アクティブユーザのパラドックス

パーソナライゼーションに関するコラムへの補足記事

アクティブユーザのパラドックス」とは、John M. CarrollMary Beth Rosson(当時IBM、現在はVirginia Tech)が提案した概念で、1980年代初期にIBM User Interface Instituteが行ったいくつかのユーザ調査に共通して見られた現象(のちに、他の調査でも確認済み、その中には私自身の調査も含まれている)を説明するために創案されたものである。ユーザは絶対にマニュアルを読まない。いきなりソフトウェアを使い始めるのだ。彼らには始めようという意欲が旺盛であり、目前には片付けるべきタスクもある。システムそのものには関心がなく、事前の取り決めや設定、学習パッケージに時間を割くつもりはないのだ。

長期的に見れば、最初にシステムを最適化し、学習する時間を取った方がかえって時間の節約になる。「アクティブユーザのパラドックス」がパラドックスたる理由はここにある。だが、実世界のユーザはそういう行動を取らない。理想的な理性あるユーザを目標に製品を作るエンジニアを放任できないのは、これが理由だ。本物の人間は理性的ではないのだ。実際にユーザが取る行動を元にデザインしなければならない。

参考文献

Carroll, J.M. and Rosson, M.B. (1987). The paradox of the active user. In J.M. Carroll (Ed.), Interfacing Thought: Cognitive Aspects of Human-Computer Interaction. Cambridge, MA: MIT Press.

公開:1998年10月4日
著者:Jakob Nielsen

分類キーワード