アルファベット順は(たいていは)やめたほうがよい
ユーザーに選択肢を提示するには、ABC順よりも、順序シーケンスや論理構成、タイムライン、重要度や頻度による優先順位によって並べたほうが良い場合が多い。
選択肢のリストをアルファベット順に並べることには、主に2つの利点がある:
- もしユーザーが自分の欲しいものの名前を知っているなら、たいていの場合、彼らはすぐにそれをリスト内から見つけ出すことができる。
- 無精なデザインチームにとっては、さらに優れたストラクチャを見つけ出すための作業をする必要がない。ABCは誰でも知っているので、アイテムを正しいシーケンスに並べられない人はいないからである。.
これの1つ目には本当にメリットがある。アルファベット順のソートは時にはうまく機能する。例えば、アルファベット順に並べたアメリカの50州のリストから1つの州を選び出すのは、ふつうならごくたやすい。実際のところ、この場合には、州を地域ごとにグループ化したり、地図上で示したりするより、アルファベット順のリストのほうがユーザブルである。その州に関連する情報の載ったページに移動するために、1つの(たいていは自分の)州だけをクリックする必要のあるユーザーにとっては、少なくともそうだろう。
(州をアルファベット順に並べるというのは、ナビゲーションやコマンド用のメニューから1つの州を選ばなければならない場合にのみ適している。ユーザーが自分の住所の一部として、州を特定する必要があるとき、例えば、Eコマースの精算フォームにおいては、2文字による省略形を打ち込めるテキスト欄を提供したほうが良い。こうすれば、作業は早くなるし、エラーも少なくなるからである)。
国のリストやその他、よく知られているアイテムについての事柄もアルファベット順に並べたほうがうまくいくことは多い。しかしながら、そのためには、選択肢の名前をユーザーが明確に知っていることを確認しておく必要がある。人々がそのリスト内で複数の箇所をじっと見ているというのなら、ABC順にした意味はなかったということになる。
ABC順に考えることは滅多にない
たいていの質問では、
- ユーザーは自分の欲しいものの名前を知らないので、ABC順に並べても無駄になってしまう。あるいは、
- そのアイテムには別の順序で並べたほうがよい固有のロジックがあるので、ABC順に並べてしまうと、そのロジックが見えなくなり、その結果、悪影響を及ぼすことになる。
ここにあるのは、成功しているウェブサイトをコピーするのが得策かどうかについての最近のテストから得られた、後者の事例である:
スクリーンショットの左側に出ているのは、Zapposの婦人靴のカテゴリーリスト上で選択肢を絞るための2つのオプションである。ユーザーは(ここには出ていない)デザインや色、等以外にも、(ここに出ている)ワイズとヒールの高さという条件によって絞り込むことができる。
このような形のファセットナビゲーションは有用なことが多いが、それはユーザーが自分の選びたいものをわかっている場合に限定される。我々のテストでも、ほとんどのユーザーはワイズやヒールの高さというフィルターを利用しなかった。
この事例では、選択肢の順番に大きなユーザビリティ上の問題が見受けられる。ワイズについてのウィジェットはわかりにくいし、自分に当てはまるワイズを範囲で選ぼうとするとなおさら使いにくい。考えてみて欲しい。例えば、あなたの足は幅が広めなので、普段はEEか3Eワイズの靴を選んでいるとしよう。ところが、この2つの(連続した寸法)はウィジェットの両端に置かれている。同様の問題は1インチか2インチのどちらかの高さのヒールが欲しいときにも起きてくる。
ワイズのソート方法として望ましいのは、4A、AAA、AA、…、3E、4Eというように、幅の狭いほうから広いほうに向かって並べることである。「OS」という選択肢の意味がわかる人も少ないだろう。つまり、スペル(「One Size」)は略さずに書くべきであるし、1つ1つのワイズは論理的なシーケンスで並べるべきなのである。
同様に、ヒールの高さも、フラット、1インチ未満、1インチ、…、5インチ以上、というように、低いほうから高いほうへと並べる必要がある。
興味深いことだが、我々の調査の後、Zapposはサイトのデザインを見直した。今ではヒールの高さはそれにふさわしい順番で表示されている。しかし、ワイズはアルファベット順のままである。したがって、彼らのファセットナビゲーションの現時点でのユーザビリティは、半分だけ正しいということになる。
ABC順に勝るソート
幅や高さというのは順序データである。つまり、単調に増加していくというシーケンスを元々持っている。こうしたアイテムはほとんどの場合はそのシーケンスに合わせて並べられるべきだろう。
アイテムはドメインに関連して論理的にグループ化できることもある。こうした内在するロジックは、カードソーティング調査を行い、関連するアイテムをユーザーにグループ化してもらうことで、たいていは見つけ出せる。
タイムラインや地理的な位置というのも有用なグルーピングの方法となることが多い。最後になるが、有用さに劣るアルファベット順でのソートをデフォルトにするのではなく、重要度や利用頻度を採用することによって、どうやったら長いリストに優先順序をつけるかの答は導き出せる。
情報の性質によっては、さらに違う種類のストラクチャを使うほうが良好なユーザビリティを提供できることもあるだろう。そして、そう、それがアルファベットである可能性もある。しかし、ABC順のストラクチャを採用しようとするとき、自らに少し余分に気合いを入れ、より優れたもの追求すべきであることは多いのである。