ミレニアルズの住宅事情

アメリカは日本に比べてパラサイトシングル率が低いとは言われていますが、本当のところはどうなのでしょうか。

社会人になっても親と同居し、生活の支援をしてもらう人のことを日本ではよく「パラサイトシングル」と言うようですが、ここアメリカの同じ年代、ミレニアルズの事情はどうなのでしょうか?身近な人の例や、調査結果のニュースをいくつか見て考えてみました。

家を買う資金を貯めたり、金銭的に独立するのが大変だというだけではない

ミレニアルズ世代の持ち家率が1965年以来の低水準に下がったというニュースが先日ありました。

Millennials cause homeownership rate to drop to lowest level since 1965 – CNBC

2000年代過ぎには69.2%まで跳ね上がった住宅保有率も、現在は1965年のレベルの62.9%まで下がっているということでした。そもそも、住宅保有率を押し上げるべきミレニアルズが、物件の高騰とバランスが合わない収入などにより住宅を買えない状況にあって、そのために住宅の購入を延期しているということでした。

確かに、そのような金銭的な理由も大きいと思いますが、それだけではないのかもしれません。

独立をしたい気持ちと、仲の良い親から離れがたい気持ちの間で揺れるミレニアルズ

私の知り合いで、家を買う資金を貯めるために結婚してもしばらく各両親の家に同居してお金を貯め、家を買ったカップルがいます。

知り合いばかりでなくても、いろいろな調査プロジェクトで無作為のアメリカ人の住宅事情を知ることがありますが、やはりミレニアルズで両親と同居という人に思ったよりも多く出会う気がします。

Wall Street Journalの記事でミレニアルズの親との同居の理由について、なるほどと思ったものがありました。

The Real Reasons Many Millennials Are Still Living at Home – Wall Street Journal

この記事によると、1つ目の理由は、そもそも人間の寿命が延びたことで、ライフステージも併せて延び、「完璧に独立した大人でもないけど、子供でもない」という新しいライフステージが出来たのではないか?ということでした。周りのこの世代を見て、ちょっと納得いく気がします。記事では「独立までの道のりが延びた」という表現をしていましたが、これで親と一緒に住む時間が延びた訳です。私の周りのこの世代で親と同居している人はとても親や家族と仲が良いと感じるのですが、それはどうやら正解のようです。

もう一つの理由として挙げられていたのは、親と同居している人たちの多くは親と良い関係であり、親と同居していることに満足しており、また将来の自分の財政状況にもプラスになると考えているということでした。

実際、ミレニアルズの親世代の若かった時代と比べてミレニアルズと親との仲は非常に良いという結果が出ているようです。私が知っている限り、身近なミレニアルズは確かに親との関係が近く、親というよりも友達のような付き合いをよく見る気がします。

もちろん、多くの人が独立したくないというのではなく、家族と居ることに満足しているという人が「増えている」という状況なので、私の肌感覚では日本と比較すると、まだまだ独立している人は多いなと感じます。ということで、「パラサイトシングル」というキーワードはアメリカでは聞かない言葉です。アメリカ人に言っても通じない和製英語の一つかもしれませんね。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。
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公開:2016年12月26日
著者:森原悦子

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