「テレワークで生産性が上がった」割合、4月と比べ10ポイント上昇
テレワークに関する調査 2020年秋(1)
イードは2020年4月に実施した「テレワークに関する調査」の第2弾を実施し、テレワークをめぐる環境や心境の変化を調べました。変化が見られた点、変化が見られなかった点をご紹介します。
新型コロナウィルスの流行による「緊急事態宣言」の発令、またそれに伴う外出自粛の要請が出されてから、既に半年以上が過ぎました。この間生活には様々な変化が起こりましたが、中でも働く人にとっては「テレワークの普及」は大きな変化の一つだったのではないでしょうか。
株式会社イードは、7都道府県に緊急事態宣言が出された直後の4月初旬に「テレワークに関する調査」を実施し、テレワークの実態やメリット・デメリットなどを調べました。そして半年以上経った今、状況は変化しているのか、またテレワーカーの心境に変化はあったのかを探るため、改めて同様の調査を実施しました。ここではその結果をご紹介します。
調査概要
- 調査手法
- アンケートパネルに対するWebアンケート
- 実施期間
- 2020年11月6日~11日
- 調査対象者
- 20-59歳男女、有職者(パート・アルバイトを含む)
- 有効回答数
- 4,941s
- 性年代別内訳
- 20代男性 508s、30代男性 500s、40代男性 600s、50代男性 658s、20代女性 668s、30代女性 688s、40代女性 687s、50代女性 632s
4月に比べ、テレワーク実施率は低下
有職者(パート・アルバイトを含む)のテレワーク実施状況を見ると、4月実施調査では32%だったテレワーク実施率が11月実施調査では26%となっており、6ポイント減っていることが分かりました。内訳を見ると、「業務のすべてをテレワークでしている」割合が減っていることが分かります。
コロナ禍が長引く中、テレワークをあくまで一時的な措置としていた事業者が通常出勤に戻したり、テレワークを継続しつつ、出勤の機会を増やしたりといったケースが背景にあると考えられます。
なお「一時期テレワークをしていたが、現在はしていない」人に、「テレワークを続けたかったか」聞いたところ、「続けたかった」割合と「出勤に戻ってよかった」割合はほぼ同等という結果となりました。
4月に比べ、生産性や今後のテレワーク継続希望率は上がっている
ここからは、「テレワークをしている人※」の回答を見ていきたいと思います。(※「基本的に出勤しているが、テレワークをする日もある」人を含む)
テレワークを行うことで生産性が上がったか/下がったかを聞いた質問では、「上がった」と答えた人の割合が4月実施調査より10ポイント以上増えていました。
この背景として、「テレワークを続けていく中で徐々にコツをつんできた」「会社やチームの態勢が整ってきた」などによりテレワークをする人自身の生産性が上がってきたという側面と、テレワークを長期的に実施できるだけの土壌があった企業に勤めている人が今もテレワークを続けている、つまりそのような土壌がなかった企業に勤めている人は既に通常出勤に戻っており、11月実施調査の「テレワークをする人」には含まれていないという、「テレワークをする人」の母集団が変わった(絞り込まれた)という側面が考えられます(元々土壌があった企業の方がテレワークがしやすく、テレワークによる生産性も高いと推測されます)。
なお同様に「今後もテレワークをしたいか」を尋ねた結果を見ると、「常にテレワークをしたい」と考える人の割合も10ポイント以上増えているという結果となりました。
テレワークの悩みやメリットは4月調査とあまり変わらない
このように4月時点と比べて変化が見られた項目もありましたが、特に変化が見られない項目もありました。「テレワークで困ること・不便なこと」「テレワークのデメリット(体調・生活)」「テレワークのメリット」の結果を4月実施調査と比べたところ、全体としてあまり変化はありませんでした。
この中で比較的差があったのは、メリットの「通勤時間を他のことに充てられる(6.6ポイント増加)」、デメリットの「気分転換ができない(7.7ポイント減少)」でした。テレワークを続けていく中で時間の使い方がうまくなったり、気分転換の方法を見出したりする人が一定数いたと言えるのかもしれません。しかし一方で、困ること・不便なことの「対面で話せないので十分なやりとりができない」「仕事以外のことをしてしまい、仕事に集中できない」などは4月実施調査とほとんど差がなく、「慣れ」では解決しない課題であることが分かります。
まとめ
今回は以下のことを見てきました。
- 4月に比べ、テレワーク実施率は低下している
- 4月に比べ、テレワークをすることで「生産性が上がった」と答えた人の割合が増えている
- 4月に比べ、テレワーク継続希望率は上がっている
- テレワークの悩みやメリットは4月調査とあまり変わらない
次回はアンケートに寄せられた自由記述から、テレワークの課題と今後のあり方について考えてみたいと思います。