バーチャルリアリティのコンベンション・VRLA参加レポート

「VRLA」というバーチャルリアリティのコンベンションが、LAで8月5・6日の2日間、行われました。私は2日間参加してきたので、今回はいつもと趣向を変えて、簡単にレポートしてみたいと思います。

  • 森原悦子
  • 2016年8月9日

Focus on Adding New Categories

VRLA」はそもそも、USC (University of Southern California-LAにある私大の有名校) の学生が、2年前にVRのミートアップをLAで始めたのがきっかけ。それからミートアップに留まらず、コンベンションを行うまでになりました。

今年は8月5・6日の2日間で6000人の参加者、前回の規模の40倍になったそうです。来年はもっと広がるでしょう。

VRLAの参加者

主な参加企業の業種は、

  • デバイスメーカー:VRウエア、VR用PC、カメラ、オーディオ、ディスプレイなど。
  • コンテンツメーカー:VR段ボールヘッドセット・眼鏡で使えるアプリから、装置を必要とするコンテンツまで。
  • VRアクセサリーメーカー:段ボール眼鏡、VRヘッドセットのカバーなど販促目的のアクセサリーが主。

参加企業は、

  • RADEON、hp、GoPro、Skullcandyなど、メジャーな会社から、小さなアプリのスタートアップまで大小さまざま。

VRLAの展示の様子

コンベンションは2つのシアターでのさまざまなディスカッションと、展示会場でのエキジビションの大きく2つの形態で行われました。

ドーム状のスクリーンに映像が投影されている

Cry Out: The Loney Whale Experience (DELL 3D Live)

The Future of VR Hardware

非常に興味深かったパネルディスカッションは、“HP Presents: The Future of VR Hardware”です。

今後のVRの機材について、クラウド化は必須、ケーブルからの脱却と、画像だけでなく音声のリアリティが進むという話が、パネルディスカッション形式で進められました。

機材の進歩としては、確実にクラウドを使った演算速度の速いコンピューティングが求められ、また、ケーブルからの脱却と画像だけでなく、音声のリアリティも大切だということ。ハードの進歩も大切だが、何よりもストーリー・魅力的なソフトが大切であるということ。

また会場からの質問で、VR経験によるトラウマについてはどうか?という質問が出たのが印象的でした。体験がリアルになれば精神的トラウマをVRによって受ける可能性があるので非常に気を付けなければならないという話はとても気になりました。

逆にこの体験を医療行為に使う(精神科など)について考えているという話が会場の参加者からも聞かれました。

エンターテインメント以外でのVRの活用はとても興味深いと思います。特にヘルスケアやメディカル業界にもVRの活用が期待されるようですね。

パネルディスカッションパネルディスカッションは、“HP Presents: The Future of VR Hardware”の様子

Mindshow: Create, Share, Experience Shows in VR

Mindshowでは、自分が実際にVR空間に入って演じることができます。単に自分でVR映像を作るというだけでなく、企業などでのトレーニング等にも使えるとのことでした。

実際体験してみると、キャラクターの魅力と相まって非常に楽しいソフトでした。面白いストーリーを作って演じてシェアするのは楽しそうです。

メーカーから、ゲームや映像のクリエイションだけでなく、トレーニングなどにも使えるという提案がありましたが、実際に学校などで道徳の授業に使ったり、仕事のトレーニングや、精神科などの医療にも使えそうな気がしました。

Mindshow

Mindride Airflow VR

Mindride Airflow VRは、空を飛ぶ夢が叶います。VRゴーグルとハーネスをつけて、実際に宙づりになります。風が当たることにより、リアルな加速感が体験できます。通常できないことができるというのはVRの真骨頂だと思います。

実際に体験してみましたが、非常に楽しく、子供の頃に夢で見た体験が実際にできてとても楽しかったです。

3D Live | AXO The wave

次世代DJライブ体験。オーディエンスはウーファーを仕込んだバックパックを背負い、VRゴーグルもしくは3Dグラスを着用して、DJはHTC Viveを着用してバーチャル空間でDJプレイを行います。DJブースは実際にはまったくなく、すべてはVR空間へ。

VRゴーグルを着用するとDJもオーディエンスもすべてがVR空間へトリップして、新しいライブ体験ができます。観客もDJもアバター化。今はかなりポリゴンなアバターだけど、すぐにもっとこなれて来るのではないでしょうか。

こういったセッティングを活かして、広告やマーケティングにこのような手法がすぐに浸透することは必至でしょう。

私はクラブに行ったりすることはほどんどないですが、体験してみてVR空間でのライブ体験はとても楽しいものでした。

LAは、VRに携わる人にとって非常に恵まれた環境

今回、VoyagerというVRを体験する卵型シートを展示していたPOSITRON社の話によると、ハードウエアを提供する会社は正直そんなに場所にはこだわらなくても成立するが、ソフトウエアはハードウエアの成功に非常に大きく影響するということでした。

ストーリークリエーションに対する土壌はどこにでもあるものではないので、Hollywoodを擁するLAという環境は非常に得難いとのこと。確かに、LAはVRに非常に相性のいい土地柄のようです。

今後も引き続き、LAでのVRについてウォッチしていきたいと思います。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。