テレワークに関する調査(1)
テレワークのメリット・デメリット
テレワークの課題は「コミュニケーションの取り方」「ON/OFFの切り替え」「集中力」
株式会社イードは、テレワークの実施状況やメリット・デメリット、働きやすさなど、テレワークをめぐる状況について調査しました。ここではその結果をご紹介します。
新型コロナウィルスの感染拡大により、私たちの生活はもちろん、働き方の見直しも迫られています。出勤者数を減らすためにテレワークが推奨されていますが、実際にどのくらいの人がテレワークをしていて、実施にあたってはどのような課題があるのでしょうか。株式会社イードは、テレワークをめぐる状況について調査しました。その結果と考察を、2回に分けてご紹介していきたいと思います。
調査概要
- 調査手法
- アンケートパネルに対するWebアンケート
- 実施期間
- 2020年4月10日~14日
- 調査対象者
- 20-59歳男女、有職者(パート・アルバイトを含む)
- 有効回答数
- 6,082s
- 性年代別内訳
- 20代男性 739s、30代男性 860s、40代男性 703s、50代男性 837s、20代女性 816s、30代女性 732s、40代女性 662s、50代女性 733s
今、テレワークをしているのは3割だが、「業務のすべてをテレワークでしている」のは1割のみ
20-59歳男女にテレワークの実施状況を聞いたところ、「業務のすべてをテレワークでしている」のは1割、「基本的にテレワークをしているが、出勤する日もある」「基本的に出勤しているが、テレワークをする日もある」もそれぞれ1割という結果でした。つまりテレワークをする人は全体で3割ですが、“全く出勤しなくて良い”という人は限られているということが分かります。
次に、勤め先の業種別にテレワーク実施状況を見たのが以下のグラフです。(※テレワーク実施率が高い順に表示)
テレワーク実施率が最も高いのが「情報通信」で、6割がテレワークをしています。ただし、「情報通信」でも、「業務のすべてをテレワークでしている」のは2割にとどまります。社会のインフラを担う「医療・福祉」「運輸・郵便」、また職場が店舗となる「ホテル」「飲食業」「小売・卸売」などは、やはりテレワークをしている人は少数です。
なお、勤め先の規模(グループ全体の従業員数)別にテレワーク実施状況をみたのが以下のグラフです。規模が大きくなるほど、テレワーク実施率が高くなることが分かります。
テレワークをしていない理由は「業務上できない」が最多だが、「システム環境が整備されていないから」も2割
テレワークをしていない人にその理由を聞いたところ、8割が「業務上、テレワークができないから」と回答しました。続いて「テレワークを行うシステム環境が整備されていないから(20.8%)」でした。
これを業種別に見たのが以下の表です。「医療・福祉」や「運輸・郵便」などは、やはり「業務上、テレワークができないから」が9割を超えています。一方で全体のテレワーク率が比較的高い「情報通信」では、最も多い理由は「業務上、テレワークができない」ですが、「テレワークを行うシステム環境が整備されていない」も36.3%と比較的多く、システムさえ整えばテレワークに移行できる余地がまだあると考えられます。
今テレワークをしている人の6割は、「初めてテレワークをした」
ここからは、“今テレワークをしている”という人の回答を見ながら、テレワークにおける課題などを考えていきたいと思います。
まず、新型コロナウィルス感染拡大以前からテレワークをしていたかどうか聞いたところ、以下のような結果となりました。
4割は以前からテレワークをしたことがあり、6割は今回初めてテレワークをするという結果でした。
テレワークの課題は「コミュニケーションの取り方」「ON/OFFの切り替え」「集中力」
次に、テレワークをしている人に「テレワークで困っていること、不便なこと」を聞いたところ、以下の結果となりました。
1位は「対面で話せないので、十分なやりとりができない(31.9%)」で、テレワークにおけるコミュニケーションの取り方に課題を感じる人が多いことが分かります。また、2位の「気持ちの切り替えがしづらく、集中できない(31.3%)」、3位の「仕事以外のことをしてしまい、仕事に集中でいない(30.5%)」、4位の「時間のメリハリがつかず、勤務時間外も働いてしまう(29.1%)」からは、テレワークにおけるON/OFFの切り替えの難しさ、また集中力を保つことの難しさを読み取ることができます。「その他」の自由回答では、「自宅の通信回線の遅さ」や「会社のネットワークにアクセスが集中し、重い」などが出ました。
なおコミュニケーションに関しては、ビデオ会議やチャットツールなどを活用している人も多くいましたが、ビデオ会議を「頻繁にしている」という人でも33.8%は「対面で話せないので十分なやりとりができない」と答えており、テレワークにおけるコミュニケーションの難しさが感じられます(ビデオ会議を「使ったことがない」人でこう感じる人が少ないのは、そもそもコミュニケーションがあまり必要ない職種である可能性があります)。ただし、「以前から基本的にテレワークをしていた」という人はそう感じる割合が低く、慣れてしまえば(つまり対面以外の方法でしかコミュニケーションがとれない状況が続けば)、さほど問題ではなくなってくる可能性もあります。
テレワークをする人の7割が「運動不足」を懸念している
続いて、体調面や生活面でのテレワークのデメリットを聞いたところ、7割の人が「運動不足になる」ことをデメリットとして挙げました。続いて「人と会話する機会が減る(32.3%)」、「気分転換ができない(31.3%)」、「間食が増える(31.3%)」。テレワークを続けるにあたり、体調や生活を整えるための工夫が必要とされていることが分かります。
テレワークの最大のメリットは「通勤時間のストレスがない」
テレワークにはデメリットだけではなく、メリットもあります。テレワークをしている人に「テレワークのメリット」を聞いたところ、7割が「通勤時間のストレスがない」と答えました。次に「通勤時間を他のことに充てられる(56.7%)」。“通勤”から解放されることが最大のメリットであると言えそうです。また「その他」の自由回答では、「睡眠時間が増え、睡眠不足が解消された」「化粧をしなくて良い」なども出ました。
テレワークをする人の9割は(新型コロナウィルス終息後も)「テレワークを続けたい」と考えている
ここまで、テレワークのメリット・デメリットを見てきました。これらを総合して、テレワークという働き方は働きやすいかどうか聞いたところ、半数近くが「働きやすい」と答えました。また新型コロナウィルスが終息した後もテレワークを続けたいか聞いたところ、9割がテレワークをしたいと答えました。様々な課題があるテレワークですが、働く人たちはそれを上回るメリットを感じているようです。
まとめ
今回は以下の内容を見てきました。
- 今、テレワークをしているのは3割。ただし「業務のすべてをテレワークでしている」のは1割のみ
- テレワークをしていない理由は「業務上できない」が最多だが、「システム環境が整備されていないから」も2割
- 今テレワークをしている人の6割は、「初めてテレワークをした」
- テレワークの課題は「コミュニケーションの取り方」「ON/OFFの切り替え」「集中力」
- テレワークをする人の7割が「運動不足」を懸念している
- テレワークの最大のメリットは「通勤時間のストレスがない」
- テレワークをする人の9割は(新型コロナウィルス終息後も)「テレワークを続けたい」と考えている
次回は、「テレワークと生産性」についての調査結果から考察したいと思います。