コンテンツインテグレーション

インターネットはネットである。そのパワーの源のほとんどは、それまで互いに関係のなかったコンテンツ間の垣根が取り払われたことによる。今後のウェブを担うと期待されているもののほとんどは、バラバラな発信元からのコンテンツをひとつのデザインに統合するものだ。

  • 巨大な多国籍企業は「ミニYahoo」を作ろうとする。従業員が、他の部署からのドキュメント、それに外部の情報プロバイダからライセンスを受けたコンテンツ(例えば、各業界のニュース)を閲覧したり検索したりできるようなイントラネット用ポータルだ。結果的に、ディレクトリ一覧も、検索結果も、モリネズミの巣のように入り組んだカオスになるだろう。
  • 小さな国家は、オンラインにあるすべての政府情報を統一するインターフェイスを作りたがる。多くの閣僚や政府の全部署、それに地方自治体の大部分を網羅したものだ。もちろん、内閣の各部門はそれぞれの情報構造を持っていて、そのデザインに関して他の部署に口を出されたくはないだろう。言うまでもなく、市や郡の行政に、首都から来たガイドラインを守らせるのは難しい。
  • eコマースサイトでいくつかの異なった製品ラインを扱う場合、各製品ラインごとにその記述内容は異なる。書籍なら著者とページ数、ビデオなら評価度数、監督、それに分単位で表示された上映時間、CDなら、同じMozartの交響曲でもオーケストラの違いで何種類もの録音が存在している。各製品ラインはそれぞれ独自のデータベースを持ち、カテゴリー一覧ページも、検索エンジンも独自のものを用いている。だが、ある販売状況においては、顧客のニーズと購買状況に合わせてユーザ体験を組み立てた方がいい場合もある。例えば、ギフトには何を贈ったらいいかというような場合である。あるいは、ある本にもとづいて制作された映画と、その本を、相互に販売するというような時もそうだ。
  • コンピュータ会社では、ヘルプ情報の発信源が複数ある。従来のマニュアル、サポート電話をまとめた「知識ベース」、チュートリアルやテキスト、manページ、FAQ、ホワイトペーパー、ニュースグループ、その他たくさん。時にはこれらが複数のウェブサイトに分散している(これを書いている時点で、Microsoftには9種類のサポートサイトが列挙されていて、ドロップダウンメニューで選べるようになっている。これらサイトの多くが、さらにまた別のリソースにリンクしている)。ユーザは自分の疑問が解決できさえすればそれでいいのだ。情報源はどこか、また、それをメンテナンスしているのは企業内のどの部署か、なんてことは関係ない。
  • NewsSearch.UserLandのようなヴァーティカル型検索エンジンは、複数の検索結果のフォーマットを統一してひとつのリストにし、各サイトごとの執筆スタイルや注釈のくわしさの違いを明確にしてくれる。

これらどのケースでも、ユーザが自分の頭を使って統合化を行わなくてはならないとすれば、ユーザビリティ上の問題である。同じ情報源がデザインしたおかげで、2つのものを見比べて、確かに比較可能だと納得できるようになっているウェブサイトでさえ、情報を見つけ出すのは大変なことだ。コンテンツインテグレーションがないのなら、ウェブ以前の暗黒時代、それぞれのデータベースがスタンドアロンの閉鎖的システムだった時代に逆戻りする方がマシかもしれない。

統一されたメタコンテンツが必要

コンテンツインテグレーションを成功させるには、独立した情報源が、それぞれのコンテンツユニットを記述するためのメタデータを標準化する必要がある。

  • 見出しの執筆スタイルは、ユーザがざっとリストを見て、それぞれの見出しが何にリンクしているかわかるようでないといけない。
  • 制限されたキーワード語彙 – あるいは最低でも以下のものを規定したガイドラインが必要だ。
    • どのタイプのキーワードをどんな場合に使うべきか
    • 利用するキーワードの数
    • キーワードを決定するにあたってどの程度の議論をなすべきか
    • キーワードの重み付けについてのルール
  • リンクのやり方も各コレクション間でどうするか決めておくべきだ
  • 変数によるアクセスをしやすくするための基準。例えば、何をもって作成日時とするのだろうか?変更日を書き換える必要があるのは、どの程度変更した時点からだろう?
  • コンテンツクラス間の差別化を、統一的インターフェイスの中でどのように出していくのか。例えば、詳細な調査報告書と、一段落のニュースアイテムの違いをはっきり出すにはどうするべきか。

複数の情報源からのコンテンツに完全な調和を望むのは、楽天的に過ぎるだろう。ゆえに、異なったコンテンツコレクションをうまく扱えるように、ソフトウェアを進歩させることも必要である。検索エンジンは自由文検索を超えるものを目指すべきだが、だからといって、あらゆるものにまったく同じフォーマットを押し付けるようであってはいけない。

異なった情報源からのコンテンツを集める場合、インテグレーションを第一に考えていないと、インターフェイスはすぐ複雑になる。統一的デザインを求めても実現はなかなか難しく、組織内部の力関係やグループ同士の小競り合いに打ち勝つのは大変なことだ。だが、ユーザには関係ない。彼らが意識するのは、ユーザ体験がひとつの全体なのか、それともつぎはぎだらけなのかということでしかない。

1999年6月27日