1998年の予測を再点検
※1999年のウェブ予測に関するコラムへの補足記事
1998年1月、私は1998年に起こる見込みのあることを3つ予測した。また、同年中は実現の見込みがないと思われることも3つ予測した。見込みありとしたものの中で本当に実現したのはひとつだけである(だが、残り2つもいずれは実現するだろう)。だが、見込みなしとしたものに関しては、100%的中という結果が出せた。
国際ウェブ:当たり
- ドイツを本拠地とするBertelsmannは、2億ドル出してBarnes & Nobleウェブサイトの半分を買収
- Amazon.comはドイツとイギリスに支社を開設
- British Telecomは、1000万ドル出してExcite U.K.の半分を買収
- 3大陸間の取引で、AOLはBertelsmannと提携してオーストラリアに進出
- StarMediaの南米向けサイトが月間7000万ページビューを達成
- 今年出た中でテクノロジーの未来に関するもっとも革新的な本の著者は、British Telecom Labsの責任者
- Microsoftのウェブサイトでは、1998年、2500万語がローカライズされたが、1999年には5000万語をローカライズの予定
- 私はヨルダンのビジネスパーソン向けウェブ・カンファレンスで基調講演をしたが、シリコンバレーとアンマンをインターネットで結んで行った(ヨーロッパのウェブ・カンファレンスでもいくつか基調講演を行ったが、そちらは昔ながらのやり方で物理的に移動して行った)
こういった一連の動きにも関わらず、新しいウェブ・ベンチャーの中には、当初、国内市場にしか目を向けていないところがある。このやり方は、1999年には通用しないだろう。
付加価値ウェブサービス:まだ
機能の一部を特定のサービスに特化した外部サイトにアウトソースするサイトが増えると予想した。私の知る限り、1999年には、こういったサービスを提供するプロジェクトが若干出てきただが、1998年には「何でも自分でやろう」式のスローガンにのっとったサイトがほとんどだったのだ。
自己最適化するコンテンツおよび広告:まだ
トラフィックの統計値が注目される現状を考えて、自己最適化が広く利用されるようになるだろうと予想した。例えば、サイトの編集者がホームページの記事の見出しを3種類用意して実地テストし、そのうち一番クリック率の多かったものを残すという仕組みだ。3種類の見出しはランダムに提示してもいい。大規模サイトなら、最良の見出しを決めるのに必要な統計値もあっという間に集まるだろう。同様に、各種の広告バナーをリアルタイムで選り分けて、クリック率が高いだけでなく、購入にまでつながるものを厳選することも可能だろう。
このような自動的最適化をウェブ上で見ることは、めったにない。だが、次期オリンピック大会では、サイトの中でよく利用されるページが目立つように調整する機能を予定している。兆しはあるわけだ。
帯域幅の問題の解決 – 実現せず(予定通りには)
残念ながら事実だ。ウェブはあいかわらず遅い。ひとつだけ実現したのは、よけいな飾りをゴテゴテつけたウェブデザインが少なくなったことだ。1998年中に、数多くの大規模サイトが再デザインを行ったが、ほぼすべてのプロジェクトが、よりスリムなデザインと、より高速なダウンロードをメインゴールに据えていた。1998年は、ウェブのトレンドとしての「クールなデザイン」が死を迎え、これに代わって役に立つデザインが支配するようになった年として記憶されるようになるかもしれない。
マイクロペイメント – 実現せず(予定通りには)
マイクロペイメントをオペレーティング・システムの標準機能に組み込むという方向では、たいした動きはなかった。質の高いウェブ・コンテンツ、サービスを実現するには、ユーザが直接支払う以外に道ないと、私は今も固く信じている。お金を払う人が顧客なのだ。よって、ウェブの支払いを広告主が行っているうちは、結果として得られるサービスは、有用性という点で、本来あるべき姿よりかなり低いものになるだろう。
マイクロペイメントが表舞台に登場する日は近い。というのも、ウェブでは広告はうまくいかないということが、痛いほどはっきりしてきたからだ。
- クリック率は毎月低下している:2001年までに、平均クリック率は0.1%に低下するだろうと私は予測している。
- ほとんどのサイトが売れ残った在庫を山ほど抱えている
- 大規模な広告主が、ウェブ広告に予算のかなりの部分を取られるのを拒むようになる:もちろん、広告費は少しずつ拡大するだろうが、ウェブの成長を支えられるほどにはならない。
Internet Explorerがブラウザ市場を独占 – 実現せず(予想通りには)
Netscapeは、(AOL Westに縮小されたものの)まだなくなっていない。しかし、もっと重要なことがある。私が正しくも指摘したように、Internet Explorerがブラウザ戦争に勝利を収めること自体は問題ではないのである。ウェブデザイナーは、あいかわらずプラットフォームを超えて受け入れられるデザインにしなければならないし、これはNetscape(あるいはその他のブラウザ)が数パーセント以上の市場シェアを維持しているうちは、やめるわけにはいかない。
IEが勝利したのが、まさに私の予測したとおりの月だったというのは薄気味悪いほどである。予想通りでなかったのは、「Microsoftからの勝ち誇ったプレスリリース」がなかったことくらいだ。彼らには市場シェア拡大を誇示する傾向があるのだが、独禁法訴訟のせいでブレーキがかかったに違いない。