情報洪水から逃れるための10ステップ
優先順位をうまくつけ、仕事の中断を減らし、情報を凝縮して、見つけやすく管理しやすい状態にしておけば、生産性はより向上し、同僚の時間を無駄にすることもなくなる。
私たちの知識環境を襲う情報汚染は、ますます拡大している。知らなければいけない情報が、無関係な情報に埋もれてしまっているのだ。その兆候は、以下のような形で現われている。
- ほとんどの企業では、従業員は 1 日あたり 1 時間以上の時間を電子メールの処理のために浪費している。
- 出来の悪いイントラネットを使う従業員は、仕事に関係する情報を探すために、トップ 25 %のユーザビリティを持つイントラネットと比較して、毎年 48 時間も余計に費やすことになる。この結果もたらされる生産性のロスは、中規模の企業でも何 100 万ドルにもなる。
- 多くのウェブサイトは、基本的な質問への答えを、無用な企業アピールの中に埋もれさせていて、ユーザを遠ざける結果となっている。
- 顧客が本当に求めている電子メール、例えば、有用なニュースレターや、顧客サービスの確認メールは、あふれかえった受信箱の中で生き残れない。よい電子メール・デザインの原理を無視する送信者が多いからだ。
個人ができること
どんなタイム・マネジメントの講習も、結局は、基本的なひとつのアドバイスに要約できる。優先順位をつけ、目的達成のために不可欠な仕事に、多くの時間を割り当てること。中断を最小限に抑え、生産的で創造性の高い活動のために、まとまった時間をあてるのだ。
不幸なことに、現在の情報システムは、正反対のアプローチを促している。その結果、勤務時間は中断指向となり、生産性は低下している。以下に示すのは、時間のコントロールを取り戻すための 6 つのステップだ。
- 四六時中、電子メールをチェックしないこと。大きなプロジェクトの合間に休憩をとり、この時間をメールの処理にあてる。メールにプロジェクトの邪魔をさせない。優先順位に関して、コンピュータの言うなりにならない。電子メールソフトの Biff 機能(電子メールが届くたびに動作するわずらわしいベル音や、画面点滅などの機能)を停止させよう。Microsoft Outlook の場合、ツール > オプション > 全般を開き、「メッセージが届いたら音を鳴らす」のチェックを外せばよい。
- 電子メールの返事を送るとき、「全員に返信」を使わない。軍隊では根強い人気のある「知るべき」原則にしたがい、その返信内容から実際に利益が得られる人にのみ、フォローのメッセージを送ろう。
- 電子メールにはわかりやすい件名を使おう。受信者は忙しくて「こんにちは」のような、できの悪い件名のメールを開いている時間はないと思っていたほうがいいだろう。
- 個人的なメール、およびニュースレターのための専用の電子メール・アドレスを設けよう。このアカウントは 1 日に 1 回しかチェックしないようにする。(もし、フィルター機能を使いこなせるくらいのオタク度があるなら、フィルターを使ってメールの仕分けと優先度を決めよう。残念ながら、現状では平均的ユーザには難しすぎる)
- 短く書こう。『ハリー・ポッター』の作者は、電子メールのお手本には向いていない。
- リアルタイムのやり取りに真の価値があるコミュニケーションでない限り、インスタント・メッセンジャーの使用は避けよう。同僚の手を 1 分止めさせると、結果的に彼らの生産性を 10 分奪うことになる。それまでやっていたことを思い出し、「流れ」を取り戻すのに時間がかかるからだ。インスタント・メッセンジャーで本当に価値のあるメッセージは、間接費の 1000 %の価値があるものだけだ。
企業ができること
企業レベルでは、あと 4 つのステップを踏む必要がある。
- 顧客からよく聞かれる質問の回答をウェブサイトに掲載する。わかりやすく、簡潔な言葉を使うこと。これで顧客は多くの時間を節約でき、あなたの評判は上がる。やっかいな顧客からの電話や電子メールで時間を取られる心配もなくなるだろう。
- イントラネットのユーザ調査を行う。すっきりと整理して、従業員が、欲しいものをすぐに見つけられるようにしよう。また、必ずイントラネットのホームページから入るようにして、そこで企業内のニュースやイベントが一目でわかるようにしておく。
- 全従業員あての社内メールは流さない。そのかわり、イントラネットに載せよう。そうすれば、必要なときにいつでも見ることができる。(もっとも、これは、イントラネットのユーザビリティが修正済みだとしての話だが)
- 電子メールは即答の必要なし、という企業文化を定着させる。従業員は、絶え間ないメール・チェックの重圧から開放され、より多くの仕事を成し遂げることができる。
既存の情報汚染を乗り切り、新たな汚染を減らすために、個人として、組織として、私たちにできることはいろいろある。この問題を無視しても、年を追うごとにひどくなるだけだ。今すぐ行動すれば、この問題はなんとかできるはずだ。
2004年1月5日