誤ったEメールマーケティング=長期的な損害

Eメールニュースレターで十分パーソナライゼーションを行わないと、受け取り側にとっては無意味なものになり、長期にわたって築いてきた顧客との関係を傷つけてしまうことになる。

United Airlines は、つぶれて当たり前だった。それが、この企業が送ってきた極めて無能なEメールニュースレターを読んだ、私の結論だ。

一見そのメールは、それほど悪くはみえなかった。Eメールニュースレターのコンテンツと書式に関するユーザビリティガイドライン70 %に準じて書かれていた。他の多くの著名なニュースレターが、60 %台だということを考えると、立派なスコアだ。ほとんどの組織で、Eメールユーザビリティは、真剣に取り組まれていない。彼等はこう考えているのだろう:「Eメールのような単純なもののデザインが、どれほどの間違いを起こせるというのだ?」

これまでにユーザテストは、ニュースレターで 127 のガイドライン、確認メール用にはそれ以外に 73 のガイドラインを示してきた。このガイドラインの数からみても、沢山の落とし穴があることは間違いない。

罪状: 見当違いの内容

United のニュースレターの問題は、その中で行っていたプロモーションの内容だ。このEメールの目的は、常連客にマイレージを利用して提供できるフライトを案内するためのものだった。航空会社にとって最もありがたい常連客たちが、累積マイレージを使う困難さに対して怒りを募らせていることを考えると、論理的にみればこれは良いアイディアだ。

だが、現実は酷いものだった。下の囲いの中は、メールの中の本当の本文部分だ。ここまで辿り着くために、何画面分ものマーケティング用の文章を読み進まなければならなかった。

以下は 2005 年 11 月 1 日から 12 月 15 日までの期間、
マイレージでのご利用が可能なフライトの一部です。
11 月 18 日から 11 月 28 日まではご提供できない
フライトが一部ありますので、ご了承ください。

1. シカゴ(ORD)– マイアミ(MIA)
2. デンバー(DEN)– ニューヨーク(LGA)
3. ロサンゼルス(LAX)– コナ(KOA)
4. サンフランシスコ(SFO)– ボストン(BOS)
5. ワシントン DC(IAD)– モントリオール(YUL)

どこが間違いなのか、判っただろうか。どのようなユーザにとっても例として挙げられているフライトの 80 %が見当違いになっている。いくらフロリダの気候が素晴らしくても、シカゴからマイアミのタダ券に、サンフランシスコのベイエリアに住んでいる人は興味がないのだ。

航空会社はユーザの住所と、彼等がよく使う最寄りの空港を把握しているはずだ。ユーザごとに利用したがりそうなフライトを一覧にし、パーソナライズされたメッセージを送るのにあと必要なのは、些細なプログラミングだけだ。

今後のメールが打撃を受ける

パーソナライゼーション・ソフトウェアのベンダーたちが主張する万能薬は、パーソナライゼーションではないことは確かだが、このニュースレターが示すように、パーソナライゼーションを使わないことによって、悲劇が起きることもある。

沢山のEメールユーザビリティの調査から、絶対に学ばなければいけないことを 1 つだけ選ぶなら、それは受信箱の環境はウェブよりも過酷だということだ。人々はストレスを負い、新着メールの処理は瞬時に終わらせる。低い妥当性は、即削除を意味する。United のケースでは、フライト一覧の 4 つめの項目まで読み続ける人は、少ないということだ。最初の 3 つで時間の無駄だと感じて、このメールは捨てられることになる。

質の悪いメッセージを削除されることはもちろん、不幸な運命だ。しかし、そのような間違えたインターネット・マーケティングの長期的な影響は、さらに悪い。将来のニュースレターは開かれもしなくなるかもしれないのだ。ユーザがニュースレターの無意味さを学習してしまうと、貴方から送られてくるメールは全て無視されてしまうのだ。

Eメールニュースレターは、インターネットが提供する最良の顧客関係メカニズムだ。メール 1 通ごとに、顧客との結びつきを強くしなければならない。悪いメールは戦術的不運として簡単に片付けられない、致命的な戦略的失敗なのだ。

2005 年 10 月 31 日

公開:2005年10月31日(原文:2005年10月31日)
著者:Jakob Nielsen
原文:Incompetent Email Marketing = Lost Future Opportunities

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