Booの終焉
※『Alertbox: この5年間を振り返って』への補足記事
2000年5月18日のBBCの報道によると、Boo.comが倒産したそうである。いい厄介払いだ。Booは、ここ数ヶ月に立ち上がった大型サイトの中で、私の唱えるデザイン原則をあえて無視し、ユーザビリティよりも見た目の派手さを追い求めた数少ないサイトのひとつである。
アナリストの中には、他のeコマースサイトもBooの道連れになるのではないかという人もいるが、私はそうは思わない。Booが崩壊したのは、eコマース自体に欠陥があったからではないからだ。
- そのサイトが追求していたのはシンプルさか、それとも複雑さか?使いやすいサイトを作るためのガイドラインを守っているか、いないか?
- そのサイトには、確固とした方法論に裏付けられた信頼に足るユーザビリティ戦略を持っているか?それとも「迷信的ユーザビリティ」手法に頼っているのか?
もしこの2点がビジネスプランに明確に掲げられていないようなら(あるいは、掲げられていてもそれが間違ったものである場合は)、あなたの投資は無駄になる可能性が高い。ユーザはそんなサイトを受け入れないからだ。
Boo短評(1999年12月執筆)
Boo.comは自意識過剰だ。このサイトは、ショッピングをしやすくすることよりも、ぎごちないインターフェイスで人の邪魔をすることばかり考えている。商品を売ることよりも、デザインを見せつける方が大事だとでも言うのだろうか。ただし、言語とショッピングの両面で18カ国を同時にサポートしたサイトを運営しているという点では、Booは誉められてよい。
- 画面汚染:Booは、何が何でも自分たちのウィンドウを何個も開きたいようだ。私の手元のブラウザは「ブックマークをつけるのでなければ、このページにはもう何も起こりません」というメッセージを表示したまま開きっぱなしになっている。しかも、こうやって無理やり開かれたウィンドウはすっかり固定されていて、リサイズすることもできないし、フォントの大きさも変えられないようにしてある。
- 端的に言って、このサイトは遅くて不愉快だ。あらゆる製品情報が小さなウィンドウに無理やり詰め込まれている。製品の説明には、わずか1インチ四方ほどのエリアしかない。ほとんどの製品の説明文は、こんな小さなエリアには収まりきらない。そこでBooは標準的とは言えないやり方をとり、20語ずつスクロールさせて残りのテキストを読むようユーザに強要する。欲しい製品にたどり着くには、階層式メニューを正確に操作し、次いで極小サイズのアイコンをクリック、横スクロールもしなくてはならない。けっこうなものとは言いがたい。
- ショッピングアシスタントのミスBoo:彼女はMicrosoftのBobよりはかわいげがあるが、邪魔っけなことには変わりない。確かにウェブサイトにはパーソナリティが必要だ。だが、ここでいうパーソナリティとは、本物の意見と、本物のアドバイスができる本物の人間のことなのだ。このサイトのマガジンコーナーでは、実験的なインタラクティブコンテンツを掲載しているが、そっちの方が私は好みである。
- boobagって何だ?それは、ショッピングカートのことである。ただのカートではない。中に製品のミニチュア写真が入っているのだ。アイテムをマネキンに着せてみて、コーディネイションを見ることもできる。ただし、たっぷりマウスドラッグして、低レベルのインターフェイスと付き合うはめになるが。
2000年5月28日