2012年 イントラネット・ベスト10

今年度、ソーシャルネットワーキングとパーソナライゼーションはレベルが上がった。一方、モバイルイントラネットは経験を積む状態が続いている。また、小規模の組織ではイントラネットデザインチームの人数が増え、デザインの質が向上した。

Jakob Nielsen(ヤコブ・ニールセン)、Kara Pernice著

2012年の優れたデザインのイントラネット、ベスト10は以下の通り:

  • CenturyLink Business(アメリカ): 電気通信会社
  • Everything Everywhere(イギリス): 通信会社
  • Genentech(アメリカ): バイオテクノロジー企業
  • LivePerson, Inc.(アメリカ): 通信会社
  • Logica(イギリス): ビジネス・テクノロジーサービス企業
  • MAN Diesel & Turbo SE(ドイツ): 船舶及び固定用の大口径ディーゼルエンジンとターボ機械の製造供給業者
  • NCR Corporation(アメリカ): テクノロジー企業
  • The Scotts Miracle-Gro Company(アメリカ): 芝生や庭の手入れのためのブランド消費財企業
  • Skanska(スウェーデン): プロジェクト開発・建設会社
  • Staples, Inc.(アメリカ): オフィス用品の会社

今年度のイントラネットのほとんどが組織全体をサポートするものだが、CenturyLinkのサイトは社内のBusiness Marketsグループにターゲットを絞っていることが明らかな専門イントラネットである。

今回、12回目になるIntranet Design Annual (:イントラネットデザインについての年次レポート)で、2006年にも入賞しているStaplesは(全部で120社のうちの)7社からなる複数回受賞企業というエリートグループの仲間入りをした。複数回、名誉を受けたそうした企業とはCisco Systems(2001年2005年)、 Credit Suisse(2002年2011年)、Verizon Communications(2005年2011年)、Walmart(2002年2010年)である。また、Deloitte Touche Tohmatsuはオーストラリアのメンバー会社のイントラネットで2002年に、その後、世界規模のイントラネットで2009年に受賞している。最後になるが、silverorangeは2001年にこのコンテストの1回目に入賞し、さらに2003年には奨励賞に選ばれている。

Staples等、複数年入賞団体のデザイン能力と組織としてのイントラネットへの継続的コミットメントは賞賛に値する。こうした組織がイントラネットのデザインを「設定したら触らない」ものとは決して見なしていないということの意義は大きい。これらの企業は最初に受賞したデザインを維持させることを考える代わりに進化させ続けた。それは彼らが以下の3点の重要な要素を理解していたからである:

  • 組織は変わり続けるものである。
  • イントラネットに追加されたり、追加される必要のあるコンテンツやセクションをモニターすることによって、潜在的な問題が手遅れになることがない。ページのテンプレートや情報アーキテクチャに大きな負担がかかるとき、デザインはまずは微修正で、そしてその後はより大きな修正によって対応するために変化する必要があるからである。
  • 企業のイントラネットへの認識を従業員が利用している外部のウェブサイトやその他のアプリケーションの発展という文脈でとらえている。従業員がウェブと会社のイントラネットを交互に利用するときに、ZL1 Camaroの2012年モデルからブレーキの壊れたChevy Novaの1989年モデルに乗り換えたかのように感じるべきではない。つまり、イントラネットのエクスペリエンスをのろくて、(不正確な情報のおかげで)危なっかしく、つまらないものと思わせてはならない。

イントラネットデザインの最前線にいる業界として、今年、受賞団体が出たのは7分野である:

  • テクノロジー(3団体)
  • 公益事業(2団体)
  • バイオテクノロジー(1団体)
  • 消費財(1団体)
  • エンジニアリング(1団体)
  • 製造(1団体)
  • 小売(1団体)

テクノロジー企業はカムバックを果たした。昨年はハイテク業界からの受賞がなかったが、今年度、彼らは全体の3割を占めた。2001年にコンテストが始まって以来、Design Annualの受賞団体の22%がいまやテクノロジー分野によって占められている。

公益事業とエンジニアリング業界は共にデザインに関する地位を築きつつある。今回で3年連続受賞業界として選ばれているからである。そして、バイオテクノロジー企業と消費財の企業が今年初めて受賞企業リストに登場した。

過去、ほとんどの年に非常に健闘してきたからといっても、世界規模の金融恐慌を考えると、今年、金融業界からの受賞がないことは驚くにあたらないだろう。ただし、彼らの実績からすると、もっと多くの金融系企業がイントラネットに時間とリソースを費やしていたなら、金融業界から受賞企業を輩出できていたのではないかと思う。

アメリカとヨーロッパの経済が良くないからといって、欧米のイントラネットデザインもそうだというわけではない。今年度の受賞企業の所在地は以下の4カ国である: アメリカ 6団体、イギリス 2団体、ドイツとスウェーデン 各1団体。これらの国のいずれもが我々のトップ10リストでは珍しくない。1回目のDesign Annual以来、アメリカの団体は63回、イギリスは10回、ドイツは7回、スウェーデンは6回の受賞を経験している。こうした成績はどれもすばらしいものだが、国の規模からすると、スウェーデンの記録は目覚ましいものといえよう。

小規模な企業のイントラネットの質は依然高い

今年も小規模の組織が良質のイントラネットをデザインしつづけており、この傾向は過去3年間変わらない。今年受賞のイントラネット10件のうちの6件が15,000人未満の従業員をサポートしているものであり、規模の小さいところでは、LivePersonの従業員数は550人、CenturyLink Businessが2,000人、Scotts Miracle-Groが8,000人、Genentechが11,000人だった。今年の受賞団体で一番規模が大きいのはStaplesだが、そこには55,000人の従業員がいる(そして2012年末までにはそれを90,000人に拡大する予定がある)。

今年度の受賞組織の平均従業員数は19,700人で、このコンテストを始めて以来、(2004年の政府組織のみに絞ったAnnualを除くと)12年間で最も少ない数字である。過去3年間の平均従業員数は2011年は37,900人、2010年は39,100人、2009年は(140万人の店員を抱える巨大なWalmartを除外すると)37,500人だった。この数字には3年連続で基本的変化はない。したがって、今年の受賞団体の規模が非常に小さいということが目立つ。12年間のDesign Annualを通しての受賞団体全体の平均従業員数は60,000人である。ここからも今年の受賞団体の規模の小ささは際立っているといえるだろう。

テクノロジーが今回の小規模な組織の成功の一因になっている可能性もあるだろう。長期的なトレンドとしては、デザインに良質なユーザビリティを取り入れるのが容易になり、小さな会社でも質の高いユーザーエクスペリンスに手が届くようになってきている。

こうした小さな組織での目的や制約、リソース、レガシーシステムは実にさまざまだったので、彼らが選択した技術もまたいろいろであった。例えば、LivePersonはSASプラットフォームのベンダーであるJive Software社の製品をイントラネットの提供とソーシャルビジネスのソフトウェアソリューション、コンテンツ管理システム(CMS)という3つの目的のために利用し、社内の開発者が自分たちのニーズに合うようにそのシステムをカスタマイズしていた。デザインがシンプルなこと、トレーニングをしたこと、そして、コンテンツへの投稿を後押しする社風もあって、平均すると全社員の52%にあたる従業員が毎月イントラネットへの投稿を行っている。

CenturyLink Businessのアプリケーションコアはオープンソースのウェブアプリケーションフレームワーク、Ruby on Railsを利用してRubyで開発されたカスタムCMSである。イントラネットの開発者は社内も社外のデザイン事務所も、その適応性の高さを享受しているが、オープンソースプロバイダー(この場合はPeak Systems)によるアップグレードとパッチに頼らずともやっていけるだろう。これは外部のベンダーによるアップグレードの規則性を考えると特にそう思われる。

Scotts Miracle-Groの社内開発者はSAPのWeb Page Composerツールを利用し、SAP NetWeaver Portal上に「The Garden」を構築しているが、Scottsの技術チームは両者に大幅な変更を施している。

最後になるが、Genentechがイントラネットのデザインを変更した目的の1つは、2008年のソリューションの技術を彼らのビジネスゴールにより合った技術に入れ替えることにあった。予想外の依存関係(例えば、コンポーネントAをアップグレードするとBとCをアップグレードする必要も出てくるなど)によって、そのプロセスはチームのメンバーの見込みよりも困難なものとなった。しかし、彼らは最終的にはMovable Typeを自分たちのCMSソリューションとして選択し、エンタープライズポータル(Vignette/OpenText)をいくつかのSSOコンポーネントや付加的な技術と共に削除した。そして、自分たちのニーズに合わせるために、Adobe SuiteやいくつかのApple専用のソフトウェアのようなデザインツールを利用した。

チームサイズは拡大: チームはより多人数でたくさんのことをするように

受賞した組織の平均従業員数は約20,000人だったが、イントラネットチームのサイズは15人までに増加し、従業員1,000人あたりのイントラネット担当者の人数は1人弱となった。最小規模のチームの構成人数は6人で、Everything Everywhere(従業員15,000人)とLivePerson Inc.(従業員550人)の両社がそうだった。規模が一番大きかったチームはNCR Corporation(従業員21,000 人)の26人だった。こうした数字は実情よりも多いものと思われる。というのも、イントラネットチームの人数を数えるとき、我々は現場で働いているフルタイム勤務者とパートタイム勤務者だけでなく、(コンサルタントやデザイン事務所のスタッフのような)組織外の人も入れているからである。

企業規模に占める割合としてのチームサイズは2011年のそれの倍以上となり、これまでで最高の0.074%に達した。そして、(組織のサイズに占める割合としての)イントラネットのチームサイズが、いまや2001年時点の6倍になっているというのはさらに目を引く事柄だろう。

ただし、留意しなければならないのは、受賞10チームのうちの8チームがデザイン変更プロジェクトの際には外部のデザイン事務所やコンサルタントと一緒に作業していることである。したがって、チームのこの部分のリソースには継続性が保たれない。そうはいっても、社内と社外の開発者を組み合わせるというのは無敵の方法である。社内チームはその組織や従業員、ビジネスニーズについてよく知っているし、社外チームは経験から得た、リソースや技術、今のデザイントレンドやスキルについてより豊富で幅広い知識を持っているからである。Design Annualの初めのころ、イントラネットはほぼ外部の事務所のみによってデザインされることが多かったが、このトレンドも今は昔である。今日では社内のチームが外部のデザイン事務所と一緒になって作業することが当たり前になっている。事実、社内と社外のチームメンバーが組み合わさっている受賞団体の数は、2008年には3、2009年には6、2010年には7、2011年と2012年の両年は8と、近年、着実に増加してきている。

モバイルイントラネット: 発育不全

2009年になると良質なモバイルイントラネットデザインを目にする機会が増えはじめ、受賞イントラネットの30%がモバイルバージョンを持つようになった。2011年にはこの数字は倍の60%となり、モバイルスペースの未来はさらに明るいように思われた。しかし、悲しいかな、今年、その数字は10%にまで落ちてしまい、唯一、GenentechのみがiOS対応のアプリのモバイル表示版を提供していた(この会社ではAppleが社内の主要プラットフォームである)。LogicaとScotts Miracle-Groの両社もネットワーク上でモバイルイントラネットへのアクセスを社員に提供しているが、どちらもモバイル向けに最適化したものではなかった。

モバイルのイントラネットスペースの採用が拡大しないのには3点の理由があるように思われる:

  • いまだにイントラネットグループにメインのイントラネットサイト以外のものを開発するのに必要な予算やリソースがない
  • 統一された会社支給のモバイル機器がその組織にない限り、どの機器に絞るかをイントラネットチームが選ぶのは難しい。その結果、彼らはどの機器のためにもデザインしなくなる。
  • どんな機器でも動くようなイントラネットのモバイルバージョンを作り出すというのは考えられる解決策ではある。しかし、我々のモバイルガイドラインにあるように、従業員にとって真に役立ち、ユーザブルなものにしようと思えば、唯一のモバイルバージョンであってもウェブサイトとは別のデザインであるべきだろう。そして、2つのアプリケーションを作り出して維持するにはリソースが必要である。

モバイルイントラネットに絞ったさらなる洞察を待つ間は、モバイルのウェブサイトやアプリのためのユーザビリティガイドラインに従うのが最初のステップとしてはいいだろう。それ以外のユーザーエクスペリエンスの側面として、イントラネットのユーザビリティはウェブのユーザビリティの上に構築されることが多いように思う。というのも、イントラネットユーザーはウェブサイトも利用するため、彼らの期待の多くは一般的なサイトの経験から形作られるからである。それはモバイルデザインでも同じだろう。

UI要素を進化させる

  • 革新的なメニュー。メニューはコンテンツへのゲートウェイである。今回の受賞チーム同様、あなた方のチームも標準的ではないメニューUIについては、組織内にそのメニューを展開する前に、徹底的なテストをして、デザインの反復を行うべきである。Scotts Miracle-GroやLogica、NCRはいずれもメガメニューを採用し、カテゴリーセクションに適合させ、そのメガメニュー内にメニューを追加することもしていた。LivePersonのページの左上にあるアイコンのミニダッシュボードは、重要度の高いコンテンツにすばやくアクセスすることを可能にする想像力にあふれたやり方である。
  • Lightbox。Lightbox(古風なモーダルダイアログの後継)は今のイントラネットデザインに進入し続けており、今回の受賞イントラネットのほとんどに登場している。しかしながら、受賞イントラネットのデザイナー達はオープンダイアログボックス内での質問に特に焦点を当てたいときにのみ、Lightboxを採用することを選択し、その結果、気を散らす他のコンテンツが目に入らないようにしたいと思っている。(他のコンテンツも見えるようにし、クリックできるようにしておくことが重要なら、Lightboxは使わないほうがよい。そのLightboxが技術的にはモードレスになっていても、UIの見た目によって、ユーザーはそれをクリックしてどけようとは考えないからである)。数年前、我々はLightboxを年間最優秀インタラクションデザインテクニックに選出したが、このアイデアが広く行き渡るには少し時間がかかることは明らかである。

デザインと組織を支援する

  • 非集中型から集中型へ。今ではポータルのプログラムのおかげで、個人がコミュニティやチームスペースを作り出すことは容易になった。理論的には情報の共有を可能にする手段を提供することにはメリットがある。しかし、マイナスの副作用としては、そうすることで縦割り型の仕事の仕方が助長されてしまうというのがある。細分化されたコンテンツを抱えた組織のリスクは、情報が重複したり、最新でなかったり、不正確だったりし、それがイントラネット全体の検索あるいはメインのIAには含まれないということである。言い換えると、情報を見つけるのはほぼ不可能になる。縦割り型組織内のコンテンツというのは2000年代初頭にはよく見られた問題だったが、この問題は最近では目につかなくなっていた。今の受賞イントラネットのデザイナー達は古くからある(あるいは、少なくとも古くて新しい)問題にまた取り組もうとしている。例えば、LogicaやNCR、Skanskaはいずれも、非集中型のイントラネットサイトを誰でも見られるIAやストラクチャを備えた集中型イントラネットに変えるのに莫大な労力を使った。同様にMAN Diesel & Turboでも2つの会社のデザインを統合している。
  • Lorem ipsum dolor(訳注: 出版、ウェブデザイン等で使用されるダミーテキストのような意味のないコンテンツはやめたほうがよい。今年の受賞者達はデザインプロセスの早い時期から最後までずっとコンテンツの質に対してかなり重点を置いていた。コンテンツのマネージャーをプロセスの後のほうになってトレーニングすることは犠牲が大きく、結果的にはコンテンツを書くことより問題の修正のほうがより時間がかかるということを理解していたからである。受賞団体がしたように、トレーニングセッションや、ガイドライン、アドバイスによってコンテンツ関連の問題について前線にいる人たちに準備させることで、組織はコンテンツ関連の問題を回避することが可能である。Everything Everywhereでは「ニュース編集室のメンタリティ」を身につけることと、記事を250語以下で書くことを記事の書き手に勧めている。同様にGenentechのガイドラインでもコンテンツは簡潔かつ明快でわかりやすくなければならないということが強調されていた。Logicaでは部門ごとのページをもっと有意義なものにするために「Campaign Against Corporate Blah(:退屈な会社情報の撲滅運動)」が行われた一方、Scotts Miracle-Groでは自分たちのお客について知っていることをシェアすることに書き手の重点が置かれていた。あなた方も空白のボックスやデザインのワイヤーフレームを埋める意味のないテキストについては忘れてしまってよい。MAN Diesel & Turboの例に倣い、ワイヤーフレームには自分たちの組織の実際のコンテンツを注入しよう。そうすることでコンテンツが実際にはどのように機能し、レイアウトを動かすかを早い時期から実感することができるだろう。
  • くじかれたパーソナライゼーション。勤務地や、担当業務、所属チーム等の要素をベースに、コンテンツを各人に合ったものに絞るというのが現在のイントラネットではかなり一般的であり、ここ数年の傾向である。こうした機能によって混乱は食い止められ、従業員は自分たちに必要なアプリやコンテンツを手に入れられる。しかし、その人の勤務地が2か所だったり、あるいは多様な役割の人々を管理していて、彼らのコンテンツを見る必要があるとしたらどうなるだろうか。「スーパーユーザー」というロールを作り出さない限り、この問題は少々悩ましい。そこで、この問題は見ないことにして、ユーザーにブラウザのコンテンツを見るための別の役割を選ばせるというのが流れになってきているようである。例えば、MAN Diesel & TurboのView Content(:コンテンツ閲覧)アプレットではユーザーが部門と勤務地を選ぶことが可能になっており、そうするとそれに関連したコンテンツが当面は表示され、自分自身の勤務地に関する情報は表示されない。Skanskaでも情報は特定のユーザーをターゲットにしたものだが、柔軟性もある。検索をしたり、自分と異なる従業員のタイプとしてBrowse As(:~として見る) を実行するためにサイトのビューを切り替えれば、どんな情報でも手に入るからである。

ソーシャル!

  • 同僚についての情報に光の速さでアクセス。同僚について何か知ろうとすることがイントラネットのおかげでたいへんだった時代を覚えているだろうか。人を検索する方法を単に見つけ出すだけのタスク自体がうまくいかないこともあったりした。しかし、今日の素晴らしいイントラネットではユーザーは同僚についての情報にすばやく簡単にアクセスできる。MAN Diesel & Turboはフライアウトウィンドウを新しいレベルに引き上げ、従業員検索ボックスに検索キーワードを打ち込むと人々についての情報が即表示されるようにした。Everything EverywhereとNCRの両社のイントラネットは会社の組織図で、ポップアップを使い、同じようなことをしている。それはユーザーが誰かの名前にマウスオーバーすると、その人の所属チームや写真等の情報が現れるというものである。GenentechのホームページではWho Isセクションで社内の興味深い人物を特集し、その人の業務関連の情報だけでなく、個人的な情報も公開している。Skanskaが提供するKnowledge Map(:知識マップ)は社内の専門家を探して、質問をするのに役立っている。
  • 従業員のプロフィールとウォールのフィードを統合。ここ数年、イントラネット上でソーシャルネットワーキングが爆発的に増えているとはいえ、フィードは今年になるまではそう多くなかった。LivePersonの従業員プロフィールページはソーシャルメディアのプロフィールを強化したような機能を持つ。StaplesのユーザープロフィールページにはThe Boardという各人にパーソナライズされたフィードがある一方、Logicaのメインページではコンテンツの表示にニュースフィード的なアプローチが取られており、国、サービスのアップデート順などによってコンテンツがプッシュされる。
  • 協力的で親しみやすい経営陣。現在のビジネスリーダーは重役室から出て、情報をシェアする世界に飛び込み、それにうまく適合している。彼らはブログもするし、公開フォーラムで質問を募ったりもすれば、そうした質問に答えたりもする。例えば、Everything EverywhereではVP Space(:副社長の部屋)というコーナーが提供されているが、そこで副社長たちと部下のチームはブログやビデオ、ステータスアップデート、写真、投票を通じてコミュニケーションをしたり、関係を築いたりしている。GenentechのExecutive Committee Bios (:役員会の経歴)では寿司とサラダのどっちが好きか、コーヒーと紅茶のどっちが好きかといった興味深い小ネタに力を入れている。LivePersonとLogicaのCEOのブログはいずれも各々のイントラネットの中で人気で、どちらのCEOも自分たちの組織の透明性を保つことの一翼を担っている。
  • (ビジネスコンテンツだけでなく)個人に関するコンテンツも応援雇用主は従業員人間として認識されたいということに気づいており、このことをイントラネット上で実証しようとしている。Staplesでは業務と個人の両方のトピックについてブログやフィードに書きこむことが奨励されている。LivePersonのイントラネットでは従業員が情報をシェアすることを促すソーシャル機能が豊富に提供されている。Logicaでも従業員はAbout Me(:自己紹介) コンテンツで自分のプロフィールをパーソナライズすることが可能である。

以下も参照: 「Enterprise 2.0」 — イントラネットのソーシャル機能での徹底的な調査。

ROI

ここ数年、イントラネットチームの中には断片的ではあっても投資利益率のデータを集めているところが多い。それが一番顕著なのがCenturyLinkとEverything Everywhereである。その共通する測定テーマは人々が何かを探している間に閲覧するページが減っているかどうか(これによってIAや検索、相互リンクの質がわかる)、イントラネットをより使うようになっているか(これによってエンゲージメントの度合いがわかる)、あるいは適切なエリアで過ごす時間が増えているか(これによってエンゲージメントの度合いと正しいコンテンツを探し出す能力の両方がわかる)、である。

GenentechやLivePerson、Logica、Scotts Miracle-Gro、Staplesはユーザーの興味の指標として、コメントや記事ごとのレーティング、写真の提供、ブログの投稿、項目へのタグ付け、投票への参加といった別の項目を挙げていた。

NCRは部門内にコンテンツが留まることによる影響についての指標を集めていた。過去、ユーザーは、あるイントラネットサイトに会社の最新情報を求めて行き、人事(HR)情報のためには別のサイトに行き、そしてマーケティング用の印刷物やオンラインアプリケーションにアクセスする必要がある場合にはさらに違うイントラネットサイトに行くということをしていた。イントラネットが新しくなったおかげで、ユーザーが情報を見つけるためにイントラネットサイトを訪問する回数は3分の1以上も少なくなり、訪問回数は482,362回から320,620回に減少した。

投資に対するポジティブなリターンや、進化したデザイン、ソーシャルエンゲージメントの増加、経営陣のより強力なサポート、企業規模比で見たイントラネットチームのサイズ拡大により、今回、2012年の受賞イントラネットデザインは尊敬し、学ぶことのできる素晴らしい事例を提供してくれている。

フルレポート

2012年の10の受賞団体の187枚のスクリーンショットを含む、431ページのIntranet Design Annualがダウンロード可能である。