なんだかんだテキスト:
残しておくか、切り詰めるか、一掃するか?

ウェブページの前置きとして用意されているテキストは大抵長すぎるので、ユーザはそれを読み飛ばしてしまう。しかし短い前置きがあると、それに続くコンテンツの目的の説明となってユーザビリティが向上することもある。

数多くのウェブページで冒頭に出てくる前置きの文章は、私がなんだかんだテキスト(blah-blah text)と呼ぶものだ: ユーザがそのページにたどり着いた際に、普通は読み飛ばしてしまうテキストである。どちらかというとユーザの視線が向くのは、そのページに用意されている機能や箇条書きリスト、ハイパーリンクなど、自分から何かアクションを起こしやすいコンテンツの方なのだ

なんだかんだテキストの中でも最悪の部類に属するのは、何の意味もない、まったくの埋め草である−−「わが社のサイトへようこそ。一段と使いやすくデザインされたこのサイトがみなさまのお役に立てるよう願っています」 などといった決まり文句だ。

玄関マットは残らず片付けて、すぐ要点に入ろう。

ユーザはウェブページ上ではごくわずかなテキストしか読まない。凡庸で八方美人な文章で、貴重なワード数を浪費しないように。どのみち、その文章で顧客の好感を買えるわけではない。彼らはできるだけさっさと問題を解決してサイトを去ることにしか関心がないのだ。

わが過ちなり(Mea Culpa)

ウェブのライターたちに、文章の無駄をなくすよう指示するのはたやすい。それを実践するとなると、はるかに難しい。新たなコンテンツ担当者がチームに加わるたびに、ウェブでのライティングに向けた特別なガイドラインについて四六時中教え込まねばならない。ガイドラインの中身はごく常識的なものに見えるだろうが、優れた言い回しを生み出すにはかなりのスキルを要する。

だからこそ私は、コンテンツユーザビリティの法則を繰り返し強調してきたのであり、自分のカンファレンスでは毎回そこに特化したライティング講座を用意しているのである。(私の知る限り、ユーザビリティやウェブデザインに関するカンファレンスで、ここまで深くライティングに関与しているものは他にない。私がコンテンツユーザビリティについて教え続けているのは、実際にウェブにある情報こそ、ウェブデザインの構成要素の内でサイトの収益性への影響がもっとも大きいものだからである。)

このライティングのガイドラインの重要性を強調し続けているにも関わらず、私自身もこの肥大した“なんだかんだの罠”に陥ることがある。1997年にガイドラインを策定してから10年が経ち、その間に数え切れないほどの講義を行ってきたが、いまだに私はコンテンツユーザビリティ上のミスを犯してしまうことがあるのだ。これは、このガイドラインを遵守するのがいかに難しいかを示す証拠であり、ユーザビリティを保つには自分が書いたコピーを継続的にチェックしなければならない理由でもある。

一例を挙げると、最近われわれはユーザビリティカンファレンスへの参加者を対象としたインタビューをシリーズ形式で公開した。私が最初に出したデザイン案では、これらのインタビューを扱うページが以下のなんだかんだテキストで始まっていた:

このカンファレンスは、各企業でのユーザーエクスペリエンスの進化を担う専門家のみなさまに、非常に幅広い分野からご参加いただいております。過去の出席者の方々のご意見は、カンファレンスへの参加によってどんな業界関係者との出会いが生まれるか、そしてどのような議論ができるかについて知るための助けとなるはずです。

せめてもの救いは、自分にキーワードを強調するだけの機転はあったことだ。しかし、やはりこのテキストは冗長だし、丸々一段落ほどもあるこんな文章は、ほとんどのユーザが読み飛ばすこと請け合いだ。しかも、クリックしてくださいと言わんばかりの青いリンク一覧の上にその文章があれば、なおさらである。

このページを公開する直前に、私はオンラインの読者向けにはテキストの分量を半分にするべきだという自分自身のアドバイスを思い出した。そこで最初の一文を削除し、前置きの段落のワード数を43個から24個に減らした。(自分でも先刻承知だが、これはワード数としては44%の削減に過ぎない。もっと潔く切り詰めるべきだった。)

前置きテキストを若干は残しておく理由とは?

前置きの段落は遠慮なく切り詰めようというのは悪くないアドバイスだろうが、ただ完全に消し去ってはまずいのだろうか? ワード数を減らすのは、ごまかしに近いアプローチのように見えるかもしれない。

前置きテキストには、大事な役目もあるのだ。そのコンテンツがどんな状況の下に提供されているのかを示し、それが何についてのページなのか?という疑問に答えるのを助けるという役目である。

先ほどの私自身の例で言えば、8種類のまったくバラバラなインタビューの一覧を見せるだけでは、そこにアクセスしたユーザはまごついてしまっただろう。なぜこれら8件の記事が同じページ内の1つのセクションにまとめられているのか? そこに2行ほどの前置きがあれば、ユーザはそれらのインタビューの共通点(いずれもユーザビリティカンファレンスの参加者が対象であること)や、それを読むことで得られる情報(公式プログラム以外のカンファレンスの様子など: これこそ一番重要な情報であることも多いのだが、公式プログラムの説明では−−その性質上−−伝えるのが難しい)を知ることができるはずだ。

前置きテキストは、ホームページがサイト全体に対して、さらにタグラインがそのホームページに対して果たしているのと同じ目的を、サイトの奥深くにあるページに対して果たすことになる。これら3通りのシナリオのいずれでも、ユーザはそこに飛び込む前に、それがどんな場所なのかを知る必要があるのだ

もちろん、前置きなどそっちのけで一直線に深みへ飛び込んでしまうユーザも多い:

  • 検索エンジンや外部サイトからの訪問ユーザはディープリンク経由でサイトに降下し、サイトの奥にあるページに直接着地するため、ホームページを迂回してしまうことになる。しかし、そのサイトで他に何が提供されているか知りたくなれば、2番目か3番目のステップとしてホームページにアクセスすることも多い。
  • 詳細情報のページにアクセスしたユーザは、たとえその前置きが見事なまでに簡潔であっても、やはり読み飛ばしてしまうことが多い。しかし、そのページの内容が分かりにくかったり、さらに詳細を知りたくなった場合には、ページの一番上に戻って前置きやタグラインに目を通すのが普通だ。前置きが短く、ひと目で分かりやすければ、それが配置されていることがユーザにとってメリットとなる。

簡潔な前置きは、それに続くページの内容を一段と理解しやすくする。ユーザはいったん読み飛ばしたとしても、それがびっくりするほど長々しい饒舌な文章でなければ、後で戻ってきて読むかもしれない。常に簡潔にするように気をつけていれば、ちょっとしたなんだかんだテキストは実際役に立つはずである。だから、売り文句の最初のアイデアは切り詰めて以下の2つの疑問に答えることに的を絞ろう

  • What?(そのページでユーザは何を見出せるのか−−すなわち、そのページの役割は何か?)
  • Why?(そのページがなぜ用意されているのか−−すなわち、そのページの何がユーザにとって役立つのか?)

2007 年 10 月 1 日

公開:2007年10月1日(原文:2007年10月1日)
著者:Jakob Nielsen
原文:Blah-Blah Text: Keep, Cut, or Kill?

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