UIデザインガイドライン策定
ユーザーにとって一貫性に欠けたUIは利用しにくく、結果的にアプリやサイトからのユーザーの離脱を招きかねません。ユーザーの利用目的と思考・行動を意識してUIデザインガイドラインを策定し、それに基づいてUIをデザインすれば、ユーザーの利用促進につながります。
一貫性に欠けたUIは、ユーザーにとって使いにくい
大規模な製品・サービスの開発では、大人数で分担して設計・実装を進めますが、そのような体制では、担当者によって微妙に異なるUI(文言・ビジュアル表現・挙動)になってしまうことがあります。また、サービス運用の期間が長くなると、その間のアップデートによって一部のUIが他と違うものになってしまうこともあります。
ユーザーは、同じ文言・ビジュアル表現であれば同じ挙動をすることを期待します。しかし、一貫性に欠けるとユーザーは混乱し、操作方法を学習することができず、操作の間違いや効率の低下が起こります(このようなことを「ユーザビリティが低い」と言います)。その結果、そのアプリやサイトの利用をやめてしまうことにつながります(「内部の一貫性」の問題)。
また、1つの製品・サービスの中では統一されたUIでも、一般的な慣習からはずれている、つまり、一般に普及し、ユーザーが慣れ親しんだUIと違っていると混乱が生じますし、その製品・サービス独自のルールを学習する手間も発生してしまいます(「外部との一貫性」の問題)。
実際、想定ユーザーに操作を体験してもらうユーザビリティテストや、ユーザビリティ専門家の経験則によるヒューリスティック評価といった手法で評価している際に、UIに一貫性が欠けていることが明らかになることがあります。この、UIにおける一貫性という原則は、ニールセンの10ユーザビリティヒューリスティクスでも謳われているとおり、ユーザビリティを大きく左右するものなのです。
デザインガイドラインを策定して、UIに一貫性を持たせる
アプリやサイトを一貫性のあるものにするために、自社内でこれまで開発してきたUIにおける文言やビジュアル表現をベースにまとめていくこともできます。
また、ユーザーはそのほとんどの時間を他の製品・サービスで過ごしていることを考えれば、その製品・サービス独自のルールをイチから決めていくのではなく、以下に挙げるような各プラットフォームのガイドラインや、デザインパターンに関する書籍などの情報を参考にするほうが、ユーザーにとってより使いやすいUIをデザインすることにつながります。
一貫性は、アプリやサイトの操作性だけでなく、UXやブランディングにも影響を与えます。1つの製品・サービスの中で、また企業全体で一貫性を持たせるには、UIデザインガイドラインの整備(さらに、それに沿ったUIデザインの実践)が必要です。
さらに、既存のルールやベストプラクティスに従うことで、設計・実装担当者がイチから考えなくて済む分、開発効率を上げる効果もあります。
ユーザーの利用目的や思考・行動を意識したガイドラインの策定
また、UIデザインガイドラインは単なるルールの羅列ではなく、「この製品・サービスは、ユーザーのどのような目的のためにあるのか」(提供する価値)と、それぞれの具体的なルールとを関連づけられるように記載します。
そして、UIデザインガイドラインを絵に描いた餅にしないためには、1つ1つの具体的なルールを、上に挙げた既存のガイドラインやデザインパターンなどの情報を参考にしながら策定します。さらに、これまでに実施してきた、ユーザー理解の調査やユーザビリティ評価で培った知識・ノウハウをガイドラインに盛り込みます。
UIデザインガイドラインは、一度策定してしまえばあとはそのままでよい、というものではありません。プラットフォームやユーザーなどの時代の変化に合わせてアップデートしていくことも必要です。また、策定したUIデザインガイドラインに沿って作成したUIが意図したとおりに機能するか、ユーザビリティテストで検証することも可能です。
実績
UIデザインガイドライン策定や、それに類するイードの実績としては、以下のようなものがあります:
- スマートTV UIデザインガイドラインの策定(家電メーカー)
- 自動車HMIのユーザビリティを評価するためのガイドラインの策定(自動車メーカー)
- スマートフォン向けサービスのUI品質評価基準書の作成(通信事業者)
- 各スマートスピーカーの対話デザインガイドラインに関する横断的調査(通信事業者)
- UI設計スキル向上のためのチェック項目・事例集の作成(家電メーカー) など