ユーザインタフェースとしてのURL

  • URL as UI
  • by Jakob Nielsen
  • on March 21, 1999

この先もまだ数年間は、URLはウェブユーザーインタフェースの重要なパーツであり続けるだろう。このため、使えるサイトには以下の条件が求めらる。

  • 覚えやすくスペルも簡単なドメイン名
  • 短いURL
  • 入力しやすいURL
  • サイト構造を反映したURL
  • 手を加えやすい」URL。URLの末尾に手を加えることで、情報構造の中で上位レベルに移動できる。
  • 一定不変で永続的なURL

原理上、ユーザはURLについて知る必要はないはずだ。それは、マシンレベルのアドレス機構に過ぎない。だが実際は、ウェブサイトや個別ページにたどりつく仕組みの中で、ユーザは生のURLにさらされることが多い。

  • 行ったことのないサイトのドメイン名を当て推量する人がいる。可能なら、あなたの会社名とメインのブランド名については、ドメイン名を確保しておくべきだ。
  • 過去に行ったことのあるサイトでも、ブックマークや履歴リストを使わずに、そのサイト名を推測しようとしたり、思い出そうとしたりする人が多い。スペルが簡単で、覚えやすいドメイン名しておこう。
  • ユーザが誰かにウェブページを推薦したいと考えたとき、ウェブの社会的インタフェースになるのは電子メールである。電子メールは、新しいサイトを知る手段としては2番目によく利用されるもの(1番は検索エンジン)である。サイト上のあらゆるURLが、78文字未満に収まるよう気をつけよう。さもないと、改行が入って2行になってしまう恐れがある。
  • 手入力する人も少なくないので、URLは短い方がよい
  • URLの中では大文字、小文字を混ぜないように。その違いを覚えていられる人はいない。URLは全部小文字にしておく方がいい(ドメイン名が問題になることは少ない。なぜなら、この部分は大文字・小文字が関係ないからだ。ウェブサーバが、URLをリゾルブする際に大文字・小文字の違いを無視してくれるようになれば、ユーザビリティは向上するだろう)
  • スペルチェック機能のあるウェブサーバを利用しよう。タイプミスは避けられないが、これによるダメージを押さえることができる。

永続的なURLがリンクを呼び込む

他のウェブサイトからのリンクは、サイトを見つける手段としては、(検索エンジン、および電子メールによる推薦に次いで)3番目によく見られるものである。外部からのリンクがしやすいようにサイトを組み立てよう。

  • リンク切れは、商機を逸することに等しい。すべてのURLが永遠に生きていて、関連するページに結びついているようにしよう。
  • ページをあちこち動かさず、同一のURLにとどめておくこと。他のサイトの作者にしてみれば、これほど迷惑なことはない。彼らのつけたリンクが切れてしまったり、あるいはまったく違うページが出てきたりといったことは、元のページを移動したり、何か新しいものに入れ替えたりすることで引き起こされるのである。コラムその他、特別なコンテンツの最新版のURLを固定しておくことは、それなりに意味がある。だが、記事そのものは始めから永続的なURLに保存しておくべきだ。このURLをページにリストアップして、一時的な、あるいは変更の可能性があるURLから、このURLにアクセスできるようにしておくべきだ。

ドメインの最後は.comになっているべきか?

最近行ったアイスランドへの講演会ツアーで一番よく聞かれたのは、.comで終わるドメインを取ったほうがいいか、それとも自国のドメイン(.is)を取ったほうがいいか、という質問だった。

残念ながら、多くのユーザが、商業ウェブサイトの標準的な末尾は「.com」だと認識している。これは、ウェブの初期にアメリカが支配的な影響力を持っていた結果であるが、人気ブラウザの中には、自動的に名前の最後に.comを付加する補完アルゴリズムを備えているものもある。こういった状況から導かれる私のアドバイスはこうだ。

  • 英語を使ったサイト、およびそこで主張されている内容とユーザ層の観点から、明らかに全世界的といえるサイトに関しては、.comドメインを取得すべきである
  • その他の言語を使ったサイトでは、各国ごとに適切な末尾を持つドメインを取るべきだ
  • 主としてローカルな内容を扱ったサイト。すなわち、取り上げた問題のほとんどがローカルなものだったり、あるいはローカルな製品を販売していたりするようなサイトでは、国別ドメインを利用しよう。サイト上でどの国の言語を使っているかは関係ない

ローカルサイトでは、ローカルドメインを利用するようお勧めする。なぜなら、そのようなサイトに「国際的」なドメインである.comを使うのは、誤解の元だからだ。Eコマースその他でウェブを利用する機会が世界的に増加するにつれて、ローカルなドメインにはローカルなサイトが期待されるようになり、ローカルなサービスを探しているときに.comと入力するような人は減ってくるだろう。

ドメイン名は消えるかもしれない

今後3~5年もすれば、ウェブ上のサイトを見つける手段として、ドメイン名をメインに利用する人はいなくなるだろう。長期的に考えると、全世界の実体ひとつひとつを見分けるのに固有の名詞を要求するというのは、あまり適切なやり方とはいえない。人間の言語と言うのは、そういう風にはできていないのだ。

新しいトップレベルドメイン(TLD)を設置して、.shopのようなドメインを作ろうという提案は、ユーザビリティの観点からすれば、お粗末な解決策である。どの末尾がどんなサイトに結びついていたかは、そう簡単には覚えられない。新設して意味があると思われる唯一のTLDは.sexだ。これなら、望ましくない(あるいは、場合によっては望ましい)コンテンツにフィルタをかけるのは非常に簡単になる。

新しいアドレス手法は、曖昧さに対してもより寛容で、スペルが正確にわからなくても探しているものが見つかるようになっているはずだ。検索エンジンやディレクトリは初期的な試みであったが、当然、われわれにはもっとうまいやり方があるはずだ。

ウェブユーザは保守的なので、私たちは古いブラウザ、古いソフトウェア、長年の古い習慣にも配慮しなくてはならない。このために、よいドメイン名は、今後も長年にわたって重要なものであり続けるだろう。長いものでは、10年もの有効年数を残したドメイン名もあるだろう。

1999年3月21日