情報提供型マイクロコピーの3つのC

情報提供型マイクロコピーは、明確さ・簡潔さ・個性を兼ね備えておくべきである。

情報提供型マイクロコピーは、ユーザーがインタフェースを理解し、タスクを完了するのに役立つ。情報提供型マイクロコピーが伝える情報が明確でなければ、ユーザーは十分な情報に基づいて判断したり、UI内を効果的に移動したりするのに苦労する。作成するマイクロコピーがユーザーが必要とするものを確実に提供できるよう、3つのC、明確さ(clarity)・簡潔さ(concision)・個性(character)をしっかり押さえよう。

明確さ

明確さを重視して情報提供型マイクロコピーを作成するときは、マイクロコピーによって重要な情報が明確かつ役立つかたちで伝わるようにしなければならない。この目標をすべての情報提供型マイクロコピーの最優先事項とする必要がある。明確でなければ、情報提供型マイクロコピーはその目的を果たせないからである。

情報提供型マイクロコピーは、次の点を考慮することで明確にできる:

  • 現在地を示す手がかり:ユーザーがサイト内の現在地を把握できるようにする。
  • 情報の匂い:次にどこへ進めばよいかがユーザーに伝わるようにする。
  • 関連性:なぜそれが自分に当てはまるのか、あるいは自分にとって価値があるのかがユーザーにわかるようにする。
  • 適切な用語:語句の意味がユーザーに伝わるようにする。

例:Mastercard

クレジットカードを宣伝する際に、Mastercardは広告内容を対象ユーザーにとって関連性のある内容にし、適切な用語を用いるよう努めている。以下の内容は、Mastercardの学生向けカード比較ページに掲載されているものである。

Mastercardのマイクロコピーは、クレジットカード業界の用語や基準に馴染みのない学生に情報を伝えるため、「Fraud Liability」(不正利用責任)・「Lock your cards」(カードをロック)・「Build your credit with responsible card use」(責任あるカード利用による信用履歴の構築)といったクレジットカードの標準的な利点を、親しみやすく明確に説明している。

クレジットカード業界には、クレジットに馴染みのない人(学生など)が理解できない可能性のある専門用語や業界基準が数多くある。そこで、こうした対象ユーザーのニーズにより適切に応えるため、Mastercardは不正利用責任やカードのロックといった一般的なカード機能について説明し、このカードが信用履歴を築く機会になることを強調している。

対称的に、Mastercardの低金利カード比較ページの掲載内容には、金利を重視する、より幅広い対象ユーザーのニーズに応えるため、「年率」や「ローテーティングカテゴリー」といった、より具体的な情報や業界用語が盛り込まれている(訳注:ローテーティングカテゴリーとは、還元率の高い購入カテゴリーが一定期間ごとに切り替わる仕組みのこと)。

同シリーズの一般向けカードを宣伝する際、Mastercardは、業界基準を説明するのではなく、「0% intro APR on purchases」(購入時の年率は当初0%)のような金利に関する具体的な情報を掲載している。

簡潔さ

簡潔にすることで、忙しいユーザーにもマイクロコピーを読んでもらえるようになるし、重要な補足情報が文字数制限によって途中で切れてしまうのを防げる。3つのCの中で簡潔さの優先順位は2番目である。つまり、語句や文がわかりやすくなるのであれば、多少言葉を増やしてもよい。

それでも、簡潔さを無視するべきではない。また、マイクロコピーは、2文以下と定義されているので、そこでは一語一語が何らかの役割を果たす必要がある。

簡潔にするには、次のことを行うとよい。

  • 文章を不必要に長くする、よくある誤りを避ける
  • 検索エンジンが定めるタイトルや説明文の標準的な文字数に従い、混乱を招く切り詰めや検索エンジンによる修正を防ぐ。
  • メッセージに不可欠な言葉に集中し、それ以外の言葉を可能な限り削る。

例:Owala

Owalaのこのマイクロコピーは、複数の情報を簡潔に伝える方法の優れた例である。Owalaは商品ページで、「Add to Cart」(カートに追加)ボタンのラベルを「Out of Stock – Notify Me」(在庫切れ – 通知する)に置き換える際、最も重要な情報(Out of Stock)から始めている。そのため、最低限しか読まないユーザーにも、自分のタスクを妨げているものがわかるようになっている。そして、もう少し先まで読む余裕のあるユーザーには、すばやく流し読みできるフレーズを使って、2つ目の重要な情報を詳しく示すことで解決策を提示し、すぐに買い物を再開できるようにしている。

Owalaのボタンラベルは、問題と解決策をユーザーに簡潔に伝え、ユーザーの手間を減らしている。

例:世界保健機関(WHO)

簡潔さは、流し読みをしやすくするだけでなく、検索結果ページでの表示も改善する。たとえば、WHOのページタイトル「Vaccination Information Hub」(ワクチン情報ハブ)には、先頭に冠詞「the」がないことに注目してほしい。この余分な語を追加すると、流し読みしにくくなり、タイトルも長くなる。60文字を超えるページタイトルは、検索結果に表示される際に切り詰められることが多い。

WHO:このページタイトルには不要な修飾語が含まれていないため、ユーザーが流し読みしやすいし、検索エンジンでも切り詰められずに表示される。

要約や説明文など、他の形式のマイクロコピーにも標準的な文字数制限は存在する(たとえば160文字)。こうした制限があるのは、多くの場合、検索エンジンでは、検索結果ページにきれいに収まるメタディスクリプションやタイトルが求められるためである。こうした制限を把握し、WHOのようにそれを念頭に置いてマイクロコピーを作成することで、検索エンジン結果ページでタイトルが途中で切れたり、書き換えられたりするのを防ぐことができる。

個性

個性とは、トーンやユーモアなど、マイクロコピーに人間味を持たせ、記憶に残るものにするための表現上の工夫を指す。

情報提供型マイクロコピーを作成する際、個性の優先順位は3番目とすべきである。つまり、個性も考慮すべきだが、簡潔さと明確さを妨げてはならない。

マイクロコピーに個性を持たせるときは、対象読者に焦点を当てる必要がある。トーンや話題の選び方、表現手法を対象読者に合わせよう。すべてに当てはまるベストプラクティスのリストはない。まず適切な口調を選び、必要に応じて他の手法を加えよう。

例:Ace Hardware

Ace Hardwareのホームページに表示されている「The Top Brands Under One Roof」(主要ブランドが一つ屋根の下に)という見出しは、プロフェッショナルなトーンでありながら、独自の伝え方によって、Aceが取り扱う主要ブランドを記憶に残るかたちで説明している。

Ace:「The Top Brands Under One Roof」というカルーセルの見出しは、プロフェッショナルらしさがあり、記憶に残る。

ホームセンターチェーンであるAceは、情報提供を重視した余計な装飾のない、プロらしいトーンを維持することで、幅広い層から成る、行動志向のオーディエンスに訴求している。同時に、「under one roof」(一つ屋根の下に)という言い回しによって、明確さを損なうことなく、印象に残る見出しになっている。

例:OpenAI

OpenAIは、「Sora 2 Launches Today」(Sora 2、本日提供開始)のようなフォーマルな表現ではなく、「Sora 2 is here」(Sora 2の登場です)という、より会話的でカジュアルなトーンを選んだ。この方法は、ブランドを親しみやすく見せるのに役立ち、AI製品がときに呼び起こす距離感を感じさせない。また、率直なスタイルは、このニュースを新鮮かつ今のトレンドに合った実用的なものに感じさせ、このモデルをめぐる期待感を高めている。

OpenAIは、「Sora 2 is here」というカジュアルなトーンでSora 2を紹介し、このAIモデルに人間味を持たせ、期待感を高めた。

結論

情報提供型マイクロコピーは、大半のインタフェースを支える基盤として機能し、ユーザーが何を、どのようにすべきかを確実に理解できるようにする。3つのCのフレームワークを使い、必要不可欠な情報を可能な限り効果的に伝えるマイクロコピーを作成しよう。

記事で述べられている意見・見解は執筆者等のものであり、株式会社イードの公式な立場・方針を示すものではありません。