三行広告:
Webの成功例

ウェブ広告に関するコラムへの補足記事

三行広告はウェブでの配信になじむ。なぜなら、基本的にデータベースアプリケーションだからだ。よって、もっぱらウェブでは広告はうまくいかないと考える私ではあるが、ウェブベースでの三行広告に関しては、かなり楽観的な見込みを持っている。

三行広告には、ウェブに適した特性がいくつかある。

  • 古典的な「プル」型メディアである:顧客が広告を探すのは、中古車が欲しい時、ハウスキーパーが欲しい時である;楽しみのためだけにページを繰る人はいない
  • コンピュータ化した検索と並べ替えに適している:中古のBMWで5000ドル以下のものだけ探したり、3年未満のものだけ、あるいは赤のZ3だけを探したりできる
  • 時間に左右されるが、1両日で変わるほどではない:投稿されたのが今日か昨日かに関わらず、有効な広告はすべて見たいだろう。品物が売れたら、すぐに広告を引っ込め、それ以上顧客に見せることはない(固定的なリストだと両者の時間が無駄になる)
  • 売り手は自分のワクを自分で入力できる。自分の売り物が何か知っているのだから、広告データベースに直接入力できるわけだ。ウェブのハイパーテキスト機能を利用して、必要に応じて、広告からくわしい背景情報へリンクを張ることも可能だ;スペース節約のための暗号のような略号はもはや必要ない(新聞の印刷代に比べればハードディスクなど安いものだ)
  • マルチメディア機能によって、売り手・買い手、双方の時間を節約できる。売り手にコンタクトを取る前に、買い手候補はくわしいことを知ることができるからだ(その子犬はどれくらいかわいいか? – 写真だって、ムービーだって見ることができる)。

三行広告の特性のうち、ウェブに適している特性はすべて、印刷物の新聞には適していない点に注意されたい。三行広告がニュースといっしょに物理的製品としてひとまとめにされているという事実は、どちらの製品の本来的な性質とも、まったく関係のないことである。事実、三行広告とニュースの間にシナジー効果はまったく起こっていない。趣味に関係した三行広告を趣味に関係したニュース記事と関連させることにはメリットがあるが、この手の記事は新聞よりも雑誌(あるいは専門ウェブサイト)でやった方が向いている。

三行広告とニュースが同じ印刷物としてひとまとめにされているのは、紙ベースの製造・流通技術のゆえである。新聞社は巨大な印刷工場を抱えているので、たくさんの広告が入ったたくさんのページを、安く印刷することができる。また、毎朝、各家庭に配って回る配達人もいる(こんな「プッシュ」技術が必要なのは、興味のあるカテゴリーだけを手に入れられるようになっていないからだ)。メディア技術を替えれば、新聞だけに三行広告ビジネスを独占させておく理由はない。

もっというと、私は、多くの新聞社がここ10年以内に倒産すると予想している。インターネットに本気で取り組み、合衆国なら1998年中盤、それ以外の地域でも1999年中盤までにウェブ三行広告を支配したものだけが生き残るだろう。それ以降では、取り返しがつかない。新聞が用意した枠はまだ小さい。本当なら、大同連合して統一的かつ独占的な三行広告サイトを作れるはずなのだ。まずは、紙版に掲載された広告を、そっくりそのまま転載することから始めればいい。すぐにでもやらないと、他のサイトが圧倒的な地位を築いてしまうだろう。

三行広告は、本来的に収穫逓増の傾向を持っている。潜在的買い手層のほとんどは、まず一番大きなサイトに行くだろう。買いたいモノに近いものが載っているはずだからだ。売り手も同じサイトに広告を出すだろう。一番多くの買い手を見つけられそうだからだ。

三行広告に載っているもののかなりの部分は、地理的な制約を受けている。不動産が極端な例だ。だが、クルマやコレクターズアイテムでさえ、比較的近いところにいる売り手から買うのが普通だ。もちろん、中には珍しいコレクション品を世界各地から送ってもらうこともあるだろうが、引越し先であろうと、別荘であろうと、不動産なら実地に見てみたいだろう。複数の地域別三行広告サイトが運営できるかどうかは定かでない。あるいは、単一の巨大サイトの中に、全世界の地域が検索条件として組み込まれたものになるかもしれない。複数の専門サイト(例:切手売買用、コイン売買用など)を設けた方がいいのか、単一の多目的サイトにしておいてインフラとブランド認知度を複数のカテゴリーで共有した方がいいのかどうかも、はっきりしない。

未知の要素はあるものの、ウェブにおける三行広告の将来が明るいことには絶対の確信が持てる。まさにウェブのために生まれたような広告ジャンルだ。