新しいアメリカ人:世代比較で見る、アメリカのミレニアルズ

今のアメリカ人を、60’s、80’s、2000’s(ミレニアルズ)の3世代に分けて紹介します。また、今や消費の中心になりつつあるミレニアルズをクルマに対する考え方で分類すると、傾向の異なる5グループになりました。

  • 森原悦子
  • 2015年7月3日

今年の1月に東京で、4月に弊社米国オフィスのあるロスアンゼルスのトーランスの2箇所で行った「イードセミナー2015」のトピックからの紹介の第2回になります。

前回は統計的なデータから現在のアメリカを読み解いてみましたが、今回は世代比較で考えてみたいと思います。

アメリカを知るための3つの世代

マーケティングの方法でジェネレーションを区別する呼び名はいろいろとありますが、

例えば、「ベビーブーマー」や「ジェネレーションY」などがそうです。

今回、私たちは日々の商品開発の場面で使っていただくことを想定して、ざっくり3世代にわけて、1960’s、1980’s そして2000’sという分け方でセミナーではご紹介しました。

1960’s – 「自我」-最新のテクノロジーの先頭を牽引し、社会に対して責任を持つ

1960’s(おおよそ現在の58歳から74歳ぐらいまで)の人々を表すキーワードとしては、

「自我」-責任、平等、権利、希望

といったところではないでしょうか?

人が初めて月に行き、宇宙開発といった最新のテクノロジーの先頭をアメリカという国は牽引し、社会に対して責任を持ち、平等や権利、希望を持つことが時代の本流でした。

1960’s - 「自我」-最新のテクノロジーの先頭を牽引し、社会に対して責任を持つ

1980’s – 「再創生」-既存のルールを打ち破る

1980’s(おおよそ現在の38歳から54歳ぐらいまで)の人々を表すキーワードとしては、

「再創生」-自立、ノールール、テクノロジー、皮肉

といったところではないでしょうか?

計算機からパソコンへとテクノロジーの進化が急激に進み、

一方で社会的には今までのルールを打ち破る、もしくは今までのルールを皮肉めいて受け止めることがかっこいいと思われるような風潮が出てきました。

例えば、時代を象徴するポップスターのマドンナはセックスシンボルとしてもてはやされ

彼女のファッションも含めて当時若者のカリスマでしたが、当時実際彼女が着ていたファションはどちらかというとユニセックスなものであったり、男性的なファッションを女性のファッションに再創生したりと、今までの典型的な女性らしさを皮肉るところが、かっこいいとされる当時の風潮でした。

1980’s - 「再創生」-既存のルールを打ち破る

2000’s – 「不確実性」- 明日のことは予測不可能

2000’s(おおよそ現在の18歳から34歳まで)の人々を表すキーワードとしては、

「不確実性」-測定不可能、再構築、デジタル

といったところではないでしょうか?

この時代に大きく影響する事件は9.11でしょう。この事件をきっかけにアメリカはもはや大国・強国ではないかもしれないという疑問が出てきます。今まで信じてきたことが根底から覆されたような気分になりました。

エンターテインメントの世界でも今までの常識を破る人が出てきます。ラップミュージックのスターは黒人というような既成概念を覆したエミネム、セレブは決まって白人という概念も覆したオプラさん。「ブロンドヘアの女性はあまり賢くない」というジョークを逆手に取った映画、キューティーブロンド(邦題)もヒットしました。

また、違った意味で常識を覆したのが、テクノロジーの発展と共に出てきたスマートフォン、その代表的なサービスSNSです。手のひらで簡単に世界の人と繋がることが出来るようになりました。

明日のことはわからない。だから“今楽しめる”ものを買うペイパービュー。まさに、“不確実”ということが前提の世の中です。

2000’s - 「不確実性」- 明日の事は予測不可能

日本でもアメリカでも、この2000’s(ミレニアルズ)が消費の中心になりつつあります。世代間の比較は多く研究・発表されていて、他の世代よりも消費傾向が違うといった、調査結果をニュースで良く見ると思います。でも、ミレニアルズ、そもそも一括りにしてもいいのでしょうか?

ミレニアルズとは、アメリカ史上最も複雑な世代

イードセミナーでは、「クルマ」と「ミレニアルズ」について調査して、ミレニアルズの中のセグメンテーションをしたPORTIA社の調査結果を紹介しました。

ミレニアルズの5つのセグメント

クルマという製品に対する考え方を軸にミレニアルズを分類すると、ずいぶんと傾向の違ったグループが5つ分類出来ました。(詳しくはPortia Consultingのサイトをご参照ください)

つまり、ミレニアルズのというのは実はとても複雑な世代です。

また、前回触れたように、アメリカに住む人々の人種についても、今までよりもより複雑化していますし、複雑化は着々と進行しています。

つまり、新しいアメリカのメインプレーヤーはアメリカ史上最も複雑であり、その姿はこれからのアメリカそのものだといっても過言ではないのではないでしょうか?

これからも、アメリカの人々やミレニアルズについて、興味深い点を折りに触れてここで紹介できたらと思います。

森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。