定性的なユーザー調査を通じて得られたユーザー行動データを構造的に分析することで、ユーザー行動の背景やそこに隠れた潜在的ニーズを抽出します。

ワークモデル分析とは

ワークモデル分析とは、ユーザー調査を通じて得られたユーザーの行動に関するデータを、5つの視点によるモデル化を通じて構造的に解釈することで、ユーザー行動に対するより深い理解を得る方法です。
エスノグラフィーやコンテキストインタビュー(Contextual Inquiry)などのユーザー行動にフォーカスした定性調査で得られたユーザー行動データは、そのままでは人それぞれ解釈も異なりますし、なぜユーザーがそうした行動を行うのかという理由や、行動要素個々の関係性が見えず、潜在的ニーズを見落とす可能性があります。ワークモデル分析を行うことではじめて、調査で得られたユーザー行動データの有効な活用が可能になります。

何ができるか/ご利用想定シーン

  1. ユーザー行動構造の図式化
    テキスト形式の発言録やビデオデータのままでは把握が困難なユーザーの行動とその背景を、ワークモデルとして図式化・構造化しながら解釈します。図としてモデル化された情報には、行動とその背景となる要素の関係、行動間の関係性が一目でわかるように表現されます。それによりユーザー行動の背後に隠れたニーズの把握やメンバー間での活発な議論が可能になります。
  2. 複数のユーザーの行動の比較が容易
    ユーザー行動をモデル化することのもう1つのメリットは、異なるユーザーの行動を視覚的に比較できるようになることです。テキスト情報を扱うのに比べ、視覚情報ではパターンの類似/差異を見つけやすくなり、行動やその背景の類似・相違によるユーザーのセグメント化が行いやすくなります。
  3. インタラクション・デザインにおける要件の発見が可能
    ユーザーの利用行動を利用対象物や利用環境との相互関係として把握するワークモデル分析の一番の利点は、何が現在のインタラクションの問題なのか、その問題の直接的な要因はどこにあるのかを分析できる点です。これにより、ヒトとモノとのインタラクションが数多く発生するデジタル機器のデザインの要件を抽出することが可能です。

イードのワークモデル分析の特長

  1. 5つのワークモデルによる分析
    ユーザー行動の分析は、以下の5つのワークモデルの作成を通じて行います。

    • フローモデル
      ある仕事が複数の人間で分担された場合の必要なコミュニケーションの流れを示すモデル。
    • シークエンスモデル
      特定の人の行動がどのような手順で行われたかを時系列で表すモデル。
    • アーティファクトモデル
      特ある仕事を行うなかで人が利用する人工物や、ノートやメモなどを作成して利用する情報に関して記述するモデル。
    • 文化モデル
      利用者が生活や仕事を行う環境において、利用者の行動に影響を与える人やルール、その影響範囲を書き込んだモデル。
    • 物理モデル
      利用者や生活や仕事を行う物理的な環境について考察するモデル。
  2. ワークショップ形式での分析作業
    • インタープリテーション・セッションと呼ばれるワークショップ形式での分析作業を通じてユーザー経験をメンバー間で共有します。
    • メンバー自身が深くユーザーのことを理解する過程を経ることで、メンバーそれぞれが想定するユーザー像にブレが生じにくくり、仕様の決定やデザインの方向性を決める議論がスムーズになります。

利用例・向いているテーマ

主に以下のような製品・サービスの企画・設計時のユーザー視点からのコンセプト作成、要件抽出に利用いただけます。

  • デジタル機器、ソフトウェア、Webサイトなど、ユーザーとモノとのインタラクションの設計が必要なもの
  • 市場に存在していない、あるいは、まだ製品カテゴリー自体が未成熟な分野におけるイノベーティブな性格をもつ製品およびサービスの設計・デザイン
  • 人とモノ、人と人とのあいだに多くの関わりあいが発生するサービスのデザイン、ユーザーエクスペリエンスのデザイン

公開: 2015年9月3日
著者: U-Site編集部