティを定量的に評価するためのアンケート評価手法です。

ウェブユーザビリティに関する21項目について5段階評価質問を行い、それらの質問から生成される7つの評価因子でウェブサイトのユーザビリティを評価します。

WUSの7つの評価因子

  • 内容の信頼性
  • 役立ち感
  • 操作のわかりやすさ
  • 構成のわかりやすさ
  • 見やすさ
  • 反応のよさ
  • 好感度

WUSの調査手順

ウェブユーザビリティ評価スケールとインターネットアンケートを組み合わせると、効率的な調査が行えます。WUSを使った調査手順は以下の通りです。

  1. Eメールやバナーを使って、回答者に調査協力を依頼する。
  2. 回答者にタスク(課題)を提示し、評価対象のウェブサイトを実際に利用してもらう。
  3. タスク実行を確認するため、タスク完了確認質問を行う。
  4. WUSの質問21項目に回答してもらう。
  5. WUS評価因子得点を計算する。

ケーススタディ: WUSを使った、情報提供サイトの比較分析

背景と目的

主に女性の利用を想定した情報提供サイトAでは、アクセス数、会員数が伸び悩んでいました。満足度調査の結果も芳しくなく、カスタマーセンターへの問い合わせなどを分析した結果、ユーザビリティ面に問題があるのではないかという仮説を立てました。

競合サイトと比較したユーザビリティ上の問題点を把握し、サイト再設計の方向性を明らかにするためにウェブユーザビリティ評価スケールを用いた調査を行いました。

調査概要

調査手法 ウェブユーザビリティ評価スケールを用いたインターネットアンケート 有効回答者数 1サイト当たり約150人

分析結果

ウェブユーザビリティ評価スケール7因子のレーダーチャートは以下のようになりました。

ウェブユーザビリティ評価スケール7因子のレーダーチャート
  • 情報提供サイトにとって最も重要である「役立ち感」に対する評価が高くありません。提供しているコンテンツが、ユーザーニーズに適合していない可能性がありそうです。
  • 「構成のわかりやすさ」の評価も低いので、ナビゲーション等を改善したほうがよさそうです。
  • 消費者向けサイトでは「好感度」も重要です。ビジュアルデザイン面でも改良を行うべきでしょう。
  • 一方、同種サイトで最大手のCは、ほぼすべての因子でサイトAを上回り、またバランスがよいことが分かります。

まとめ

ウェブユーザビリティ評価スケールにより、サイトAは競合と比較して、役立ち感、構成のわかりやすさ、好感度などに問題があることが明らかになりました。

その後、サイトAでは全面的なリニューアルを行うために、再設計プロジェクトを立ち上げ、ユーザーニーズに基づきコンテンツ、デザイン、ユーザビリティを改善しました。

WUSは、短期間・低コストでユーザビリティ定量調査が行えるので、サイトの現状把握、競合分析、再設計の効果測定などに有効な評価手法です。

参考文献

WUSをお使いになりたい場合

弊社ではこの手法を用いたウェブサイトなどの評価を承っておりますが、ウェブサイトなどを開発なさっている方自らが本手法を用いて評価することを制限するものではありませんので、ご自由にお使いください。上のリンク先PDFファイルを参考にしていただければと思います。

学術研究でお使いになる場合は、上の参考文献の情報をご記載ください。