NOと言うこと:
存在しないものをいかに扱うべきか

あなたのサイトに存在しない何かをしょっちゅうユーザが探しに来ているとしたら、前もって「ない」と明言しておくのが一番だ。そうしないと、ありもしないものを探し回らされ、時間を無駄にされたというので、あなたは彼らの反感を買うことになるだろう。ユーザが何かに失敗すると、その分、あなたのサイトに対するユーザの信頼性は低下する。そのユーザが戻ってきて、何か他のことにあなたのサイトを使ってくれる可能性も、その分薄れる。

もちろん、みんなが探しに来るものを用意しておくのが最善の解決方法だ。これで、ユーザの大きなニーズに応えられるわけだ。これこそ、ユーザビリティに関するもっとも基本的な原則である。だが、時にはどうしてもユーザの望みに応えられないこともあるだろう。

  • 規制、契約、ライセンス条件、その他の法的な理由があってオンラインに載せられないものがある場合。例えば、ある雑誌は、記事を印刷する権利しかなく、オンラインの権利は持っていないかもしれない。
  • ユーザの希望に応える予算がない場合。例えば、あなたの会社の顧客サポートセンターでは、24時間スタッフを常駐していないかもしれない(そもそもサポート回線がないことだってありうる)。
  • ビジネス上の判断で、やらないことにするという結論が出たのかもしれない。例えば、海外には製品を出荷しないとか、ビデオのフォーマットはアメリカ式のみで、ヨーロッパ式は用意しないとか。
  • 単なる在庫切れということもありうる。なお悪いことに(しかも極めて可能性が高いのだが)、今、もっとも人気のあるベストセラー商品が、大勢の人が探しているのにも関わらず品切れということも考えられる。
  • その機能は、後々提供する予定(例えば、近日発売の製品など)だが、今はまだ使えないということかもしれない。。

あらかじめ何か言っておかないと、ユーザーは存在しない機能を求めてあなたのサイトを捜し回り、相当な時間を無駄にすることになる。最後には彼らもあきらめるが、その頃には、あなたのサイトにかなり悪い印象を持っているはずだ。混乱していて、親切ではないという評価を下すわけだ。いくらナビゲーションシステムが完成されていて、ユーザを「正しい場所」に導くことができても、そこで何も得るところがなければ、彼らはナビゲーションそのものがなっていないという結論を下すだろう。

実際にサポートするかどうかに関わらず、頻繁に利用すると想定されるタスクについては、はっきりとそのターゲットとなる目的地を論理的にも納得できる場所に用意しておく方が、ずっといい。このターゲットは、製品ページ(「ご購入はこちらをクリック」というボタンはつけないでおく)、FAQの一項目、サイト内でのカスタマーサービスの一部かもしれない。こういった場所こそ、それら機能がないということを説明し、時にはその理由を表明するのにもっとも適した場所なのだ。ユーザは感謝してくれるだろう。

ユーザが求めているのに実際にはない機能を見つけるにはどうすればいいか?

  • 検索機能のログを見れば、みんなが何を探して見つからなかったかわかる
  • 顧客サービスへの電話や電子メール
  • 他のサイト:あなたの活動領域でトップ10に入るサイトのほとんどがある機能サポートしていたら、ユーザは当然それを期待して、あなたのサイトでもそれを探そうとするだろう。
  • ユーザビリティ調査。

うまくグレードを落とすには

ユーザのニーズを満たせないことを告知するだけでなく、彼らを立ち往生したまま放っておかないよう気を付けるべきだ。

これは大方のセールス関係者には抵抗があることだろうが、時には、適切なソリューションを提供してくれる他のサイトへリンクしてやるのが最善の策、ということもある。確かに今回は商機を逸したかもしれない。だが、どのみちものになる話ではなかったのだ。役に立つサイトを紹介してあげれば、ユーザの信頼を勝ち取ることができるはずだ。同じくらい重要なのは、ユーザが今度ソリューションを求める時にも、まずはあなたのサイトから始めようという気持ちを、ユーザに確実に持ってもらえるという点だ。また、交渉次第では、リンクに対する紹介料をもらって、売上の一部を取り戻すことだって考えられる。

もっともいいのは、今はまだ利用できないけれど、近いうちに使えるようになるという場合だ。

  • はっきりと開始日がわかっていて、しかもそれが1週間以内という場合、すなおにユーザにそのことを伝え、再度チェックしてもらうようお願いしよう。価格や仕様がわかっているなら、予約注文ができるようにしておくのもいいだろう。
  • 開始日が未定だったり、ユーザが覚えていられないくらい遠い将来の話なら、ユーザにメールアドレスを入力してもらい、その製品やサービスが利用可能になった時点でお知らせするというオプションを用意しておこう。このメールアドレスは、今回のお知らせ以外の目的では一切利用しないということを、はっきりと掲げておこう。そして、この約束を守ること。

最後に、有効な代替案を提供するにはどうしたらいいか、考えておくこと。例えば、ほとんど同じくらいの品質で、事実上、まったく同じといっていい別の製品を販売するということが考えられる。もっと優れているが、しかし値段も高いという製品がある場合は、特別価格で提供することも検討しよう。ユーザは、もともと欲しかったのとは違う製品のページまでわざわざやってきてくれたのだから、その労力に報いようというわけだ。いつも高価な製品にばかりリンクしていると、見せ餌で釣ろうとしているのではないかという疑惑を持たれかねない。

足りない機能のユーザビリティテスト

通常、私は被験者にできないことをやってくれと頼むのは好まない。ほとんどのウェブサイトはひどい出来なので、平均的なユーザビリティテストでは、そうでなくてもユーザはたくさん失敗をすることになるからだ。理論上はすべて可能なはずのタスクが達成できなかったりするのだ。だから、特に変わったことをしなくても、失敗に対してユーザがどんな反応を示すか、また、彼らがどんなにあっさりとあきらめてしまうか、観察できるというわけだ。

ユーザビリティの優れたサイトをテストするという機会はめったにないが、そういう場合なら、できるはずのないタスクを与えてみて、解決方法がわからない時にユーザがどんな反応を示すか調査したくなるかもしれない。現実には、ユーザは、初めから自分の要望に応えることのできないサイトに、しょっちゅう行き当たっているのだ。ユーザがどれくらいすぐにあきらめてしまうか(通常、10分か、それ以下)。そのタスクが達成できそうかどうかは、サイトのどこを見て決めているのだろうか。あるいは、代替となる解決策として、どんな方法を取るのだろうか。こういったことを調査してみたいはずだ。

2000年1月23日

公開: 2000年1月23日 (原文:2000年1月23日)
著者: Jakob Nielsen
原文:Saying No: How to handle missing features

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