イントラネット上のソーシャルネットワーキング

「Web 2.0」から「Enterprise 2.0」に向かって、コミュニティ機能が広がっていっている。14社にわたる調査の結果、多くの企業がイントラネットのソーシャル機能を生産的に利用していることがわかった。

数回にわたるイントラネットポータルの調査を通じ、我々は繰り返し、以下の同じ結論に達した:

  • イントラネットの情報アーキテクチャが組織図に従って構築されていると、従業員はその中で自由に動き回るのに苦労する。情報はそれをどの組織が所有しているかというのではなく、人々がどう使うかによって構造化した方が良い。
  • 役割ベースのパーソナライゼーションによって、ユーザーは個々の(そして分散した)情報がどこにあるかを見つけるために膨大な情報空間をナビゲートする必要がなくなり、ポータルによって一箇所にまとめられた状態の情報を見ることができるようになる。

イントラネット上のソーシャル機能はこの2つのトレンドにさらにもう一歩踏み込んだものである。そこでは個々のユーザーと共にイントラネット上の他の人々にもフォーカスした「個人を構造化した」イントラネットIAを作り出そうとしている。

もういいかい、Enterprise 2.0が行くよ

自分の生活にソーシャルメディアを喜んで受け入れている人は、会社でも似たようなツールが使えたらいいなぁと自然に期待するものだ。このことは、こうしたツールを日常的に使用している若い従業員には特に当てはまる。オープンなコミュニケーションやコラボレーション、コンテンツ生成は、コンピュータや携帯電話の使用と同じくらいに彼らにとっての標準的なツールキットの一部になっている。

では、企業はWeb 2.0がEnterprise 2.0の推進力になるだろうという高まる期待にどのように対応していくべきだろうか。

  • ゆっくりとした道を選べば、企業は、自分たちの業務でのコミュニケーションの方法に、外の世界の革新を直接反映することを期待する従業員を失うリスクがあるだろう。
  • 迅速に採用すれば、企業は、これらのツールの採用に伴いうる企業文化に対するリスクを乗り越える道を探る必要がある。

あなたの組織がこの新たなテクノロジーをどのように扱うべきか、また、自社の文化に融合させるためにどのように適合させたらよいかについて、もしまだ検討中であるというなら、あなたの会社は良い会社である。我々の調査での大きな発見の1つは、「ソーシャルソフトウェアについて検討している」という答えを進行中と見なさない限りは、Web 2.0テクノロジーの全面的な採用ということに関して、たいていの企業があまり進んでない状況にある、ということだ。インタビューに応じた企業から繰り返し聞かされた台詞は、「来年、聞いてください」というものだった。

しかし、思い切って採用した組織では、既にいくつかのことが明らかになっている。ソーシャルソフトウェアは無視できないトレンドであり、従業員が、お互いや取引先企業の両方とのコミュニケーションにどういう期待をするかという点で根本的な変化をもたらしている。そして、企業はきっちりとした線引きができず、従業員が顧客とのコミュニケーションにWeb 2.0を使うことはよしとしながら、従業員同士でのコミュニケーションには使ってはならないとしている。

現在の経済情勢の中、企業はさまざまな問題に取り組んでいる。そこでは、「ティーンエイジャーが使うツール」をその会社のイントラネットに急いで追加することは優先される事柄ではないのかもしれない。

そうだからかもしれないが、我々の調査では、企業で成功しているソーシャルメディアの多くは、ひっそりとした草の根の取り組みから始まっていた。驚くかもしれないが、企業というのは、誰がテクノロジーの主導権を持つかということに対して厳しく目を光らせており、全ての従業員に標準的なデスクトップビルド、つまり指定したバージョンのウェブブラウザを使うように強制しているところが多い。市販のWeb 2.0ツールを密かに採用することは、規格外のふるまいと見なされるが、ユーザーの方が経営陣よりもそうしたツールに価値を見いだし、それが社内でも使えると考えている可能性は高い。

ケーススタディ

イントラネット上でどのようにソーシャル機能を使うのが一番良いかを調べるために、我々はいつも通りのアプローチを行った。つまり、これが流行っているという広告宣伝にはふりまわされず、その代わり、実際に役に立つものを探そうとした。

このプロジェクトのため、我々は以下の6カ国、14企業のケーススタディのデータを収集した:

  • AXA UK(イギリス)
  • Agilent Technologies, Inc.(アメリカ)
  • American Electric Power (AEP)(アメリカ)
  • BT(イギリス)
  • IBM(アメリカ)
  • Intel(アメリカ)
  • Johnson & Johnson Pharmaceutical Research & Development, L.L.C. (アメリカ)
  • Officenet Staples Argentina(アルゼンチン)
  • Portugal Telecom ? Sistemas de Informacao(ポルトガル)
  • Philips Healthcare (Koninklijke Philips Electronics N.V.の一部門)(オランダ)
  • The Rubicon Project(アメリカ)
  • Sprint Nextel Corporation(アメリカ)
  • Sun Microsystems, Inc.(アメリカ)
  • Telecom New Zealand Limited(ニュージーランド)

これらのケーススタディに加えて、匿名希望のいくつかの企業からも併せて情報を収集した。

調査結果

ひょっとすると、イントラネット上の他のどの革新よりも、ソーシャルソフトウェアテクノロジーは企業のコミュニケーションとコラボレーションにおける欠点を浮き彫りにするだろう。そして、その欠点は、(動きが遅れがちである)企業がその流れを十分に捕まえる(そしてコントロールする)ことができる前に埋められてしまうこともありうる。

我々が調べたソーシャルメディアに関する第一歩の中から、あなたが驚くかもしれないものをいくつか挙げよう:

  • 隠れた努力が大きな成果をもたらす。企業はその価値が証明されるまでは非公式のソーシャルソフトウェアによる隠れた活動に見て見ぬふりしている。そして、その価値が証明されれば、企業内で認める。
  • 現場の従業員がビジョンの推進力となる。上級管理者は業務以外ではこうしたツールを積極的には使っていないため、enterprise 2.0がもたらす革新の可能性を受け入れられないことがよくある。実際、多くの上級管理者はこうしたツールは自分の子供達が使う類のものだといまだに思っている。enterprise 2.0に関する決まりの悪い事実の1つは、こうしたツールの使い方を若い従業員に教えたり、使うように説得したりする必要はないということである。私生活でもそうしているように、彼らはその使い方を予測して、簡単に業務の中に統合できる。
  • コミュニティには自警機能がある。自分たち自身の裁量に委ねられると、組織的な厳しい管理の必要性もほとんど無いまま、コミュニティというものはお互いを監視し合うものである。そして、こういうピアツーピアでの監視が企業による管理よりも効果的なことは多い。我々が調査した企業では、コミュニティ内での荒らしはほとんどなかった。
  • ビジネスニーズが大きな推進力である。我々のリポートでは特定のツール(ブログ、wiki、等)についてしか論じていないが、enterprise 2.0の威力はツールにあるのではなく、そうしたツールによって可能になるコミュニケーションの転換にある。
  • 組織は権限を委譲しなければならない。顧客とのコミュニケーションのためにWeb 2.0テクノロジーを使うと、そこでのメッセージを自分たちではもはやコントロールできなくなるということを多くの企業が学んでいる。これは社内コミュニケーションのためのWeb 2.0ツールの使用にも当てはまる。会社に関わるメッセージのやり取りに対して指揮管理という枠組みを過去に保持していた企業にとって、このスタンスを維持するのは骨が折れるだろう。

ツールだけに意味があるのでなく、ツールが扱う事柄にこそ意味がある

人というのは、広義のコンセプトを説明する具体的なものに本能的にしがみつくものだ。Web 2.0では、そうした具体的なものがツールにあたる。「Web 2.0」の話になると、すぐにその後には、ブログやwiki、あるいはタグ付け、といった用語や、時にはFacebookやTwitter、Wikipedia、YouTubeのようなブランド名が続くことが多い。しかし、実際には、ソーシャルソフトウェアで本当に重要なのはツールではない。ツールによってユーザーが何をすることが可能になるのか、そして、そのツールが扱うビジネス上の問題に意味があるのである。

全てのケーススタディにわたっての我々の唯一の結論は、ソーシャルメディアやコラボレーションのテクノロジーで組織が成功するのは、確認されているビジネスニーズを解決するためにソーシャルメディアのツールがデザインされているときのみ、ということである。会社が違えば優先順位も違うし、社内のコミュニケーションのスタイルも違う。つまり、全ての会社にとって、全てのツールが必要なわけではない。ニーズを支援するツールをピックアップすることは当たり前のように聞こえるけれども、それは、今、インターネットに関して何が流行っているかということについてばかり話題にするテクノロジー崇拝とは正反対のものである。

したがって、「ウェブではXが人気だから、イントラネットにもそれを使おう」と言うのではなく、「Yを遂行しなければならないとき、我々にとってXは助けになるだろうか」という言い方をしよう。

こうした視点で捉えると、ツールというのは明らかに付随的なものであり、イントラネット上の全体的なユーザーエクスペリエンス内に適切に統合される必要がある。したがって、実際のプロジェクトでは、チームはツールを微調整し、ツール間の連携の構築に注力することになる。ソーシャルソフトウェアについても当てはまる古い教訓の1つは、大量の独立したツールがもたらすのはばらばらのユーザーエクスペリエンスであり、その結果、環境間を移動するのに従業員はとてつもない時間を無駄にしなければならなくなるということである。我々は10年以上にわたって、イントラネットにおける統合されたユーザーエクスペリエンスや一貫したデザイン、そして、テクノロジーよりも人間に寄り添って構築された機能の必要性を論じてきたが、これらはどれも今でも正しいのだ。

ソーシャル機能を統合して、ユーザーをそっと誘導する

自分の目的のためにコミュニティ機能を貪欲に取り入れるユーザーもいる一方、導入に懐疑的で、ガイドが必要なユーザーもいるだろう。コミュニティ機能をうまく導入する方法の1つは、その新しく導入するツールを新しいツールとは告知しないことである。その代わりに、ユーザーが自然に対面できるように、単に、既存のイントラネットに統合してしまおう

例えば、既存のブックマーク(あるいは「クイックリンク」)機能を派手な告知抜きで、ソーシャルネットワーキング上で共有されるブックマーク機能に変えてしまっても良い。あるいは「RSS」などという、多くの人々を混乱させる恐ろしげな用語を使う代わりに、既存のニュースリストをユーザーが徐々に発見可能な適切な、編集機能を備えたニュースフィードにそっと変えてしまおう。こうしたフィードは関連情報と共に導入することが重要である。カスタマイズするための空白の画面を提供すると、ユーザーは、作家が壁にぶち当たって何も書けなくなってしまうのと似たような状態にソーシャルメディア上で陥ってしまいがちだ。幸運なことに、似たような仕事を担当するインターネットデザイナーに比べ、イントラネットのソーシャルメディアをデザインすることについて、あなたはずっと恵まれている。なぜならば、興味を持たれそうな内容を事前に選ぶのに十分なだけ、自社の従業員や業務についてよく知っているからだ。

ユーザーが二度手間にならないよう、ソーシャル機能をメインのイントラネットと統合することが重要である。例えば、従来から使っている従業員名簿とFacebook的なソーシャルコネクションツールの両方にある、プロフィールや写真をアップデートすることをユーザーに強制してはならない。

とは言うものの、我々のケーススタディでも、いくつかの企業は段階的アプローチを取ることによって成功していた。そのアプローチでは、デザインや雰囲気の違うため、ソーシャル機能を最初の段階ではメインのイントラネットから切り離しておく。最終的にはこれらの機能は統合されるが、それらはポータル全体の再デザインをするより大きなプロジェクトの一部として統合されるのが理想である。

また、会話をコントロールするためでなく、むしろガイドするためのコミュニティ管理に対して、なにがしかの予算を割り当てることも重要である。指名されたコミュニティ管理者は世話役兼司会者の役割を果たすことになる。彼らは盛り上がっていないエリアを再度、焚きつけることもする。最終的に、コミュニティ管理者は、実情を正確に把握することによって、締め切りが過ぎた話題を追い立てる代わりに、いつ手を引いたら良いかもわかるようになるだろう。

統合は技術上の問題というだけでなく、組織上の課題でもある。例えば、ディスカッションフォーラム内である結論が具体化しているとしたら、それは後に議論から実行へと移す必要がある。知識を形成するだけでは不十分であり、そうした知恵を販売やマーケティング、その他、物事を成し遂げるための責任部署に還元するためのフィードバックループが必要となる。流れを捉えることは、主要な利害関係者に短いレポートを出すのと同じくらいシンプルかもしれないが、フィードバックループのためには明確な担当を置くべきだ。さもなければ、何も進まないこともありうる。

オープンなインターネットと同様に、企業のコミュニティでもかなりの程度で参加状態にはばらつきがある。つまり、頻繁に参加する従業員もいる一方、目立たないように利用する人もいる。したがって、投稿と利用の状態を組み合わせたものをベースにして、コミュニティを評価することが重要だ。なぜならば、目立たないように利用する人もコミュニティからの利益は得ているからである。あなたがたのEnterprise 2.0の第一歩は、増加した知識や理解をベースにその従業員がどれだけ会社に貢献したかという値によって評価されるべきである。

中には、数人の積極的な貢献者によって、組織の他の部分にかなりの価値が付加される場合もある。我々のケーススタディで、こうした例はタグ付けやレーティングシステムに関してよく見受けられた。こうした機能は、評判の悪い不安定なイントラネット検索の検索結果の優先順位の質を大幅に向上させられるからだ。ウェブ上での関連度を使う従来の方法も、規模の小さいたいていのイントラネット上ではうまくいかないものである。例えば、リンク数のカウントは、膨大な数のリンクを横断して行うときに限り、有効となる。しかし、ほんの数人の従業員が一定のキーワードを用いて、あるページに付けたタグも、その組織内というコンテクストにおいては、そのクエリーに対して良好な検索結果を生み出す可能性はある。

過去のイントラネットユーザビリティ調査で、イントラネットの全リソースを横断する単一の統合された検索システムを提供することが不可欠であることがわかっている。この結論はイントラネットでのソーシャル機能にも当てはまる。一つ一つのソーシャルツールのために個別の縦割り型検索エンジンを持つよりも、イントラネット全体の検索の一部分として、ソーシャル機能も検索されるべきである。実装によっては、統合された検索システムの必要性は、ソーシャルソフトウェアの外注や、ホスト型のソーシャルソフトウェアに対する強い反対理由となることはあり得る。なぜならば多くのSaaSサービスは連合検索に対応していないからである。

コンテンツ・イズ・キング2.0

ほとんど全てのEnterprise 2.0ツールにとって、コンテンツこそが王様である。ツール自体に意味はなく、その価値はコンテンツの強力さからもたらされる。空っぽのwikiは孤独な場所に過ぎず、ユーザーにとっては押し売りのようなものでもある。しかし、ユーザーが自分で積み上げ可能なコンテンツによって種まき済み環境に出会えば、彼らはすぐにツールの価値に気がつくだろう。

初期のコンテンツでソーシャルツールに種をまく以外にも、既存のナレッジベースやPCアプリケーションから、ユーザーがコンテンツを簡単に取り込めるようにしておく必要もある。

少しのトレーニング

一般的には、従業員が特別なトレーニングをしなくても簡単に使えるようなソーシャルツールをデザインすべきではある。ユーザビリティガイドラインに従いつつ、オープンなインターネット上で人気のあるデザインを真似ることで、このゴールは達成可能である。例えば、レーティング尺度については、AmazonやNetflix(:アメリカのオンラインによる宅配DVDレンタル会社)でよく知られている五つ星システムを踏襲しても差し支えない。

それと同時に、全ての従業員がソーシャルネットワーキングサービスになじむだろうとは思わない方が良い。イントラネットにそういうツールを導入することによって、初めてこの類のユーザーインタフェースを経験する人も中にはいるからだ。例えば、Twitterがこの手のものに関心のある人々の間では有名とはいっても、そのユーザーはまだ1億人にも達しておらず、ユーザーが16億人もいるインターネットとは比べるべくもない。したがって、もしYammerを導入するのなら、「企業向けのTwitter」という説明では不十分である。それが「ミニブログ」であるという説明ですら、従業員の多く、特に年齢の高い層にはあまり訳に立たないだろう。初心者がこうしたサービスの使い方を理解するのを手助けするための簡単なトレーニング教材が必要となる。

(導入されたソーシャル機能がユーザビリティ原則に従ってデザインされていると仮定すると)ここで問題になるのはユーザーインタフェースの操作方法ではない。主なトレーニング課題は、その新しいツールからどうやってビジネス価値を引き出すかにある。また、ウェブ上で頻繁にソーシャルツールを使用している人でも、企業向けの適切な行動規範に則ったトレーニングを受けることはためになるはずである。

オープンなコミュニケーション?

企業内でのソーシャルメディアの使用が広がることで、コミュニケーションの壁が取り払われる。そう聞くと良い感じがするが、それによって、情報やコミュニケーションを独占することに慣れている人々が脅かされることもありうる。皮肉なことに、コミュニケーションを広げる動きに対して、企業広報部門が抵抗することもある。しかしながら、彼らはその動きをつぶそうとするよりは、新しいメディアの価値を増加させる方法を見つけることに取り組んだ方が良い。

ソーシャルメディアのリアルタイムな文化に企業広報は順応しなければならないし、過去に比べて、先を予測して事前に動く必要もある。数日から数週間かけて賛同を得るというやり方には大規模な合理化が必要で、そうしない限り、そのときのストーリーは自然と消滅してしまうだろう。もう一度言うが、大切なのは、ビジネスや組織が変わることで、「2.0」というツール自体だけの話ではない。

イントラネット上のコラボレーションツールを実装する前に、企業文化については必ず考える必要がある。従業員が「知識こそが力なり」という考えを固く信じており、知識を共有したくないのであれば、情報共有のための技術がうまく機能するはずはない。

伝統主義者の経営陣にとって、従業員が企業戦略について自由に議論するのを見るのは、ぎょっとするようなことかもしれない。しかし、イントラネット上での情報コントロールを緩めることは、ずっと大きなリスク、つまり、従業員がインターネット全体でのソーシャルメディア上で秘密を漏らすというリスクをコントロールする方法になる。好きに使える社内メディアがあれば、従業員は外部でなく、そこに質問やコメントを投稿するだろう。

ユーザーが生成したイントラネット上のコンテンツは、成長するに従い、従業員が取り組む多くの問題を支援することもできる。しかしながら、「公式」コンテンツには公式な方針や立場を提示するという役割も残っている。これら2種類のコンテンツは分離すべきではないし、例えば、イントラネット用の単一の連合検索を提供するというガイドラインは、依然としてかつてないほど意味を持つ。しかし、あなたのデザインには、SERP(検索エンジン結果ページ)や他のリストの流し読みをしやすくするために、公式な情報はそのようにラベルをつけ、可能であれば色分けもして、異なるタイプのコンテンツは異なった状態で反映すべきである。

詰まった雨樋のように、インターネットには不適切な投稿があふれている。イントラネット上でそういう役に立たない投稿をあなたは見たいと思うだろうか。積極的には攻撃的でないインターネット上の投稿でさえ、ありふれた追随的なものであることは多く、人々の貴重な時間を無駄にする。そうした時間もあなたの会社の従業員の労働時間である場合、あなたの頭に最初に浮かぶのは、役に立たない投稿を防ぐためにコミュニケーション自体を打ち切ることかもしれない。しかし、幸運なことに、役に立たない投稿は我々が調査した企業内では問題になっていなかった。

オープンなインターネットと企業内のソーシャルネットワーキングの間の大きな違いは、人々が仕事のために(あるいは、少なくとも、同僚とのコミュニケーションのために)会社の機能を利用しているということで、その結果、彼らが職業として仕事に取り組んでいるというアイデンティティは保たれている。このおかげで、言葉遣いの乱れは未然に防がれ、建設的な投稿が奨励されることになる。実際、匿名の禁止はソーシャルネットワーキングを実装する際に全ての組織が最初に実行すべき統治手段である(我々の調査では、一社が当初、匿名の投稿を許可していたが、この方針はすぐに変更された)。匿名禁止を除くと、ケーススタディで調査した企業のほとんどがかなり軽めの管理体制をとっていた。

物事には時間がかかる

…特に企業レベルでは。我々の初期の頃の調査では、その会社でのソーシャル機能の利用についてケーススタディとして調べたいと言うと、インタビューしたほとんどの相手は、「来年、また来てください」と言ったものだ。ウェブ上では物事はより簡単だ。そこでは、よく知られている2人が大成功するサイトをガレージで瞬く間に作り出して、立ち上げているように見える。もちろん、全社員で挑戦したのに、何も進まなかったという話は聞いたことがない。企業内で、「何が続くかを見るために」、機能を試してみるというのは良いアイデアではない。なぜならば、失敗して、スパゲッティのように複雑に絡み合ったものは従業員の生産性を台無しにするからだ。

Enterprise 2.0ツールへうまく適応させるために、組織のやり方を変える必要があると考えてみると、これらのプロジェクトがなぜ一晩でできるものでないかがわかる。そう、実験的な実装なら数日で立ち上げられるが、実用的で広範囲の利用のために必要な、企業の政治的、文化的な変化にはもっと時間がかかるのだ。

唯一の答えというものは存在しないけれども、我々のケーススタディを通して見ると、ソーシャルイントラネットプロジェクトのスケジュールは3年から5年の期間で組まれていることが多いようだ。ここはフランスの将軍が言った以下のような言葉を思い出すときだ。新しく植える木が大きくなるには100年かかると言われ、彼はこう言った。「では、早速、始めなければ」。

さらに詳しく

イントラネット上に実装されたソーシャルソフトウェア60のスクリーンショットを含む168ページからなるEnterprise 2.0についてのレポートがダウンロード可能である(有料)。

2009 年 08 月 03 日