従業員時間のコスト総額

※Jakob Nielsenのコラム「ウェブ管理の間違い・トップ10」への補足記事

ユーザビリティの損益分析では、単に彼らの手取り給与額だけでなく、すべての経費を積算した上での時間経費を見積もるべきである。スタッフに1時間働いてもらうのに必要な経費は、その人の時給だけではなく、諸手当や、休暇時間や、設備費(オフィス空間、光熱費、掃除代、コンピュータ代など)、その他、その人の雇用にかかる数多くの経費を含めたものである。

原理的に、だめなユーザインターフェイスを使わせたことで浪費される時間のコストは、限界時間と考えるべきだ。よって、この時間コストはその従業員の平均時間コストではなく、彼らの時間の限界価値と勘定するのが理論的に正しい。よって、いわゆる快楽賃金モデルを利用せざるを得ない。実際には、限界価値がわかっていたり、簡単に算出できたりすることはめったにないから、平均値を用いるのが普通だ。従業員ひとりあたりの経費の平均総額を出すには、その企業のすべての出費を数え上げ、これを勤務時間のうち生産的だった時間の合計で割るのがもっとも簡単だ。例えば、社内会議を生産的時間と見るかどうかは、解釈次第である。だが、ここで重要なのは、トレーニングセミナーや昼休みといった、何も生まないけれども必要な活動に割り当てられた時間を参入しないことだ。

普通、従業員ひとりあたりの完全な総額コストは、少なくともその給料の2倍以上になる。コンサルタントが、普通の会社員よりも高い請求を出してくるのはこれが理由だ。フルタイムの従業員だと表に出てこない数多くの初期費用をカバーしなくてはならないからだ。事実、自社スタッフくらいの人なら、普通どれくらいのコンサルティング料を取っているかを見れば、従業員の完全な時間総額がいくらになるかを知る近道になるだろう。

公開:1997年6月15日
著者:Jakob Nielsen

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