誤解を招く情報の匂いは売上を減らす
ウェブサイト内の他のエリアが最適な場所であるように見える場合、情報や製品が本当に置いてある場所は見逃されがちだ。クロスリファレンスと明確なラベルが、この問題を軽減する。
情報の匂いとは、ユーザが、いま進んでいる方向に向かっていけば、その先に何があるかを予測させるもののことだ。この言葉はユーザがどのようにしてシステムとインタラクションを行うかを、動物が獲物を狩るのにたとえて説明した情報採餌理論の一部だ。
匂いを追う捕食者は、その匂いの先に獲物がいることを確信しながらその後を追っているので、気が散って他の道に外れることはまれだ。
それと同じように、ユーザがサイトの中を特定の製品や情報を探している場合、目的のものに近づいていると感じるリンクがある限り、それを追い続ける。
情報の匂いは、それが目的のものであるように見えていながら実は違っている場合には裏目に出ることになる。この現象の一例を、私たちが最近行ったティーンエージャーのウェブ利用に関する研究で、kidshealth.org の中の 10 代向けのページで発見した。(このリサーチはまだ進行中で、結果は User Experience 2004 で発表されることになっている。)
テストで、ティーンエージャーの何人かは、適正体重を調べるという簡単なタスクを行うことができなかった。サイトの中にあった「 What’s the Right Weight for My Height? 」(身長に対しての適正体重は?)という記事は、明確で、短く、理解しやすく、マイクロコンテンツとしてはすばらしいものだ。タイトルも良いし、「Food & Fitness 」(食べ物とフィットネス)という引き付けるようなラベルが付いたエリアの中で目立つ場所に置かれている。この記事は「weight」(体重)で検索したときも、比較的上位にランクされている。
ここまでは、問題がない。この記事に答えが載っていない点を除けば。
不幸にも、この記事への経路が良い情報の匂いを放ち、また記事そのものが強い情報の匂いを放っていたため、ユーザは求めている情報はそのサイトにないと結論付けた。結局、ユーザは情報があるべき場所は見つけたのだが、情報はそこにはなかったのだ。
ユーザはなぜあきらめるのか
情報の匂いが著しく強い場合、人は一般的に正しい場所を見ていると感じる。もし求めているものがそこになければ、そのサイトでは、それは提供されていないと結論付けてしまいがちだ。
他の多くの研究でも、私たちは同じような結果を見てきた。そして多くの場合、それがサイトの売り上減につながっていた。私たちが行ったeコマースサイトのユーザビリティの研究を例にとると、ユーザが自動車用のベビーシートを探しているとき、論理的に考えた彼らは、テストサイトの自動車関連のセクションを探した。そこにベビーシートはなかったので、購入にいたらなかった。見つかると思ったカテゴリに商品がなかったので、そのサイトはその商品を販売していないと思ったのだ。(実は、その商品は別のセクションにあったが、自動車のセクションからクロスリファレンスされていなかった。)
もちろん、ナビゲーションとラベルを明確にして、リンクの先に何があるのかを明示しているのはよいことだ。問題が起きるのはいくつかのリンクが明確で(強い情報の匂いを放っていて)、他が明確でない(情報の匂いが弱い)ときだ。
ティーンエージャーの例でいうと、体重オーバーかどうかを計算する便利な機能がサイト内にあったのだ。しかし、その情報は「Body Mass Index (BMI).」(体重計算)という記事に載っていたのだ。このタイトルは短くて明確だ。しかし、マイクロコンテンツとして考えた場合、2 つの問題がある。
- 言葉が専門的で威圧的だ。計算が得意な人でなければそのようなリンクをクリックすることはない。ティーンエージャーをターゲットにしたサイトにあるにもかかわらず、このタイトルは医者向けに考えられているようにみえる。
- 最悪なのは、このタイトルが記事内容の説明になっていないことだ。実際にこのリンクの先には体重、身長、年齢の関係を説明し、体重オーバーかどうかを見分けるための表があるのだ。
解決策: クロスリファレンスと明確なラベル
過剰な情報の匂いに対する標準的な解決策は、目的の場所へのクロスリファレンスを提供することだ。例えば、ベビーシートを車のアクセサリとして扱っていないとしても、車関係のページにも他の場所にあるベビーシートへの参考リンクを置くべきなのだ。
しかし、クロスリファレンスは、参考リンクに良い情報の匂いがなければ機能しない。ティーンエージャーのサイトで言えば、実は「What’s the Right Weight for My Height?」の中にも、「body mass index」というラベルが付いた、探している情報へのリンクがあったのだ。しかし、そのリンクのラベルがユーザの目的に対して非常に弱い情報の匂いしかなかったため、見過ごされたのだ。
自分のウェブサイトで、リンクやナビゲーションカテゴリの中に、実際には他の場所に置かれたものに対する強い情報の匂いがするリンクがないか確かめてみよう。もしそのようなリンクがあったら、顧客を取り逃がしているのだ。
2004年8月2日