GenYとベビーブーマーのジェネレーションギャップ

情報があふれる時代に育ってきたが故に最小限の情報をピックアップして判断する能力が高いMillenials、GenY世代。説明が長いけどもしもの場合に備えて周辺情報を把握しておきたいベビーブーマー世代。いまどきの世代ギャップについて考えてみました。

  • 森原悦子
  • 2015年7月31日

最近、大手百貨店チェーンの従業員の女性がショートパンツを履いてきたところ、会社の服装コードに反するので履き替えてくるようにと上司から言われ、その女性はその場で会社を辞めて、ツイッターにその顛末をアップしたということがニュースになっていました。

現在よく語られるのが、GenYやMillennials(2015年現在、18歳から34歳くらいの世代)とその上の世代の価値観の相違から来る職場での衝突です。

時代はまわるとよく言いますが、若い世代とそれ以上の世代とのジェネレーションギャップ、価値観の違いからくる騒動は、いつの時代でも聞くことではないでしょうか。

しかしながら、単にいつもと同じと片付けるのは簡単ですが、今の時代ならではの背景がギャップを生み出しているのかもしれない、という視点で少し考えてみます。

コマンドをバイパスしてタスクを片付けがちなGenY

MONSTERという求人サイトのコラムで興味深い記事を見つけました。

このコラムは、ベビーブーマーなどの年上の世代とGen-YやMillenialsの若い世代の職場でのコミュニケーションの相違について書かれています。

年上の世代の人は、若い人が仕事を進めるときにコマンドをバイパスする(より手間のかからないやり方をとったり、手順を端折ったりする)傾向にあることに対してフラストレーションを持つ。逆に若い世代からは、ベビーブーマー世代の人は「説明長すぎ」「必要ないことまで言ってくる」という文句がよく聞かれるということです。

GenY世代は、ペースの速いテクノロジーワールド環境で育っているために、「情報の一部分をかじることを好む-彼らにはパーツが重要-そうしてタスクを完遂させる」という傾向があるということでした。

このように、育ってきた環境の違いが、仕事に対しての取り組み方やプライオリティまで変えてしまっているというのは非常に興味深いと思います。

“世代間ギャップを埋めるのが使命”という部署の誕生

アメリカの大手の健康保険会社では、社内向けにとある部署を最近設立したそうで、その部署のミッションは、MillennialsやGenYといった若い人と、年上の世代との社内でのコミュニケーションギャップを解決することだそうです。

アメリカの健康保険会社の役割は日本と少し違うので、少し不思議に思うかもしれませんが、アメリカの保険会社にはたくさんの医師が所属しています。年上の世代の医師の考えだと、心配な患者さんがいると定時になっても帰らずに様子を見るのが普通なのだそうですが、若い医師は定時になると帰ってしまうそうです。

そこで、その部署が二者間のギャップの背景を調べました。その結果、若い医師の言い分としては、テクノロジーの発達により、仮に急病患者が帰宅した後に発生しても、病院に向かうまでにも携帯電話のカメラやその他テクノロジーで、定時の時点で一旦帰宅しても緊急時には十分カバーできる、というのが理由だったそうです。

職場でのコマンドの処理方法でプライオリティを置くポイントに、世代背景による違いが出るというのはとても興味深いことではないでしょうか。

情報があふれる世代で育ってきたが故に必要最小限の情報をピックアップして判断することに長けている世代。上の世代からすると超合理主義に見えるかもしれませんが、若い世代にとっては、それが当たり前の処世術ということでしょう。

森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。