ユーザのメールボックスを守る

Eメールは顧客に接触するための強力な手段だ。だが、行き過ぎは危険である。あなたが相手側のメールボックスに配慮していることをあらかじめユーザに伝えておくこと。さもないと、彼らはEメールアドレスを開示してはくれないだろう。これではマーケティングと顧客サービスのための独自チャンネルを失うことになってしまう。

ユーザは自分のメールボックスに関して守りの姿勢を非常に強めている。このため、送信するEメールの本数は減らす必要がある。このことを大前提として、次の2種類のEメールで、顧客サービスを増強し購入量を増やすことができよう。

  • 受取りのEメール。購入後の顧客に送信する。この種のメールによって、システムが本当に発注を記録してくれたのかどうか不安に思うユーザの気持ちを和らげることができる。注文された品物を実際に発送した際に、2本目の通知メールを送信してもいいだろう。これは、オンライン世界が実世界よりも優れている面の一例である。実世界では、FedExの小包を発送したと伝える手紙を送っても意味がない。オンラインでは、Eメールが実際に小包よりも先に顧客の手元に届く。だから何かの役に立つのだ。
  • ユーザから要望のあったイベントに関する告知。例えば、Paris行きのチケット価格が500ドルを下回ったら知らせて欲しいというユーザがいるかもしれない。これもオンラインが「実世界を上回る」機能だ。実世界では、旅行代理店が継続的に取引状況を監視して、ごく少数の顧客だけが持つニーズに応えていくなどということは実行不可能である。

これらの実例に共通するのは、送られるEメールがスパムでないという点だ。それどころか、これらのEメールには特定のユーザの関心事が含まれており、それはユーザが自らが要求したか、もしくは知らせてもらいたいと思っていることなのだ。また、上記のイベントはいずれもEメールの「プッシュ」的性質の恩恵を受けている。いずれも時間軸上の一点で起こる出来事であり、顧客にメリットを与えようと思うなら、そのタイミングで顧客に届くことが求められる。

その会社がユーザの時間に敬意を払い、有益かつ適切なEメールだけを送るつもりいても、なお人々は怖がってEメールアドレスを提供したがらない。だが、下記のガイドラインに従えば、ユーザにEメールアドレスを開示してもらいやすくなるだろう。

  • ユーザが自分のEメールアドレスを入力するボックスのすぐ横に、プライバシー保護方針へのリンクを設ける
    • あるいは、保護方針が極端に短いものなら、その場に書いておく方が望ましい。
    • 法務担当者がプライバシー保護方針を書く場合、平均的読者向けの文章作法を心得た人間の手で確実にこれを編集しておくこと。
  • アドレスをどのように利用するつもりかを説明する(例えば、注文処理状況の告知のみ、など)。
  • 追加情報の受け取りに関して目立つ位置にユーザがオプトインするチェックボックスを設ける
    • チェックボックスのデフォルトは確実に空白にしておくこと。こうすれば、本当にオプトインするユーザだけがチェックを入れることになる。この法則を破って、オプトアウトするユーザにチェックを外させようとすると、チェックボックスを設けたこと自体がユーザの信頼を失うことにつながる。彼らの嗜好に敬意を払っていないものと見なされてしまうのだ。
    • それ以降に、どんなメールが、どれくらいの頻度で送信されることになるかを説明しておく。
  • ニュースレターを発行しているなら、サンプルへのリンクを設けて、その品質と内容を判断できるようにしておく。

最後に、ユーザにEメールを送信する際、それがユーザの要望に直接応えるものでない場合には、どうすれば解除できるか、そのやり方を必ず明確に示しておくこと。

2002年3月17日