オープンデータを活用した調査設計

デジタル一眼レフの場合

新たな調査課題が出てきた際、手始めに周囲に聞いてみたり、検索したりというのが最初の一歩かと思います。ここでは、デジタル一眼レフのユーザー調査を例に、最初の「あたりを付ける」段階から、実際の調査設計に向けての作業を一緒に追っていきます。

デジタルカメラ全般について、ざっと周りの方の話を聞いたり、各種の記事をあたったりすると、おおよそ以下のようなことが一般論として言えるのではないでしょうか。

  • ケータイ(スマートフォンではなく)にカメラがついて「写メール」ができたり、デジタル化でフィルム/プリント代が不要になったりしたことで、以前(デジタル化以前)と比べ「写真を撮ること」は身近になった。
  • デジタルカメラも登場当初は画質の割に価格が高かったが、10年ほど前から手頃な値段で性能も満足できるものとなり、持っている人が増えた。
  • コンパクトタイプのデジタルカメラ(通称コンデジ)は、スマートフォンのカメラ性能向上に伴い売上が下がっているが、デジタル一眼レフはスマートフォンとのすみ分けが出来ているため堅調。

オープンデータを読み解く

そこで、上記のような印象を、数字の面から見ていきましょう。カメラの場合、「一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)」が出荷数量や出荷金額を公表しています。

まずは「カメラ・交換レンズの総出荷数量」で見てみましょう。世界合計、日本、欧州、アジアなど地域別データがありますが、ここでは日本のデータを見てみます。
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出典:一般社団法人 カメラ映像機器工業会『カメラ・交換レンズの総出荷』

カメラ映像機器工業会、すごいですね。65年前の1951年、カメラ合計出荷台数13.5万台から毎年欠かさずデータが出ています。これによると、デジタルカメラが初めて統計に出るのが1999年で、それ以前(フィルムカメラ)のピークは1990年の538.1万台。デジタルカメラのピークは、2008年の1,111.1万台。キレイなゾロ目です。ただ、翌2009年はリーマンショックの影響か一旦減少しますが、2010年には1,057.3万台と再び増加します。

大きく捉えると、フィルムカメラは1990年代に安定して500万台程度売れており、デジタルカメラは、2007年から2010年がフィルム時代の約2倍、1000万台程度売れていたことがわかります。
ところが、スマートフォンの影響はやはり大きいようで、2015年には489.7万台とデジタルカメラ全盛期の半数程度に落ち込んでいることがわかります。

もう一点の注目ポイントは交換レンズ。フィルムカメラ全盛期の1990年代が130万本前後であったのに対し、デジタル時代の近年は2012年以降300万本以上売れています。このことから、近年デジタルカメラ全体の台数はピークの半数となっていますが、デジタル一眼レフは堅調と読み取れます。

そこで次に、同じく日本の「デジタルカメラの総出荷数量」で見てみましょう。

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出典:一般社団法人 カメラ映像機器工業会『デジタルカメラの総出荷』

デジタル一眼レフが初めて統計に出るのは2003年の16.5万台。この時、デジタルカメラ全体では843.9万台売れていますので、デジタルカメラ全体に占める一眼レフ比率は2.0%。それが2014年、2015年では30%を超えていることがわかります。

また、好調なデジタル一眼レフではあるものの、この台数ピークも2013年(233.4万台)で、2015年はそれが162.8万台まで落ち込んでいます。
※ここでは「デジタル一眼レフ」と表記していますが、カメラ映像機器工業会の定義では「レンズ交換式カメラ」です。また、それが「一眼レフ」と「ノンレフレックス(いわゆるミラーレス)」に分かれていますが、ここではその合計値を扱っています。

もう一点の注目ポイントとして、デジタル一眼レフの平均単価(出荷価格)は、2011年の38,800円が下限で、2014年には47,700円へと上昇しています。コンデジ(レンズ一体型カメラ)の平均単価も、2012年の11,900円から、2015年には14,300円まで戻しており、近年付加価値の高い上級機種へのシフトが進んでいると読み取れます。

この数字を踏まえて、調査設計上のポイント

対象者出現の面で言えること

  • デジタル一眼レフユーザーへの調査を考える場合、2010年以降は毎年150万台以上売れているため、累計としてはそれなりの数となる。また、自動車のように保有し続けることへの負担はほとんどないため、「保有率」としては毎年増えていると考えるのが自然。
  • 交換レンズが近年好調であるのは、デジタル一眼レフが活用されている、楽しまれている証といえる。
  • ただし、販売台数は減っているため、直近購入者に絞った調査は困難。例えば直近1年のデジタル一眼レフ購入者にアプローチしたいと考えたとしても、2015年の162.8万台は人口比にすると1.3%にしかならない。(12500万人で計算)
  • 交換レンズの販売好調、平均単価の上昇から、いわゆるエントリー機(キヤノンKissシリーズやニコンD3000/5000番台)よりも、中級機、上級機の比率が高まっていると推測される。

ユーザー属性や検証したいポイント

  • 直近の販売台数減から、新たなユーザー(初めてデジタル一眼レフを買う人)は減少していると考えられる。
  • 代替または追加購入層が増えているとすれば、購入機種のランクは初回購入時より上がっているのか?
  • 上位機種シフト、交換レンズ購入増があるとすれば、そのきっかけとなるポイントは何か?
    (何を撮影し、どのような機能性能が求められているのか)
  • コンデジにスマートフォンのカメラ性能向上に伴う需要減があるとすれば、ユーザーがデジタル一眼レフに期待するスマートフォンのカメラとの差異は何か。
    (どのような画質や操作性の違いに価値を見出しているのか)

最後に

この記事の詳細はイードまでお問い合わせください。

イードのリサーチ事業本部では、新たな調査のご依頼をいただく際に、上記のようにオープンデータを活用して、「既存の資料で分かることは盛り込まず、聞かなければわからない意識にフォーカス」した調査設計を心がけております。

今回はデジタル一眼レフの事例ですが、自動車、情報機器、食品などそれぞれの分野で上記のようにオープンデータを活用しております。お問い合わせ・お見積りは無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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公開:2016年6月2日
著者:U-Site編集部

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