ブランドイメージの転換に成功した自動車メーカーは
国内自動車メーカーのブランドイメージ調査
国内の自動車メーカーに対して消費者は実際にどのようなブランドイメージを抱いているのか、イード・日本自動車ユーザー研究所は自主調査を行い、コレスポンデンス分析を用いて消費者の抱くイメージを視覚化してみました。
消費者の「クルマとの付き合い方」が変わりつつある中、自動車メーカーはそれぞれ独自のブランド戦略をもってブランドイメージの構築に努めていますが、実際に消費者はどのようなイメージを抱いているのでしょうか。イード・日本自動車ユーザー研究所(JACRI)は、国内自動車メーカー(ブランド)のイメージに関するアンケート調査を行い、コレスポンデンス分析を用いて消費者の抱くイメージを視覚化してみました。
調査概要
- 調査手法
- アンケートモニターを対象にしたWebアンケート
- 調査対象
- 全国、20~60代男女
- サンプル数
- 2,162サンプル
- 回収方法
- 性年代均等回収
- 実施期間
- 2018年5月22日~5月28日
提示したイメージワード
先進的/革新的、国際的(グローバル)、カッコいい、デザイン性が高い、技術力が高い、安全性が高い、信頼できる、堅実、ワクワクする/面白い、オリジナリティがある、高級感がある、スポーティ、手に届きやすい(価格が安い)、親しみやすい、好感が持てる、社会に貢献している
トヨタと日産のイメージは似ている?
トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル、スズキ、レクサス、三菱、ダイハツの計9社について、知っているメーカー(ブランド)のイメージを聞いたところ、結果は以下のようになりました。
イメージマップの見方
コレスポンデンス分析は、集計結果をマッピングし、数字だけでは一見分かりづらいカテゴリー間の関係性を視覚的に把握できるようにする手法です。
このマップでは、類似性の高い項目が原点から同じ方向にプロットされます。原点から見て同じ方向にあれば、一見距離があっても、同じような要素をもつ項目であると言えます。逆に原点をはさんで対極にある項目同士は、正反対の要素を持つ項目であるといえます。
原点からの距離は、どれだけその方向の要素を特徴的に有しているかを表します。特徴的な項目ほど、原点より遠くにプロットされます。
まず顕著なのが、「ダイハツ・スズキ=手に届きやすい」、「レクサス=高級感がある」というイメージです。“軽自動車のダイハツ・スズキ”、“高級路線のレクサス”というブランドイメージが確立されていることが分かります。
次に、顕著な傾向を持つダイハツ・スズキ・レクサスを除いた6メーカーで再集計をしてみました。その結果が以下です。
これを見ると、トヨタと日産のイメージは比較的似ていて、「高級感がある」「国際的」といったイメージであることが分かります。またスバル・マツダのイメージも比較的似ていて、「オリジナリティがある」「スポーティ」といったイメージであることが分かります。ホンダはどちらかというと「カッコいい・ワクワクする」イメージです。一方、三菱は、これらのメーカーの中では特に「手に届きやすい」というイメージを持たれているようです。
年代によってイメージが異なるメーカーは…
さらに年代ごとのイメージに差があるかどうか確認するため、年代別のイメージをマッピングしてみました。
年代によってイメージが最も異なるのがスバル・マツダでした。なおスバル・マツダは元々似たイメージを持たれている上、年代ごとの変遷も似た傾向を示しています。
60代の消費者にとっては、スバルもマツダも「手に届きやすい(価格が安い)」イメージが強いですが、年代が下がるにつれて、「カッコいい」イメージに近づいていきます。マイナーなイメージの強かったこれらのブランドが、“独自路線・高付加価値”を打ち出すことでイメージ転換に成功したということができるのかもしれません。
日産も、年代によりややイメージが異なります。
40~60代が「信頼できる・堅実」といったイメージを持つのに対し、20~30代は「先進的・高級感がある」といったイメージを持っています。これは、ゴーン氏着任以前の日産のイメージを持っているかいないかの違いによるものかもしれません。
トヨタ・ホンダは、(他のメーカーと比べると)年代によるイメージの違いはあまりありませんでした。
自動車メーカーをめぐる環境が変化していく中、日本自動車ユーザー研究所(JACRI)は今後も各社のブランドイメージに着目していきたいと思います。
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