よくあるシナリオの価格情報を提示しよう
B2B サイトは、価格構成が複雑すぎたり、価格を全く提示できなかったりといったことが、よくある。見込み客たちの初期リサーチを手助けするために、代表的なケースの価格を一覧にしておこう。
多くの B2B ウェブサイトや、いくつかの B2C サイトには、サービスに無数の組み合わせや選択肢があるか、顧客別にカスタマイズする必要があるため、価格情報を掲載するのが困難なことがある。そのような場合、見込み客たちを手助けするために、よくある注文の価格を例として提示しよう。
最近行った B2B ユーザビリティ調査は、この問題を別の角度から浮かび上がらせた。細かすぎて、複雑な価格情報が、使いにくすぎたのだ。
複雑さの問題
参加者の 1 人は、翌日配達を行うための契約業者を乗り換えようとしている企業で働いていた。私たちが観察している最中、このユーザは競合する 2 つの配送業者を訪れ、とりあえず提示されているものを把握しようとした。
いつものように、価格は、ユーザがはじめに知りたがったことの内の 1 つだった。価格を提示することは、私のガイドラインの上位に長いこと入っている項目で、2002年度ウェブ・デザインの間違い 1 位になっている。幸運にも、どちらのサイトも価格を提示していたが、その方法はかなり異なっていた。
- 配送業者の内 1 つは、配送元と配送先の郵便番号、荷物の重量と大きさをユーザに入力させる、運賃計算機を通して価格情報を提供していた。ユーザはまた、混乱しかねない、いくつかあるサービスオプションの中から選ぶ必要もある。
- もう一方の業者は、よくあるケースの価格を簡単な一覧にしていた。
テストユーザは、リサーチの初期段階にあり、見込みのある配送業者のリストを作るための情報を集めていた。ユーザは、いずれそのリストに残った企業の営業担当者に連絡をとり、表示価格からさらに割引を求めなければいけないことを、自覚していた。だが、彼女のこの時点での関心は、交渉相手を絞り込んで、現実的な数に減らすことだった。この段階での B2B ウェブサイトの目的は、絞り込み作業を生き抜くことで、交渉相手として残ることだ。
つまりユーザは、全般的な価格の見当しか必要としていないのだ。彼女には、小包ごとの詳細情報や、よく書類を送る先の郵便番号と住所などを調べることに関しては、全く興味がなかったのだ。
最初の業者の運賃計算機は、ユーザが素早く全体的な価格を調べるには、複雑過ぎで、エラーが起きやすい。価格の例を一覧にしたもののほうが、国内外への配送を含めた、数種類のサービスに対する価格の見当をユーザがつけやすく、このタスクには向いていた。
簡単な例が最も上手く機能する
もう 1 つ例を挙げよう。たとえば、貴方は病院向けのフローリング素材を販売していたとする。実際の価格は、病院ごとのフロアレイアウトによって異なる。なぜなら部屋の種類によって、特殊な素材を使う必要があるのが一般的で、1 フィート四方あたりいくらといった、固定価格で片付けられる簡単な問題ではないからだ。
このような場合、最低でも 2 つの選択肢がある。まず病院の担当者に、実際に必要になる材料とその量を見積もらせて、正確な価格をはじき出せるような、見積もり作成機能を提供することができる。この選択肢は、そのサイトをじっくり使おうとしているユーザには、ありがたいかもしれないが、複雑で時間がかかるものになってしまう(私たちは、そのような機能をいくつかテストした結果から、そうなってしまうことを知っている)。最初の段階をもっと簡単にするには、手術室や病室などを特定数備えた病院を例にして、価格を提示することが可能だ。
扱っている価格やサービスが複雑であることが多いため、価格例の必要性が B2B ウェブサイトにとって多いことは確かではあるものの、その必要性は彼らに限られたことではない。いくつかの B2C サイトも価格例を使う必要がある。たとえば、庭師だ。庭の広さや、庭にある各要素が異なっても、ウェブサイトで一般的な庭の例をいくつか挙げておけば、ユーザは価格がどのくらいになるか、だいたいの見当がつけられる。
一般論でいえば、正確な価格を提示できない場合や、価格表がとても複雑になっている場合、代表的なケースとその値段をいくつか提示しよう。これは、販売プロセスが長く、ユーザたちが初期リサーチで予備知識を素早く調べたくなるような商材では、特に重要となる。
2006 年 4 月 10 日