世界最良のヘッドライン:BBC News(後編)

わずかな言葉で正確に情報を伝えられるか? BBC Newsの編集者は、それを毎日やりぬき、ユーザビリティに優れたヘッドライン(記事見出し)を掲げている。

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ヘッドラインの担当者は、スペースを節約するためか、”officials”(当局者)の具体名をヘッドラインには載せないで、記事のほうに載せることにした可能性がある。そうした情報は、ヘッドラインを流し読みする段階では知る必要のない情報である。もっとも、名の知れた人物や問題になりそうな情報源がミサイル攻撃の犯行声明を出した場合は別であるが、その場合は逆に、具体名を出すことで、ユーザーがクリックするきっかけになることもある。

また、オンライン用の文章には算用数字が望ましいという一般的ガイドラインを考えれば、”four”ではなく”4″を使うのが良いだろう。しかしこのヘッドラインの場合は、”four”という単語でも算用数字でも同じである。死亡した過激派の詳しい人数を知るために、ユーザーがトップページを流し読みすることはあまりないからである。むしろそうした情報を調べるときは、まずミサイル攻撃に関する記事を検索してから、記事を何本か流し読みして具体的な数字を求めるのが普通である。

成功の源とは?

他のほとんどのサイトが非常にひどいというのに、BBCのサイトがこれほど優れているのは、なぜか? それはBBCに代々受けつがれてきた伝統かもしれない。報道機関であるBBCは、もとはラジオ局としてスタートした。ラジオ局では、語数が重視され、リスナーの心をつかむためにわかりやすく情報を伝えなければならない。音声媒体の場合、言葉は発した端から消えてゆくため、文章が理解しにくいとなれば、活字媒体よりずっと大きな混乱が生じる。

BBCの記者は、簡潔な文章の大切さを身に染みてわかっているが、それにはCeefax(シーファックス:今も残る数少ない文字多重放送サービスのひとつ)も一役買っている。低解像度テレビに表示される文字は分解能がひどいため、ごくわずかの文字数しか表示できないからである(ある意味、携帯電話に似ている)。

理由は何にせよ、ウェブユーザビリティに関して言えば、BBC Newsのヘッドラインはほぼいつでも最高の水準で書かれている。BBCのサイトに1週間毎日アクセスして、BBCの編集者のやりかたを自分のサイトのヘッドラインにも真似てみよう。