サイトマップユーザビリティ
サイトマップについての新しいユーザテストの結果は、依然としてサイトマップが補助的なナビゲーションとして役立つこと、そして7年前に比べるとずっと使いやすくなっていることを示している。
最も古いハイパーテキストユーザビリティの原則の一つは、どこへ行けるのかがユーザに分かるように情報空間の視覚的な表現を提供することである。 サイトマップはそうした視覚的な表現を提供し、ウェブサイトやイントラネットの主要なナビゲーション機能に対し便利なサプリメントとしての役割を果たす。
サイトマップの主な利点は、ひと目で分かるサイト内の概観をユーザに与えることである。そのために、ページ全体を情報アーキテクチャ(information architecture – IA)
の視覚的な表現に使っている。仮に上手くデザインすれば、こうした概観は複数の階層を持ち、なおかつマップがあまりに大きくなりユーザがマップ全体としての理解を見失うことがないように出来る。
我々はサイトマップの定義を、ウェブサイトにおけるガイドの役割を果たすページとする。我々が調査したサイトマップは、アルファベット順にサイトの目次を表示したもの、動的なダイアグラム、2次元のリストなど様々な構造をしていた。すなわちここで言うサイトマップとは、様々な機能、見た目、名前(「ガイド」「概要」「目次」「ディレクトリ」等)を含む。
二回の調査研究
人々がサイトマップをどのように使うのかを調べるために、我々は2ラウンドのユーザビリティ調査を行い、あらゆるサイトマップのデザインについて、ユーザに代表的なタスクに取り組んでもらいテストを行った。
それぞれの調査に15名、合計で30名のユーザが我々のサイトマップのテストに参加した。
我々は以下の20のウェブサイトをテストした。その中には、e-コマース、マーケティング志向のサイト、ハイテク企業、B2B のサイト、コンテンツサイト、非営利団体、政府機関等が含まれる。
調査1でテストされたサイト | 調査2でテストされたサイト |
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CDNOW (e-コマース)Documentum (ハイテク製品)
Interwoven (ハイテク製品) Mercedes Benz USA (自動車のマーケティングサイト) Museum of Modern Art (非営利団体) New Jersey Transit (地方輸送機関) Novell (B2B) Salon (オンラインマガジン) Siemens Medical Solutions (B2B) United States Treasury Department (政府機関) |
Administration on Aging (政府機関)BMW USA (自動車のマーケティングサイト)
Citysearch Boston (観光案内) Harvard Pilgrim (健康保険) The Knot (結婚関連情報/e-コマース) Marriott (ホテル、含オンライン予約) Scholastic (児童書) Texas Roadhouse (レストランチェーン) TiVo (ハイテク製品) |
両方の調査で、まず最初にユーザをサイトのホームページに案内し、サイトマップに関しては特に言及せずにタスクを与えた。調査のこの部分からは、ユーザが自然にサイトマップのページを見る程度について評価した。各調査の後の部分では、もし彼らがそれまでに自分からサイトマップへ行っていない場合は、サイトマップへ行くよう具体的に指示した。
調査1は7年前に実施された。この2つの調査を比較することで、長期に渡るサイトマップユーザビリティのトレンドを評価できる。
サイトマップが使われるのは稀
人々はサイトマップを滅多に使わない。調査2ではサイトの構造を調べるように指示された際、わずか7%のユーザしかサイトマップを参照しなかった。これは、調査1で27%のユーザがそうであったという結果に比べて減少している。
よかったことは、ユーザがサイトマップを見たいと思った少数のケースにおいて、彼らが実際それを見つけられたということである。調査2では、「ウェブサイトの全ての箇所を一覧表にしたページを見つけなさい」と指示した際に、67%のユーザがサイトマップを上手く見つけることが出来た。
シンプルさを保つ
サイトマップの主な2つのガイドラインは以下の通り:
- 「サイトマップ」と名付け、サイト全体を通じてサイトマップへのリンクには一貫してこのラベルを使うこと。
- 静的なデザインを使うこと。ユーザにインタラクティブなサイトマップのウィジェットを提供しないこと。サイトマップは更なるインタラクションなしに(スクロールが必要な場合を除いて)、迅速に視覚的な表現をユーザに提供すべきである。
これらのガイドラインは、初版のレポートから変わっていない。動的、もしくはインタラクティブなサイトマップは、7年前の調査でひどい失敗の数々を起こす元となったが、調査2でも依然として問題を起こす原因となった。サイトマップの目的は、ユーザに唯一の情報空間の概観を提供することである。仮にマップ上で様々な場所を表示するのに作業が要るのだとしたら、ユーザはサイトマップの利点を失うことになる。
結局のところ、サイトマップは地図なのだ; それ自身を操作するのが難しくあるべきではない。
我々が繰り返し目にしてきたように、たった一つのウェブサイトのために、何かを操作する独自のやり方を学ぶのを強いる非標準のユーザインタフェースはユーザから嫌われる。サイトマップは、シンプルで、リンクをコンパクトなレイアウトにまとめたものであり、なおかつ全てを一つのビューの中に表示すべきである。
ひとつ若干複雑なものとして複数の列をもつレイアウトを使うことを勧める。調査2で、一列に表示されたサイトマップでユーザは47%のタスクに成功していたのに対し、複数列で表示されたサイトマップでユーザは61%のタスクに成功した。
サイト構造の全体を見渡すのにスクロールが少なくてすむことから、複数列をもつサイトマップは上手く機能する。縦長でスクロールを要するサイトマップでは、人々が迷子になりやすかった。よく見られたのは、ユーザがうっかり、もしくは意図的にコンテンツをスキップし、複数回サイトマップを上下にスクロールした。実のところ、ユーザは大抵の場合、最初に上位レベルのカテゴリを一度さっと流し見て、次にスクロールしながら上方に戻りより詳細な探索をしていた。時には、回を重ねるごとにより注意を払ってこのプロセスを何度も繰り返していた。対照的に、複数列のサイトマップは、全てのカテゴリとサブカテゴリをユーザがひと目でさっと分かるようにしており、深く掘り下げるまでもなく、ユーザは全体像の理解を得られるのである。
なぜサイトマップが必要なのか?
7年前、我々が調査した50のウェブサイトのうち48%がサイトマップを有していた。今日では、我々が調査した150のウェブサイトのうち71% がサイトマップを有しており、Intranet Information Architecture に関する我々のレポートで分析した56のイントラネットのうち59%がサイトマップを有していた。また、二度の調査の間にほとんどのサイトマップは若干使いやすくなっていた。
最近はよいサイトマップが普及しているにも関わらず、ユーザはそれらをあまり活用していない。だったら、なぜ自分のウェブサイトでわざわざサイトマップを作るのか?それは、サイトマップがあなたのサイト、サイトが何を提供するのかについてユーザが理解するのを助けるからだ。
私は今もなおサイトマップを勧める。なぜなら、サイトマップはサイト内の全てのものについて、まさしくその概観をユーザに提供する唯一の機能だからだ。 サイトのナビゲーションが同じ目的を果たすと主張することも出来る。例えば、あるナビゲーションは、サイト内の各セクションで提供されるオプションが見られるドロップダウンメニューを提供する。しかし、こうしたメニューをもってさえ、ユーザは一度にただ一つのセクションのコンテンツしか見ることが出来ない。
サイトマップは、全ての存在するコンテンツ領域を一つのページでユーザに見せ、それらのページへのアクセスをその場で提供する。サイトマップはまた、散らかったサイト内においては、ユーザインタフェースとコンテンツをすっきりとしたシンプルなビューで提供し、ユーザが情報を見つける手助けをする。しかしながら、サイトマップは万能薬ではない。例えば、ナビゲーションの構成が粗末である、セクションの名前がよくない、サブサイトとの統合が上手くなされていない、と言ったサイトの構造に依存する問題をサイトマップが解決することは出来ない。
もしサイトマップのデザインに大きな投資が必要ならば、サイトマップはそれに十分見合う費用対効果をもたらすことはないだろう。しかし、我々のガイドラインの全てがサイトマップにシンプルさを求めていることから、よいサイトマップを作るのに膨大な作業は要らないし、結果としてあなたのユーザの中の一部を助けることになるだろう。より大切なのは、サイトマップは重大な場面でユーザを助けるであろうということだ: つまり彼らが迷子になって、そして行き先を見つける最後の助けがなければ、あなたのサイトから立ち去ってしまうかもしれないという時に。
サイトマップは補助的なナビゲーション機能 ? パンくずとその役目を共有する控えめなもの ? である。実際、サイトマップを裏付ける根拠は、パンくずに関する議論と同じである:
- それらを使わない人の迷惑にならない。
- 確かに何人かの人々を助ける。
- 微々たるコストしか発生しない。
さらに詳しく
Site Map Usability に関するレポート(第二版、176ページ、47のデザインガイドラインと87のスクリーンショットを含む)をダウンロード出来る。
2008 年 9 月 2 日