企業情報インフラとしてのイントラネットポータル

ここ半年の間に、大企業、中企業で自社イントラネットのためのポータルを構築する動きが盛んになってきた。何年もの間、これは手つかずの領域だったのだ。それでも、全社員のデフォルトのスタートページをひとつに決めていない企業が、まだたくさんある。中には、起動と同時にブラウザベンダーのページを表示する設定になったまま(まったくの回線と時間のムダづかいだ)の会社から、全社的な社内ホームページはないけれど、部門ごとのページはあるという会社まで、状況はさまざまだ。

ステップ1: イントラネット用の統一ホームページを確立する。
ステップ2: このページを、社内で使われているすべてのブラウザのデフォルトスタートページに設定する。

イントラネットは資金不足

イントラネットは一般向けのウェブサイトよりもずっと重要だということは、1995年から1996年にかけて、ウェブの専門家たちの間の共通認識となった。「ほとんどの利益は、イントラネット上で発生するようになるだろう」数え切れないほど多くの講演会で、こういう発言が聞かれた。この発言が本当に正しいかどうかは疑わしいとしても、ここ数年、世の中はまったく反対の方向に動いていた。確かに、世界を変える可能性がもっとも高いのは、公共向けのインターネットだ。Metcalfeの法則によれば、ネットワークの影響力は、規模の2乗に比例するから、大規模なネットワークは、やがて閉鎖的なシステムに打ち勝つだろう。

インターネット関連株の極端な過大評価のせいで、一般向けのウェブプロジェクトにばかり注目が集まり、組織内で運用されるイントラネットへの投資が不足するようになってしまった。インターネットが、現在もっとも重要なビジネス上の変化要因であることには間違いないが、だからといって内部のネットワークを無視してよいということにはならない。イントラネットのデザインが悪いと、ユーザビリティに影響を与え、これが企業の収益にダイレクトに響いてくる。ユーザビリティに問題があれば、即、従業員の生産性が低下するからだ

たとえば、イントラネットのホームページに掲載するニュースに見出しをつける場合、マイクロコンテンツ制作のガイドラインを無視するとどういうことになるか考えてみよう。1万人の従業員がいる会社では、イントラネットホームページ上に、要領を得ない見出しがひとつあるだけで約5千ドルの損失になる。腕のいいホームページ編集者を雇って掲載前に見出しを書き直してもらう方が、よほど安上がりなはずだ。

ナビゲーションがお粗末だったり、デザインに標準がなかったりすると、なおさら高くつく。1万人の従業員がいる企業では、年に1000万ドル相当の生産性を損なうことになるだろう。イントラネットのユーザビリティが悪いと、全世界規模での損失は、2001年までに約1000億ドルに膨らむだろう。よりよいナビゲーションシステムを作ったり、デザイン上の内部規定をもっと厳密に適用したりしない限りは。

大企業でさえ、イントラネットの運営にはごくわずかなスタッフしか当てていないのが普通だ。イントラネット上の全ページについてデザイン標準を統一しようと積極的に努力している大企業は、私の知る範囲でたったひとつ。聞いた限りでは、すべての部署にデザインガイドラインを守らせるのは無理だという人がほとんどだった。結果として、ほとんどのイントラネットは、ナビゲーション不可能な、混沌とした文書の寄せ集めになっている。ほとんどの公共向けウェブサイトがユーザビリティ上の問題を抱えていると指摘するのは私が初めてかもしれない。しかし、それらにすら、少なくとも何らかのナビゲーション計画とデザイン標準くらいはあるのが普通だ。近頃では、大企業のウェブサイトでナビゲーション不在の孤立ページを見かけることはめったになくなった。ところが、同じ会社のイントラネットでは、そういったページが当たり前なのだ。

犠牲になるであろう従業員の生産性の大きさを考えて、私は次のことを提案する。

  • イントラネットのコンテンツ、デザイン、ユーザビリティの担当として、有能な専任スタッフを割り当てること。全ホワイトカラー従業員の生産性を何パーセントか向上できる可能性を考えれば、十分に見合う投資だろう
  • イントラネットのサイト内の案内との標準と、すべての内容に関するデザインについての最低限の既定を定めること
  • 各部署に対して、これらの既定に従う必要性を積極的に啓蒙すること

イントラネットのユーザビリティプロジェクトは、投資に見合うものだ。例えば、Bay Networks社では、イントラネットのユーザビリティに300万ドルを投じてデザインを向上させたが、7000人のユーザ全体で、優に年1000万ドルほどの節約になっていると見られている。イントラネットのユーザビリティプロジェクトにおいて、10対3(あるいはそれ以上)の対費用効果が得られるのは、ごく普通のことだ。

ビッグ3: ディレクトリ・検索・ニュース

イントラネットのポータルとなるホームページには3つの要素が必要だ。

  • イントラネット上の全コンテンツを構造化したディレクトリ階層。イントラネットのこの部分はよく、「ミニYahoo」と呼ばれる。YahooやLookSmartのようなディレクトリサービスのデザインから学べることは数多い。なぜなら、どんなイントラネット上のプロジェクトよりも、ユーザビリティに力を入れて作られているからだ。しかし、実際のトピックの階層構造を組み立てる作業は、絶対に自分たちでやらなくてはならない。そのイントラネットが持つ独自のコンテンツや関心領域を反映しなくてはならないからだ。1994年、Sunの初のイントラネットポータルを構成する際に私たちが用いた手法は、いまだに問題なく有効だ。
  • イントラネット上の全ページを網羅した検索エンジンと直結した検索フィールド。一般のインターネット検索とは違って、イントラネット検索エンジンは、イントラネット上の各エリアが持つ相対的な重要度を反映したものであるべきだ。例えば、公式ページには特別なアイコンをつけるといったことが考えられる。
  • その会社についての、あるいは従業員の関心を呼びそうな最新ニュース。一般的にいって、イントラネットのホームページがあれば、従来の社内報や、あるいは電子メールで山のように届く告知やメモなど、多くの企業で生産性を低下させてきたものをお払い箱にできる。一連のニュースを、過去のアーカイブや優れた検索エンジンと組み合わせれば、従業員は必要な情報をいつでも取り出せるようになり、各自がコピーを保管したり管理したりする手間もいらなくなるはずだ(現在の電子メールソフトには情報管理機能が欠けているので、こうした作業はとてもやっかいだ)。

1999年4月4日

公開: 1999年4月4日 (原文:1999年4月4日)
著者: Jakob Nielsen
原文:Intranet portals: the corporate information infrastructure

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