ホームページユーザビリティの最重要ガイドライン10カ条
企業ホームページは、全世界に対する企業の顔であり、訪問ユーザの大部分にとっては出発点となる。ホームページを改善すれば、全体的なウェブサイトでのビジネス価値が倍増する。ホームページユーザビリティの主要ガイドラインに従う価値は充分にある。
ホームページは、世界でもっとも価値の高い不動産である。面積としては1平方フィートもないこの空間に、毎年、企業や個人が何百万ドルも投資している。理由はもっともだ。ホームページが企業の収支決算にもたらす影響は、単なるeコマースの売上よりずっと大きいからである。ホームページは、その企業の世界に向けた顔である。ビジネスを始める前に、相手企業の姿をオンラインでチェックするという見込み客は、今後ますます増えるだろう。この際、実際の売上がオンラインで完結するかどうかは問題ではない。
ホームページはほとんどのウェブサイトにとってもっとも重要なページである。また、閲覧される回数も他のページより多い。もちろん、ユーザがいつでもホームページからウェブサイトに入ってくるとは限らない。ウェブサイトとは、あらゆる窓がドアになっている家のようなものだ。検索エンジンや他のウェブサイトからのリンクをたどって、サイト内部奥深くにたどり着く可能性はある。だが、新たなサイトにたどり着いたこれらユーザが、まず最初にとる行動のひとつが、ホームページに行くことなのだ。直リンクは非常に有益だが、ホームページと違って、そのサイトの概観を与えることはできない。ホームページがユーザビリティガイドラインを重視していれば、これが実現できるのだ。
以下は、ホームページのユーザビリティを高めるための10カ条である。これにより、ウェブサイトのビジネス価値を高めることができるだろう。
サイトの目的を明確に:あなたは誰で、何をしているのか
1. ワンセンテンスのタグラインを入れる
ページの始めに、まずタグラインを置くこと。これは、そのサイトや企業が何をしているのかを要約したものとなる。あなたが新参者だったり、それほど名前も売れていないというのなら、特にこれは重要だ。名前をよく知られた企業でも、恐らく新規顧客は獲得したいはずだ。そのためには、初回の訪問客にサイトの目的を告げるべきである。あなたの企業の一般的マーケティングスローガンがあたりさわりのないもので、サイト訪問によって得られる利便性がうまくユーザに伝わらないような場合、よいタグラインをつけておくことは特に重要となる。
2. 検索エンジンやブックマークの中で目立つようなウィンドウタイトルをつける
TITLE タグは、まず企業名から始め、その後に簡潔なサイトの内容説明を置く。「T」や「W」の項目で埋もれたくないのなら、「The」とか「Welcome to」といった単語から始めないこと。
3. 企業情報はすべてひとつのエリアにまとめる
企業情報を探すというのが、ユーザのメインタスクになることはめったにない。だが、時には、あなたが何者なのかくわしく知りたいという人も現われる。サイトを通じて人事採用や、投資家関係、あるいは PR の向上を狙っているのなら、企業情報は特に重要だ。だが、同時にそれは、新しい、あるいはあまり有名でない企業が信用を高める上でも役に立つ。「<企業名> について」というセクションを設けて、ホームページだけでは伝えきれないくわしい情報へユーザを誘導するのが一番だろう。
ユーザが求めるものを見つけやすく
4. サイトの最重要タスクを強調する
サイト訪問時にユーザが行うメインタスクを 1 つから 4 つにしぼり、その出発点をホームページ上で明確にしておくこと。
5. 検索入力ボックスをつけておく
大規模なウェブサイトなら、検索は絶対に重要である。検索が必要になったユーザは、ホームページを見渡して「入力用の小さなボックス」を探すのが普通だ。よって、検索はボックスにしておくこと。検索ボックスの横幅は、少なくとも25文字分とっておく。こうしておけば、複数の単語を入力しても、検索語の一部が見えなくなることはない。
サイトのコンテンツを紹介する
6. 実際のサイトコンテンツの一例を提示する
ホームページ以下に含まれている内容の説明だけでは不十分だ。抽象的な説明よりも具体的な内容が重要。最良の、もしくは最新のコンテンツの一部を掲載しておこう。
7. リンク名は最重要のキーワードから始める
ユーザはページを上から下に流し読みして、当面の目的に役立ちそうなエリアを探そうとする。ホームページ上では、リンクはアクションアイテムとなる。関連性の深い単語をリンクの頭に持ってくれば、流し読みする人にとっても、ページ上の他のリンクとの違いがわかりやすくなる。このガイドラインの違反例としてよくあるのは、あらゆるリンクの頭に企業名を持ってくる例である。これではほとんど何の付加価値もないばかりか、ユーザがすばやく必要なものを見つける妨げになってしまう。
8. ホームページの最新フィーチャーにアクセスしやすくしておく
ホームページでフィーチャーされていた記事や、製品、プロモーションは、ユーザの記憶に残りやすい。だが、フィーチャーしていた内容がサイト内に移動してしまうと、たちまちどこにあるのかわからなくなる。主要なアイテムを見つけやすくするために、ホームページで最近フィーチャーしたアイテムを短いリストにしておく。ホームページでフィーチャーしたその他の全アイテムの保存版アーカイブへのリンクも付け加えておこう。
視覚デザインは、インタラクションデザインを定義するのではなく補強する方向で
9. ナビゲーションエリアなどの基幹コンテンツをフォーマットしすぎない
ホームページ上の重要アイテムは、イラストや枠取り、色などで念入りに作り込まないといけないように思うかもしれない。だが、ユーザはグラフィックを広告とみて無視することが多い。役に立ちそうに見えるホームページ上の他の部分に目を向けるようになるのだ。
10. 意味のあるグラフィックを用いる
素材集から取ってきたような画像でページを飾り立ててもしかたない。ユーザにとって興味あるアイテムを提示する上では、画像は強力なコミュニケーションツールである。だが、取るに足りない無関係なものと見なされた場合、かえって逆効果となる。例えば、たいていどんな場合でも、モデルの写真よりは、話題と実際に関係のある人物の写真を掲載した方がいい。
その他のホームページガイドライン
私の近著 Homepage Usability: 50 Websites Deconstructed (邦訳『ホームページ・ユーザビリティ ~顧客をつかむ勝ち組サイト32の決定的法則』 ISBN: 4-8443-5640-2 )には、ホームページデザインのユーザビリティガイドライン113カ条がすべてリストアップしてある。また、ユーザの期待に応えるために、ホームページの共通要素40点をいかにデザインすべきかという指針も提示してある。
2002年5月12日