インタラクションの弾力性

インタラクションの代償が上がると利用は減少する。どれくらい速く需要が減少するかはユーザの動機が決定付けており、それは弾性曲線に従っている。

人々はいつも数値による規則を欲しがる:

  • ホームページから製品のページまで何回のクリックにするべきか?
  • ナビゲーションメニューには、いくつのリンクをおくべきか?
  • ページをダウンロードするのに何秒間であればユーザがそこを去らずに待つことが出来るか?

悲しいかな、そのような質問に対し、唯一の数字による答えを提供することは出来ない。

もちろん、我々は、シームレスなナビゲーションを実現するには、レスポンスまでの時間は1秒未満、ユーザが不思議に思うのを防ぐには10秒未満でなければならない。こうした時間の限界は、人間の脳の構造によって起こるものであり、数十年に渡り(実に数世紀に渡って)安定した変わらないものである。一方、仮にダウンロードするまでの時間が1秒ないし10秒を超えたら人々はサイトを去るということなのだろうか?そうではなく、そうした場合に人々がサイトから去る可能性が高いということなのだ。なぜなら、サイトが遅くなればなるほど、それを使うのが好ましいと感じられなくなるからだ。

クリックやリンクが重要であるようにウェブサイトを構築する方法について我々が丸一日のセミナーを開催するのには理由がある: これらの問題を正しく解決するには、相当のトレードオフ分析が必要である。真の問題は何回のクリックやリンクを要するかではなく、ユーザが正しいものを選ぶのが如何に簡単であるかということなのだ。5回の簡単なクリックによるパスの方が、3回の分かりにくいクリックに比べて大いに優れている。そして、簡単に分かる10の項目で構成されるメニューの方が、7つのあいまいな項目で構成されるメニューよりも勝る。

要するに、あなたが何を数えているのかを理解せずに、単純に数えることは出来ないということだ ? あなたの顧客に対して、何が使いやすく、また何が使いにくくするのかを評価出来るようにユーザビリティの原則を理解しなければならない。

それでも、たいていの場合はより短いパスが勝ると言える: 4回の簡単なクリックの方が、5回の簡単なクリックよりも使うのに便利だ。なぜなら、余計な一回のクリックだけユーザの作業が多くなる。同様に、カテゴリのラベルは明確で意味があるものという前提でいうならば、より短いメニューの方が、より素早く目を通すことが出来る。

ユーザビリティに関するほとんどの質問は、二分して答えられるものではない。あるやり方では100%の成功が得られ、他方のやり方では必ず失敗するというような単純なカットオフは存在しない。むしろ、あるデザインは別のデザインよりも優れており、より多くのビジネスを促進するということだ。

弾力性: コストの上昇につれて需要は減少する

経済の分野が興味深いアナロジーを提供している: 価格弾力性がそれである。あなたの製品が何であれ、それより高ければ誰一人として買わないが、その値段であれば誰もが購入するというような唯一の価格は存在しない。 その代わり、現実には、価格を上げれば上げるほどより多くの顧客がそっぽを向く。価格がより低ければ、確かに売上高は上昇する。しかし、価格は何円にしなければならない、さもなければ誰も買わなくなるだろうとは言えない。

弾力性とは価格が上がれば売上高が減少する度合いのことである。需要とは以下のいずれかの性質を持つと言えるかと思う。弾力性を持たないもの、つまり、ほぼ全ての価格において人々は購入するであろうという性質(つまり、価格が上昇すれば売上高はゆるやかに減少する)。もしくは大いに弾力性を持つもの、つまりほとんどの人々は、価格が非常に安い場合においてのみ購入するであろうという性質(つまり、価格が上がれば、売上高は急速に減少する)。

ユーザビリティもまた弾力性を見せる。レスポンス時間が x 秒未満でなければ誰もサイトを使わないだろうとは、あなたには言えない。しかし、レスポンス時間が速ければ速いほど、より多くの人たちがそのサイトを使うだろうし、より多くのページを訪れるようになるだろう。

同様に、あなたがより多くのユーザビリティガイドラインに従えば、より多くの商取引を得るようになる。しかし、仮にあなたのサイトが重要なユーザビリティガイドラインを明らかに犯していたとしても、それでもなおいくらかの商取引を得るだろう。

今年の初めに、私はユーザビリティの 4つの重大ミスについて分析した。4つのいずれも実に悪いものだが、4項目を全て犯している会社がそれでもなお商取引を行っている。その理由?そうした会社のどこも何らかを上手くやっているのだ。そして、デザインの問題を何とか切り抜けるために努力を払うユーザたちを彼らは抱えているのである。

同じように、あなたがよい製品を持つのであれば高額な値段を請求できる。なぜなら、ある人々は競合他社の安い製品を買う代わりに、あなたの製品を買うために喜んで予算を増やそうと考えるからだ。

需要について言えば、あなたが優れていればいる程、弾力性の影響は小さくなる。確かに、高い値段とユーザビリティの低さによってあなたの商取引では常に若干の減少はあるだろうが、弾力性の大きい製品を抱える人たち程の影響を受けることはない。

インタラクションの弾力性について 2つの覚書き:

  • 弾力性が高い場合、些細なユーザエクスペリエンスの落ち度が起こる毎にあなたのサイトの利用は急激に落ちるだろう。
  • 仮に弾力性が低い場合(かつ忠誠心の高いユーザ)であっても、どうして悪しきデザインによっていくらかのビジネスを失う必要があろうか?商品の価格に関しては、可能な時により多く請求することでつじつまが合う。なぜなら、一つ一つの売上げからより多くの金銭を得ることにより利益を上げるからだ。しかし、ユーザインタフェイスデザインにおいては、ユーザビリティを落とし顧客の反感を買った場合には何も得られない。

障害を乗り越える

あなたと見込み顧客の間のユーザビリティの問題は障壁のようなものだ: デザインが悪くなるほど、障壁は高くなる。ユーザはその障害を乗り越えるだろうか?ユーザのうちの何人かは越えるだろうが、そうしない人達もいるだろう。障壁をより低くし、あなたの提供するものがより強い説得力を持つのであれば、あなたのインタラクションの弾力性はより低くなり、より多くの人が乗り越えるようになる。

ウェブサイトのビジネス価値を上げる2つの戦略は以下の通り: (1) 人々が本当に欲しがることを行い、需要の弾力性を低くする。そして (2) ユーザビリティを向上することにより、インタラクションの代償を引き下げること。私だったら、両方共取り組むと思う。

2008 年 12 月 15 日

公開: 2008年12月15日 (原文:2008年12月15日)
著者: Jakob Nielsen
原文:Interaction Elasticity

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