格安SIM台頭の今、スマホキャリアに求められるものは…
(株)イードでは、スマートフォンの通信キャリアに関する調査を実施しました。大手キャリアの契約者が感じる不満の第1位は「通信料金が高い」ことでした。ただし、格安スマホ(格安SIM)に移るには、まだ障壁があるようです。また、キャリアに期待することとして、格安スマホ事業者にはない、あるサービスが上位に挙げられました。
イードのリサーチ事業本部は、大手通信キャリア(docomo / au / SoftBank)と契約しているスマートフォンユーザーを対象に、キャリアへの不満やサービスの利用状況、キャリアに求めるものを伺い、格安SIMが台頭する今、スマートフォンのキャリアに求められているものは何かを自主調査しました。
調査結果概要は下記の通りです。
契約中のキャリアへの不満1位は、「通信料金が高い」こと
スマートフォンユーザーに、契約中のキャリアへの不満を聞いたところ、最も多かったのが「通信料金が高い(48.2%)」でした。特にdocomoユーザーでそう感じている人が多いようです。一方、全体の3割は「不満は特にない」と答えました。中でも、auユーザーは4割弱が「不満は特にない」と答えています。
利用者の8割はスマートフォンの通信料金を高いと感じている
スマートフォンの通信料金について聞いたところ、「高いと思う」が47.7%、「やや高いと思う」が32.7%であり、合わせると全体の8割はスマートフォンの通信料金を高いと感じていました。
現在支払っている通信料金は月額「~6千円」「~8千円」が多く、望ましい通信料金は4千円以下
現在のスマートフォンの『月額の通信料金』を聞いたところ、ボリュームゾーンは「~6千円(29.0%)」、「~8千円(38.2%)」でした。一方、『望ましい通信料金(月額)』を聞いたところ、「2千円以下(23.9%)」、「~4千円(46.7%)」が多く、あわせて7割が月4千円以下の通信料金が望ましいと答えました。
契約キャリアを解約しない理由のトップ3は、「メールアドレス」「家族とのセット割引」「他の通信事業者に移るのが面倒」
キャリアに対し何らかの不満をもっている人に、『不満があっても契約中のキャリアを解約しない理由』を聞いたところ、「メールアドレスが変わるのが嫌だから(30.4%)」、「家族とセットで割引プランに加入しているから(29.6%)」、「他の通信事業者に移るのが面倒だから(27.8%)」が上位3位に挙がりました。
キャリア別に見ると、docomoユーザーは「長期契約割引」、auユーザーは「家族とのセット割引プラン」が、特にキャリアに留まる理由となっているようです。
LINEの影響により、キャリアメールの利用頻度は減っている
キャリアメールの利用について聞いたところ、週に5通以上送信するのは半数程度。残りは、週4通以下しか送信していませんでした。「キャリアメールは利用しない」も1割にのぼりました。
キャリアメール利用者に利用頻度の増減を聞いたところ、4割強は利用頻度が「減った」と答えており、その理由として、9割弱が「LINEでやりとりをすることが増えた」ことを挙げました。
LINEの出現により、キャリアメールのプレゼンスが下がっていることがうかがえ、「メールアドレスが変わるのが嫌だから」という理由で現キャリアに留まる人は、今後減少していくと予想されます。
キャリアによる端末価格の割引は、半数以上が利用しており、75%が必要だと感じている
「端末価格の割引」「端末故障時の修理代金サポート」「初期設定のサポート」「端末故障時の相談サービス」「端末紛失時のサポート」といった、キャリアが提供するサービスについて利用の有無を聞いたところ、利用率が過半数を超えたのは「端末価格の割引」のみ。残りのサービスの利用率は2割を下回っていました。
ただし、故障時・紛失時のサポートについては、半数以上が「必要」と答えていました。今まで利用したことはないけれど、いざとなった時にあってほしいと考える人が多いことが分かります。
格安スマホ(格安SIM)へ移行する意向があるのは、4割
格安スマホ(格安SIM)の簡単な説明を提示した上で、現在の大手キャリアから移行する気持ちがあるかどうか聞いたところ、「とても移りたい(13.7%)」「やや移りたい(26.2%)」が約4割、「あまり移りたくない(38.2%)」「全く移りたいと思わない(18.8%)」が約6割でした。
移りたいと答えた人にその理由を聞いたところ、「通信料金を安くしたいから(83.3%)」が突出して多く挙がりました。
一方、移りたくないと答えた人にその理由を聞いたところ、「何となく不安だから(大手キャリアの方が安心だから)」「通信が遅そう/不安定そうだから」「通話や通信量の制限があるから」「よくわからないから」といった理由が挙がりました。「キャリアメール」や「キャリアショップ」といった、大手キャリアならではの特徴を理由に挙げる人は少数でした。
スマートフォンの通信事業者に求めるものは、「安定的な通信環境」と「端末価格の割引」がツートップ
契約中のキャリアに限らず、スマートフォンの通信事業者(格安スマホの事業者含む)に求めるものを聞いたところ、「安定的な通信環境(44.9%)」「端末価格の割引(44.0%)」がツートップとなりました。また、3割強は「安心感」という心理的な要因を挙げていました。
男女で比較すると、女性の方が通信事業者に求めるサービスが多く、特に「何かあったときにキャリアショップで相談できること」は、男性9.2%に対し、女性は32.5%と、23.3ポイントも差がありました。
まとめ
大手キャリアと契約中のスマートフォンユーザーは、8割が通信料金を高いと感じていて、キャリアへの不満1位も「通信料金が高い」ことでした。
しかし不満がありつつ、契約キャリアを解約しない理由のトップは「メールアドレスが変わるのが嫌だから」。ただし、LINEの普及によりキャリアメールの利用頻度は減っており、今後この理由で現キャリアに留まる人は減っていくと考えられます。
続いての“契約キャリアを解約しない理由”は、「家族とセット割引でプランに加入しているから」。家族とのセット割引が、大手キャリアの囲い込みに一定の成果を上げていることがわかります。
また、格安スマホ(格安SIM)については、「通信料金を安くしたい」という理由で現キャリアから移りたいと考える人も多くいましたが、一方で、「何となく不安」「よくわからないから」という漠然とした不安により移りたくないと考える人も多くいました。スマートフォンの事業者に求めるものとして、3位に「安心感」が挙がっていることも併せて考えると、格安スマホ事業者にはない「安心感」が、依然として大手キャリアの強みであると言えるでしょう。
また、キャリアの提供するサービスとして、「端末価格の割引」が必要だと考えるユーザーが7割強いました。実際、スマートフォンの通信事業者に求めるものの2位に「端末価格の割引」が挙がっており、この点も、格安スマホ事業者との差別化のポイントとなると考えられます。
なお、「何かあったときにキャリアショップで相談できる」という大手キャリアならではの特徴は、全体で見るとそれ程重視されていませんでしたが、女性に限ると必要としている人が多くいました。
今回の調査では、『スマートフォンの通信料金を高いと感じているものの、格安スマホ(格安SIM)に移るのは何となく不安』という、大手キャリアのユーザー像が浮かんできました。また、大手キャリアの行う「端末価格の割引」に大きなメリットを感じる人が多いこともわかりました。
今後格安スマホ(格安SIM)の普及が進み、漠然とした不安が払拭され始めたとき、改めてキャリアの役割が問われることが予想されます。
調査概要
- 調査手法
- インターネットアンケート
- 調査期間
- 2015年4月24日(金)~5月8日(金)
- 調査対象
- 25~49歳の男女
- 回収方法
- 性年代で均等割り付け
- 有効回答数
- 568サンプル
- 調査企画・実施
- 株式会社イード
属性ごとのクロス集計結果など、この調査の詳細はイードまでお問い合わせください。
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