リンク切れとの戦い

Terry SullivanのAll Things Web最近調査したところによると、ウェブ上のリンクの6%は壊れているそうだ。悪いことに、1998年5月時点でのリンク切れ(linkrot)の数は、1997年8月に行われた同様の調査に比べて2倍に膨れ上がっている。

リンク切れは、確実にウェブのユーザビリティを下げる。1997年10月のGVUの調査ではユーザの60%が、これをウェブ利用上の最大の問題点だと指摘している。この比率は1997年4月の調査では「たったの」50%だったので、その当時よりアップしているわけだ。どこかに移動しようとするユーザは、いらだちを禁じえない。それまでの苦労も、最後の瞬間に404とか、その他の訳のわからないメッセージが出て水の泡になる。

なお悪いのは、リンク切れのおかげで、ウェブという織物がバラバラになってしまうことだ。相互につながりあったユニバーサルなハイパーテキストというウェブの特徴がなくなってしまう恐れが出てきた。バラバラの情報の離れ小島になってしまうかもしれないのだ。サイト間リンクの普及率と有用性をそこなうものは何であれ、ウェブ創生期以来の原理に対する直接の攻撃である。

こういった危機の多くは、ビジネスモデルとしてマイクロペイメント(小額課金)ではなく定期購読制を取っていることが原因になっている。このために自由なナビゲーションが妨害されているのである。「ポータル」サイトの大流行も、危機のひとつだ。そこでは、顧客にとっての価値があるかどうかではなく、キックバックが多いか少ないかによってユーザをガイドしている。編集的判断ではなく、支払い額の大小でリンクが決まるのだとすれば、ユーザは一杯食わされることにになり、ウェブから得られるものも減ってしまう。これは、別にリンクに課金すること自体を否定するものではない。ただ、その課金は、ユーザから徴収すべきものなのだ。よって、Amazon.comが、リンクをたどってきたユーザが本を購入した場合、本を紹介してくれたサイトに対してコミッションを支払うことには倫理上何の問題もない。課金は、そのユーザがリンク内容に満足し、推薦された本を購入した時にのみ発生するという点が重要だ。

外部へのリンク切れを減らす

ユーザは、リンク切れにイライラするわけだから、ページ内から死にリンクを減らすことは、あなたの利益にもかなっていることである。ユーザ体験の全体的なクオリティは、サイトの信頼性と価値を判断する上で大きな影響力を持っている。サイトがうまく動かなかったら、ユーザは見捨てる。死にリンクはユーザをがっかりさせるだけでなく、ユーザが目的地のサイトに行けていれば得られたはずの利益を奪うことにもなる。覚えておいていただきたい。サイトに外部へのリンクを設ける主な理由として、ユーザの信頼を得るということが挙げられる。リンク先のサイトで得られる価値の何割かが、あなたのサイトの信頼につながっていくのだ。以上のように、インターネットで得られる最良のコンテンツとあいまって、選りすぐりのリンクは、あなたのサービスの価値を増大させる。ユーザロイアリティは向上し、サイトのリピートユーザは増加することだろう。

模範的解答としては、定期的にあなたのサイトをリンク検証にかけることだ。小規模なサイトなら検証作業はアウトソースして、例えば、月に1回あなたのサイトをしらみつぶしに調べてもらい、電子メールで死にリンクのリストを返信してもらうのがいいかもしれない。大規模なサイトでは、検証ソフトを自社サーバにインストールしてしまう方が、コスト的にも効果的だろう。いずれにしろ、時おりページ制作担当者とコンタクトをとり、問題のあるリンクを更新するなり、削除するなりしてもらうような段取りをつけておく必要がある。

外部からのリンクを殺すな

インターネット上で公開されたリンクは、どんなものであれ、永遠に生かしておくべきである。いかなるURLも殺してはならない。なぜなら、そうしないとあなたのサイトにリンクしている他のサイトでリンク切れが起こってしまうからだ。良心的なサイトならいつかはリンクを更新してくれるだろうが、すべてのサイトがそうしてくれるとは限らない。つまり、あなたのサイトに初めてやってきた新規ユーザ候補の多くは、期待していた価値あるコンテンツのかわりにエラーメッセージを見ることになるわけだ。彼らがリンクをたどってくれたのは、あなたのサイトに何か求めるものがあるからだということを忘れないように。これは、できる限りで最良の導入であり、新たな顧客を引き付ける上でいかなる広告にも勝る。

時にはウェブのコンテンツが本当に時代遅れになることもある。例えば、終了してしまったコンファレンスの予告案内や登録フォームがこれにあてはまる。こういった場合、元のページを取り下げるのは理にかなっている。だが、URLは生かしておくこと。フォローアップのメッセージ(例:コンファレンスでのイベント報告)や、現在のページの中で元のページの内容に一番近いもの(例:来年のコンファレンスの案内)にリダイレクトするようにしておくべきだ。

いずれは、サイトの再構築と同時に、構造を一新せざるを得なくなるだろう。その場合でも、ルールは変わらない。古いリンクが切れるようなことがあってはならない。これを解決するには、一連のリダイレクトを設定しておくことだ。これは、サーバからブラウザに対して、要求されたページが新しいURLにあることを教えるための仕組みである。まともなブラウザなら、まず間違いなくユーザを自動的に新しいURLに誘導してくれるはずだ。ユーザが古いURLをブックマークしている場合、本当に優れたブラウザなら、さらにブックマークデータベースもアップデートして、次からは新しいURLを利用するようにしてくれるだろう。

古いURLのどれかが動作しなくなったら、ビジネスチャンスを捨てているのと同じだ。去年のファッションを着ているというだけで入店拒否するようなものだ。

  • 古いページも永遠にサーバに残す(深刻な誤解の原因になるとか、更新済みのページに置き換えられるというのでない限り)
  • ページを移動させる時は、その後にリダイレクトを残すように

1998年6月14日