ソフトウェアの登録番号のあり方

ソフトウェアは違法なコピーを防ぐ目的で、その多くが登録番号(シリアルナンバー)による認証の仕組みを取り入れている。それはそれでいい。昔に比べてソフトウェアの価格が1/10以下になってきているため、購入価格が理由となる違法コピーの動機付けは低下してきていると思うものの、いまだに違法コピーは後を絶たないからだ。

しかし、そこにはいくつかの問題もある。

(1) インターネットによる認証

MSのWindowsやOfficeのように、インターネットによる認証を行わないと一定期間しか利用できないという仕組みはたしかに優れている。これなら事務所などで一つのパッケージから多数のパソコンにインストールしようとする悪巧みを防止することもできる。

トレンドマイクロのウィルスバスターのように、後からメールで番号を送ってくるものも多い。これは手間が面倒くさい。なぜMSのようにワンパスで登録が完了するようにしなかったのか。

しかしこのやり方、時間が経過してから新しいパソコンにソフトをインストールしようとしたとき、当の会社がつぶれてしまっていては困ったことになる。僕も最近、それを経験して、以前のパソコンから認証済みの実行モジュールをコピーしようとしたけど、うまくいかなった。正規の価格で正規の製品を購入したユーザに対して、これでは困る。インターネット認証も万能ではないのだ。

(2) 認証のタイミング

多くのソフトはインストール時に認証番号の入力を要求する。しかし、たまに最初の起動時に入力要求をするものがある。その時に認証番号が分かればいいのだが、出先ではそれができない。認証は絶対にインストール時に行わせるべきだ。

(3) バージョンアップ時の認証要求

バージョンアップをしようとした時に認証番号の入力を求めたり、インストールに使ったCDROMの挿入を求めるソフトがある。Acrobatでは「Adobe Acrobat 6.0 Standard – Japaneseディスクを挿入し[OK]をクリックします」というメッセージがでてくる。しかしその時にCDROMが手近にあるとは限らない。僕はあまりにも購入したソフトの数が多いので、それは自宅とは別の場所に保管している。まあそれは例外としても、荷物整理をきちんとしていて、すぐにCDROMが見つけ出せる人は多くないのではないだろうか。後で必要になるモジュールがあるのなら、最初にインストールしたときにそれもロードしておくようにすべきだ。

(4) 長すぎる認証番号

WindowsやMS Officeでは、インストール時に25桁の英数文字を入力させる。これは過剰なほどに長い。英数文字は26+10で36文字ある。36の25乗の数といったら、もの凄く大きな数だ。総務省統計局のデータによると、全世界の人口は2004年の推定で6,148,000,000人。2030年の予測で8,130,000,000人。しかるに36の7乗だけでもう78,364,164,096となり、2030年時点で全世界の人口の10倍近い数値になる。いったい25桁という設定はどのような考えによって出てきたものだろう。

(5) 複数の認証番号

Statisticaというソフトでは15桁のシリアルナンバーの他に、10桁の製品ID、さらには12桁のCD Keyなる英数文字を入力させる。実に煩雑だ。製造側にとっては意味のある数字かもしれないが、ユーザにとっては意味がない。

(6) 製造番号の入力要求

周辺機器のインストール時に、機器の製造番号を入力させるような仕組みを使っているモノがある。ユーザとしては別にそうしてもかまわないのだが、レーザプリンタのように大きなものだと探すのが大変。しかもそのシールが本体の下面に貼ってあったりすると本体を持ち上げたりひっくり返さなければならない。すでに使っていた機器を新しいパソコンで使えるようにする場合には、その機器は棚などに設置してあって、あるいは上にモノが置いてあったりして、裏を見るのも一苦労だ。もしドライバーソフトのインストール時に入力が必要になるのだったら、そうしたシールは機器前面に貼ってあるべきだ。

しかもその文字がiPODのように小さかったり、背景とコントラストがついていないため、拡大鏡を使っても読み取るのが困難な場合がある。工業デザイナーもそのあたりについては配慮して欲しいものだ。

このように、現在の認証の仕方には不合理と思われる点が多々ある。こうしたこともユーザビリティとしては重要なポイント。利用者の状況をも考慮して、是非とも改善をしてもらいたい。

公開: 2006年4月10日
著者: 黒須教授