製品・サービスの利用体験を向上させる調査手法

顧客の満足度を向上させるのに有用な、開発・運用の各段階で用いられる様々な調査手法を紹介します。

製品・サービスの満足度の向上には、顧客視点が不可欠

顧客に満足してもらえる製品・サービスにするには、顧客が置かれている状況、持っているニーズ、利用したときの実感・反応といったことを把握し、製品・サービスの内容にフィードバックする調査が有用です。

顧客参加型調査としては、開発中や運用中といったタイミングによって、様々な手法があります。

具体的には、「コンセプトの具体化」段階、「UIの具体化」段階、「販売中/運用中」の段階で、顧客から情報を収集します(UIとは、たとえば、目にする画面や説明、操作するボタンやナビゲーションなど)。

製品・サービスにAI(機械学習モデル)を搭載する場合は、その実装・構築のためにデータを収集します。

各調査手法の説明

コンテキストインタビュー
特定の製品・サービスの利用状況を顧客に再現してもらいつつ、その最中に、適宜、インタビューを行うことで、行動やその背景を把握します。(参考:コンテキストインタビューに関するコラム記事
エスノグラフィー調査訪問調査
特定の製品・サービスを顧客が利用している場所を訪れて、インタビューだけでなく、現場の観察からも、行動やその背景を把握・考察します。
日記調査
特定の製品・サービスの利用状況を顧客にメモしておいてもらい、その記録を分析することで、行動やその背景を把握します(他の調査と併用)。
ペルソナの作成
製品・サービスでターゲットとする仮想顧客像を、コンテキストインタビューなどの調査から得られた具体的な情報をもとにかたちづくります。(参考:ペルソナに関するコラム記事
カスタマージャーニーマップの作成
顧客のニーズや、製品・サービスを利用する際に遭遇する問題について、利用の前後も含めて、顧客が体験したプロセスを時系列で可視化します。(参考:カスタマージャーニーマップに関するコラム記事
顧客像やニーズなどの割合を把握するアンケート
想定顧客像の特徴に近い人がどのくらいいるのか、また、その顧客像が持つニーズをどのくらい実感しているのかなどを定量的に把握します。
コンセプト受容性評価
検討中の製品・サービスのコンセプトを文章や図で想定顧客に提示し、それに対する反応から、そのコンセプトの受容性や利用意向を把握します。
カードソーティング
情報構造設計の参考のため、特定の分野に関する情報が記された大量のカードを顧客に分類してもらうことで、顧客の知識構造を理解します。(参考:カードソーティングに関するコラム記事
ユーザビリティテスト
設計途中や実働中のUIを想定顧客に試用してもらい、それを観察することで、わかりやすさや操作性の問題の所在や、その問題の原因を探ります。(参考:ユーザビリティテストに関するコラム記事
ヒューリスティック評価
顧客参加型の調査を多数実施してきた専門家が、これまでの経験や、ユーザビリティ原則(ヒューリスティックス)に基づいてUIを評価します。(参考:ユーザビリティヒューリスティックスに関するコラム記事
行動データ収集
AI(機械学習モデル)構築や、制御プログラムのしきい値設定のために、人の動きの加速度センサーデータや、人の発声データなどを収集します。
競合との定性的な比較評価
製品・サービスの内容や機能を、あらかじめ定めた定性的な観点で、顧客参加型調査の経験豊富な専門家が、自社と競合を比較評価します。
競合や過去とのベンチマーク評価
自社と競合、また、自社の以前のバージョンと現在のバージョンなどの、操作にかかる時間や操作後の満足度など、定量的なデータを比較します。
NPSやWUSを測定するアンケート
製品・サービスに対する顧客の信頼度や愛着度、また、UIの操作性の高低を、NPSやWUSなどの尺度で定量的・継続的に測定します。
UIデザインガイドラインの策定
(これは調査ではありませんが)自社や他社の製品・サービスと一貫性のある操作性にするため、顧客視点でUIの設計ルールを決めていきます。(参考:一貫性に関するコラム記事

デジタル製品・サービスで重要な、UIのわかりやすさと操作性

Webサイトやスマートフォンアプリに限らず、デジタル製品・サービスを利用した際の顧客の満足度には、「画面や説明がわかりやすいか」「ボタンやナビゲーションが操作しやすいか」などが大きく影響します。

このような、利用者にとってのわかりやすさや操作しやすさのことを、「ユーザビリティ」といいます。

わかりやすく操作しやすい、つまり、ユーザビリティが高ければ顧客は満足し、「このサービスを継続して利用したい」「買い替えても同じメーカーの製品を利用したい」という意欲も高まります。

逆に、わかりにくい・操作しにくいUIだと顧客は満足できず、継続利用や再購入の意欲の低下につながります。特にデジタルサービスは乗り換えが容易なため、すぐに諦め、離脱してしまうことが考えられます。

わかりやすさ・操作しやすさを第一にUIを設計すること、また、本当にわかりやすく操作しやすいUIになっているかどうかを顧客視点で確認することが、デジタル製品・サービスの開発では重要なのです。