優先順位をつけること:
よいコンテンツは上のほうに
あらゆるものが目立っているというのは、何も目立っていないのと同じだ。ユーザに助言を与え、もっとも重要、あるいはもっとも有望な選択肢に誘導するのがデザイナーの役割だ(とはいえ、彼らの選択の自由は尊重しなくてはならない)。
今日のウェブで最大のミスは、あらゆるものを目立たせすぎることだ。色やアニメーション、ブリンク、グラフィックの使い過ぎだ。ページ上の全要素が「私を見て」と叫んでいる(一方、他のデザイン要素も「いや、オレを見てくれ」と叫んでいる)。あらゆるものを強調すると、何も強調したことにならない。
すべてを平板にしたのと同じくらい悪い。
ここに挙げたのは、ユーザを誘導するための優先順位のつけ方である。
- もっとも重要なストーリー、アイテムを編集的に取捨選択すること。それらにより大きな見出しを与え、もっと目立つ位置に置くこと。これらは、新聞社が過去何百年も応用してきた原理である。
- 販売統計を利用して、最もよく売れる製品を見つけ、これを検索結果の最上位に持ってくること。定義に従えば、ほとんどの顧客はベストセラーを求めている。だから、無神経な検索アルゴリズムが吐き出した検索結果の中に、これらの製品をうずもれさせてしまうことは、彼らに敵対する行為なのだ(さらに言えば、SKU番号や、その他の内部用属性でソートをかけられても、ユーザにとってはまったく意味がない)。Buy.comで「Palm」を検索した結果を見て欲しい。トップにはベストセラーが3つ入っている。その後に、他の60製品が続く(優先順位の点以外では、Buy.comの検索結果ページはひどいものだ。流し読みしにくく、へんてこな略語や記号だらけだ)。
- サーバートラフィックを見て、常にたくさんのアクセスを集めているエリアを見つけ、ホームページにこれらのエリアに対するリンクを設けることだ。ユーザがクリックする回数を節約できるだけでなく、今、何が一番話題になっているのか、知らせることもできる。
- 評価管理を利用して、もっともよい記事を書く見込みのある人は誰かを予想しよう。過去に高い評価を得た人がいるなら、その人の書いた新しい記事は、目立つ場所に置く値打ちがある。Epinionsには、もっとも信頼の厚いレビュー記者は誰かがわかるような評価データがあって、この人たちが投稿した記事は、誰の評価も受けないうちから目立った扱いを受ける。
- 他の評価軸で列挙されたリストであっても、もっとも人気のあるアイテムは目立つようにしておこう。私自身、この手法を過去のAlertboxコラムのリストの中で用いている。
- 徐々に更新を続けるページでは、新規アイテムに、小さな「New」マークをつけておこう。常時更新しているページ(例えば新聞社のホームページがそうだ)では、この必要はない。その種のページでは、ほとんどのものが新規アイテムだと仮定できるからだ。
優先順位付けには、大きく分けて2つのタイプがある。
- アイテムをリストする場合、ユーザのニーズがもっとも大きいと思われるものをトップに持ってくるか、あるいは目立つようにしておく。
- 時には、サイト内の奥深くにあるコンテンツを掘り起こして、上位レベルに置いてやる必要がある。何が新しくて、何が話題になっているのか、ユーザに理解してもらうためだ。
ユーザが必要とするものをより多く与えるというのが目的だ。そして、必要なものへのアクセスを容易にしておくこと。これは必ずしも、ユーザが欲しているものと一致しているとは限らない。カスタマイゼーションによって、ユーザは優先順位を自分で決めることができるようになる。これも、ハイライトすべきコンテンツ、目立たせるべきコンテンツを見分けるための一法だろう。だが、ユーザ自身の選択だけでは、インターフェイスの優先順位付けのための根拠としては不十分だ。私がこれまでに論じたようなメカニズムも、同時に採用しなくてはならない。こうすることで、自分では必要と気づいていなかったものにまでユーザを誘導することができる。
打ち明け話: 私はEpinionsの顧問を務めており、また、Motley Foolの依頼を受けて働いたこともある。
1999年10月17日