SEOとユーザビリティ

ウェブサイトの質を上げればSERPのランクも上がる。しかし、検索エンジン最適化についてのトリックを使いすぎると、ユーザーエクスペリエンス(UX)を台無しにしてしまう可能性もある。

一見したところ、検索エンジン最適化(SEO)とユーザビリティはまったく異なったテーマのように見える:

  • SEOとは、検索問い合わせで確実に目立たせることによって、最初の段階であなた方のサイトに人々を引き付けることである。
  • ユーザビリティとは、あなた方のサイトに人々が到着した後の行動のことで、その主な目的はコンバージョンレートを上げることである。

基本的に、SEOは最初のクリックの前に生じ、ユーザビリティがその後を引き継ぐ。ウェブサイトが成功するには2つともに優れていることが必要だ。SEOが素晴らしくてもユーザビリティが悪ければ、トラフィックはたくさん得られるだろうが、訪問者は顧客になってくれないだろう。対照的に、サイトのユーザビリティが素晴らしくてもSEOが悪いと、多くの訪問者は得られないので、ユーザビリティの善し悪しは関係なくなる。

見込み客のファネル(訳注: ファネルとは漏斗のこと。マーケティングでは、見込み客から受注へと絞り込まれる様子を例えて「セールスファネル」と表現する)の中で重点的に取り組む階層がそれぞれ違ってはいても、SEOとユーザビリティがサポートし合うやり方は多数ある。しかし、少数ではあるが、お互いが対立してしまうやり方もある。

SEOは思っている以上に重要

SEOの基本的な重要性は、ほとんどのユーザーが強い検索の優勢を示すことに起因している。つまり、検索は人々がインターネット上でどこかへ行くときの主な手段なのである。さらに重要なのは、検索がたいていの人にとってリソースの主な発見手段だということだ。

そう、ソーシャルメディアもリソースの発見をサポートしてはくれる。しかし、こうしたサービスのコンテンツは中身のないものに偏っており、B2Bや金融サービス、医薬系サイト、政府サイトのようなもっと「まじめな」サイトにはあまり役に立たない。

人々がサイトに戻るのを促すという点については、Eメールニュースレターが一番優れているのは間違いない。しかし、そもそも、そのサイト自体、最初に見つけられた方法はたいてい検索なのだ

検索とは、単に「Googleで(あるいは将来、検索エンジンの主役になるものにおいて)上位に来る」ということに留まらない:

  • イントラネット。社内の情報空間を利用しているからといって、従業員達が自分の中心的な情報探索行動を変えるわけではない。実際、イントラネットユーザー対象の調査ではイントラネット検索は計り知れないほど重要であることがわかっている。また、小さな空間を検索するのはより容易なはずなのに、イントラネット検索は残念ながらウェブ全体の検索より著しく劣る傾向にあることもその調査からは示されている。
  • eコマースの商品検索eコマースの第一法則とは何か。それは、顧客が商品を見つけることができなければ、その商品を買うことはできない、というものである。商品検索専用のユーザビリティガイドラインは多数ある。商品検索は現時点で提供されているものよりもずっと洗練されるべきである。
  • 主流ウェブサイトのサイト内検索サイトに到着するとすぐ、ユーザーはページ移動で近道をするため、そのサイト専用の検索エンジンに頼ることが多い。しかしながら、ここでも、サイト内検索は話にならないほどひどいことが多く、我々はテストユーザーがこの恐ろしいセリフを口にするのを頻繁に耳にしている。「この検索はやめて、Googleに行きます」。

こうした事例のすべてで、イントラネットやウェブサイトが基本的なSEO技術を利用して、ユーザーの検索キーワードに関連した最も重要なページを検索リストの上位に確実に出すようにすれば、ユーザビリティは大いに向上するだろう。

長期的なSEO=ユーザーの役に立つこと

検索エンジンの究極の目的は、問題に対するユーザーが最善の解決策を見つけるのを支援することである。検索エンジンは実際には回答エンジンであるといえる。答えが目的で、検索問い合わせはそれを達成する手段だからである。

このことが意味するのは、SERPで上位に配置されるかどうかは、各サイトがユーザーのタスクの実行をどの程度うまくサポートするかで最終的に決まってくる、ということでもある。検索エンジンは現時点では他サイトからどれだけリンクされているかといった間接的なシグナルを利用して、各サイトの質を推測せざるを得ない。しかし、検索エンジン会社がますますユーザーの行動を嗅ぎ回るようになり、検索結果ランキングはますますユーザビリティに左右されるようになってきている。質に関する有効なシグナルを多く収拾できる能力は、大規模検索エンジンが事業部の壁を越え、原価割れの目玉的サービスを提供する確かな理由である。

現在の環境では、検索エンジンアルゴリズムをだまして、評価システムを操作することに挑戦すれば、SERPランクをいくつか上げることはまだ可能である。しかしながら、これは長期的には損なやり方である。というのもアルゴリズムは絶えず変化しているからだ。高品質なサービスを提供するということに焦点を絞ることで、高いランクを維持できる可能性はより高くなるのである。

短期的SEOが意味するのは、デザインの良さがほとんど

検索アルゴリズムのごまかし、という短期的トリックの利用はあまり良い考えではない。とはいえ、現在の検索エンジンに対してうまく機能するよう、ウェブサイト(やイントラネット等)をデザインするのが理にかなっているのは確かである。そして、そうするための主なガイドラインには実際、なんとしても従うべきだろう:

  • 固定のURLを提供しよう。そうすれば、他サイトから重要なコンテンツのそれぞれに対して、直接リンクすることが可能になる。(リンク切れに対して最初に警告してから14年経つが、いまだにリンク切れは多く、そのせいで検索というゲームにおいて、サイトがチャンスを逃しているのは間違いない)。
  • ページタイトルやヘッドライン、本文にはユーザーの言葉を使おう。検索というものが主にキーワードの一致に基づく限り、人々が検索ワードで使うのと同じ語彙を使うことは必要不可欠だからである。ここでも新しいことは何も言っていない。つまり、率直であること、「気取った」ヘッドライン造語を避けることは、長い間、ウェブ向けのライティングの中心的ガイドラインであり続けている。
  • アクセシビリティ。私はかつてGooglebotのことを「世界一裕福な、視覚障害のあるユーザー」と呼んでいた。 なぜならば理解できるのはテキストだけで、画像は認識できなかったからである。検索エンジンでのAI技術やパターン認識の利用が増えるにつれて、それは画像情報についての初歩的理解はできるようになってきた。しかし、平易なテキストがインデックス作成のための最も安全な方法であることには変わりはない。
  • 明快な情報アーキテクチャ (IA)を提供しよう。IAには興味のあるアイテムごとの特定のメインページと、そのページを指し示す明快なナビゲーションシステムが必要である。そうすれば検索エンジンがページの主な状態を推測することが可能になる。
  • 説得力のあるコンテンツの提供と頻繁な更新によって、外部からのリンクとソーシャルチャターを引きつけよう

こうしたユーザビリティとSEO二重のガイドラインに従うことで、SERPランキングは上がるだろう。しかしもっと重要なのは、それによってクリックスルーも増加(つまりあなた方のビジネスが拡大)するということである。ユーザーは検索結果の1番をクリックする傾向が強いが、常にそうするとは限らない。そうしないのはなぜか。それはリストの最初のページのタイトルや説明がユーザビリティガイドラインに従っておらず、気取っていたり、一般的すぎたり、誤解を招くものになっていることが原因である場合が多い。情報の匂いが少ないリンクを人々はクリックしないのである。

SEOとユーザビリティの対立

ほとんどの場合、SEOとユーザビリティは相互に補強し合う。しかし、その2つは対立することもある。例えば、キーワードスタッフィングがユーザーエクスペリエンスを損ない、ページを読みにくくするのは間違いない。

語彙の選択も対立を引き起こしうる。検索問い合わせで入力される回数が最も多いキーワードというのは、とりわけ識字能力の低いユーザーには、シンプルな用語に比べて理解しづらいこともありうる。

もう1つの例としてのファットフッター(訳注: 従来よりエリアの広い、太ったフッター)は欲しいものが見つからないまま、ページの最後まで来てしまう人々のユーザビリティを大いに向上させうるものではある。また、ファットフッターは各主要テーマについて、そのサイトでの最適なページに対するリンクジュースを示すことで、構造的なSEOをも強化する。良いことだが、実際、ファットフッターは今や非常に一般的になっているので、我々もそれについて論ずるのを、「ウェブデザインに新しく出てきたパターン」コースから「ウェブページデザインのベストプラクティス」に関するセミナーに変更した。

残念なことに、良いものをそのままにしておけない人というのはいるもので、皆が知っているすべてのリンクをページ下部に詰め込んだ太りすぎたフッターも目にするようになってきた。理論的には、SEOが検索エンジンにキーワードの豊富なリンクを大量にフィードするのは良いことである。しかし、現実には、大量のリンク集が与えられて、流し読みが迅速にできなくなるというのは、ユーザーにとっては良いことではない。

SEOとユーザビリティの間の対立を処理する一般的な方法は2つある:

  • 短期的には、(優れたSEOによる)トラフィックの増加と(優れたユーザビリティによる)コンバージョンレートの高さの間でトレードオフをしよう。その答えは、あなた方が最も悩んでいるのがどこか、つまり、最も改善の必要がある箇所によって決められるべきである。
  • 長期的には、SEOトリックというレモンから最後の一滴まで搾り取らなくても、前述のように、ユーザビリティが良質なら、検索トラフィックは最終的に増加するだろう。

公開:2012年8月24日(原文:2012年8月13日)
著者:ニールセン博士
原文:SEO and Usability

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