5種類の買い物客のためのECサイトのデザイン

ECサイトの買い物客には主に5つのタイプがある。それぞれ異なる、サイト訪問時の動機や行動パターンを知ることで、デザイナーは各ユーザーのニーズをサポートしつつ、サイト全体のユーザビリティを向上させる決断を下せるようになる。

ECサイトの買い物客というのはさまざまだ。特定の商品を目当てにサイトを訪問する人もいれば、買うものを決めようとしている段階の人もいるし、暇つぶしに来る人もいる。したがって、ECサイトサイトのあらゆる要素、つまり、商品の画像から説明、登録、精算に至るまで、すべてがサイトの成功には重要だ。しかし、買い物客のタイプによってサイトで利用される要素は異なっている。

それぞれのユーザータイプの特定は、デザインチームがすべての買い物客にとってのユーザブルで有益なエクスペリエンスを構築するのに役立つ。一連のEコマースユーザーエクスペリエンスレポートの調査を通じて、我々は買い物客のタイプをいくつか特定したが、彼らはそれぞれ独特のニーズを持っていた。デザインをしながらこうしたタイプについて考えること、つまり、彼らをペルソナに発展させることは、ECサイト全体のユーザビリティの向上につながるだろう。

調査で特定された買い物客の5つのタイプとは以下の通りである:

  • 商品集中型(Product focused)
  • 閲覧者(Browsers)
  • リサーチャー(Researchers)
  • バーゲンハンター(Bargain hunters)
  • 1回限りの買い物客(One-time shoppers)

商品集中型

商品集中型の買い物客は、自分の欲しいものが正確にわかっている。彼らが必要としているのは今、すでに持っているものの後継となるものである。彼らは事前に調査を済ませており、欲しいアイテムはすでに選び出してある。ショールーミングもしてきており、アイテムは実店舗でも調査済みだが、買うのはネットでと思っている。こうした買い物客は目的志向型である。彼らは必要なものがわかっており、それを迅速に得られるサイトを求めている。

商品集中型の買い物客はサイト内を見て回ったりはしない。彼らがしたいこととは、その商品を見つけて、それが自分の欲しいもので間違いないかを確認し、買うことのみである。商品説明をまったく読まない人もいる。商品の名前と写真をさっと見て、その商品で間違いないことを確認したら、それを買うのである。

目指すべきは速さだ。買い物客を正しい商品のところに連れて行き、それで間違いないことを認識させ、精算にまで持ち込もう。そのユーザーが急いでない可能性はある。しかし、サイトに長居して、そこで充実した時間を過ごすという発想は彼にはない。より上位のものを買わないかという売り込みに気づくこともあるかもしれない。しかし、気を散らすことなく、目的の買い物を続ける可能性が高いだろう。

商品集中型の買い物客にとっての重要な要素は以下である:

  • 記述的な名前とわかりやすい商品画像による各商品の明確な表示
  • 興味のあるアイテムがすぐに探せ、検索結果リストから正しいアイテムを選び出しやすい効果的な検索
  • 再注文をシンプルにするための、以前に買ったアイテムへのアクセスのしやすさ
  • 買い物客が可能な限り速く用事を済ませられる合理的な精算プロセス

閲覧者

閲覧者とはのんびりした買い物客で、自分の好きなサイトや新しいサイトに刺激を求めて、あるいは暇つぶしに行く人のことである。ネット閲覧好きの買い物客は最新のトレンドをおさえて、将来、それを買うことを夢見たり、Webルーミング、つまり実際の店を訪れる前にオンラインで見ておいて、次の買い物の準備をしたりしている。調査参加者の1人はこう言った。「(そのオンラインショップには)良いものがたくさんありました。でも2、3日中には店に直接行って、近くで見るつもりです」。

直感に反するように思えるかもしれないが、あなた方のサイトをいろいろ見て回ってもらうのは良いことである。彼らはあなた方のサイトで、あなた方の会社、あなた方のブランドと共に、時を過ごすことを選んだ人たちだからである。彼らはあなた方のサイトを娯楽や刺激として利用している。これはこうした閲覧者を購買者にする絶好の機会である。彼らがあなた方のサイトで自分の好きなアイテムを探したり、最新の商品を見る際のエクスペリエンスが常に素晴らしければ、買う準備が整ったときには、あなた方のサイト、つまりあなた方の店のことを思い出してくれる可能性は高いだろうからである。

ネット閲覧好きの顧客の見たいものとは、新しいもの、人気のあるもの、そしてお買い得なものである。定期的にサイトに来ている買い物客は先週見たのと同じ情報を見たりはしない。見るのは前とは違う部分だ。彼らが興味があるのは最新のアイテム、最新のお買い得情報、他の人が何を買っているかである。関連アイテムやおすすめ商品は彼らのサイト内移動を助け、新しいエリアや新しい商品に行きやすくする。ベストセラー商品や人気の商品、評価の高い商品はどれもネット閲覧好きの買い物客には魅力的だろう。

常連客は新しく追加された部分を見るためにサイトに戻ってくる可能性がある。Brooks BrothersのサイトではNew Arrivals(:新着商品)のセクションが大きく扱われていた。
常連客は新しく追加された部分を見るためにサイトに戻ってくる可能性がある。Brooks BrothersのサイトではNew Arrivals(:新着商品)のセクションが大きく扱われていた。

買い物客が「掘り出し物」を友人とシェアしやすくすることで、口コミマーケティングができないかについても考えてみるといいだろう。

ネット閲覧好きの買い物客にとっての重要な要素は以下である:

  • 新商品、人気商品、セールになっている商品のリスト
  • 関連リンクやおすすめ商品による最新の在庫商品へのアクセスしやすさ
  • 気にいった商品についての情報をシェアできる機能

リサーチャー

リサーチャーは、商品集中型の客と同様に目的志向である。彼らは購入までを予定しているが、その購入は今日の可能性もあれば、明日や来週、あるいは6か月後のこともありうる。彼らは商品や価格について常に情報を収集しており、調査段階のどこかにいるだろう。つまり、新しい商品のタイプについて学んでいるところかもしれないし、探している商品についてかなりよく知っている段階かもしれないし、適正な価格や機能の適切な組み合わせを探求している段階かもしれない。研究は数回の徹底的なサイト訪問を通して実施されるが、そのときにどのオプションを選ぶかをさっと決めることもある。

リサーチャーは、買い物を実行する前に複数のサイトを訪問して、情報を集めるだろう。目指すべきはこうしたリサーチャーをあなた方のサイトの購入者にすることである。オンライン取引での信頼性が重要なのだ。あなた方のサイトが詳細な商品説明や優れたサポート、明確なナビゲーションを提供していると思えば、リサーチャーがあなた方のサイトで買う可能性は高まるだろう。あなた方のサイトが提供している商品情報が限定的なものだったり、曖昧だと、彼らは買うことはおろか、研究のためにそこで時間を費やすこともしなくなる。最善のサイトではないからだ。リサーチャーを購入者に変えるには、情報や商品の博識な信頼できるソースとなることである。

商品の比較しやすさが肝心だ。これは必ずしも大規模で複雑な商品比較エンジンを作るということではない(とはいえ、そうしたツールもかなりうまく機能するが)。楽に比較できるようにするにはシンプルに一貫性のある商品情報を提供すればよい。そうすれば、リサーチャーが各商品の違いを判断しやすくなる。

リサーチャーが探し求めているのは、商品の細かい説明や画像である。これは必要に応じて詳細情報を見られるようにしておくということだが、大量の詳細情報を前面に押し出し、商品集中型の客や閲覧者を怖がらせないようにしよう。情報はレイヤー化して、上層では商品概要を提供し、リサーチャーが欲しがる詳細情報はそこから追えるようにしておけばよい。

商品についての疑問、例えば、StonewallKitchen.comのこのdinnerware collection(:食器シリーズ)の材質は何かといったような疑問が解決されないままだと、リサーチャーはサイトを離れてしまうだろう。
商品についての疑問、例えば、StonewallKitchen.comのこのdinnerware collection(:食器シリーズ)の材質は何かといったような疑問が解決されないままだと、リサーチャーはサイトを離れてしまうだろう。

リサーチャーは商品について調べるので、なじみのない用語は説明が必要だ。ユーザーレビューも有益である。他の人がその商品をどう思っているかを読むことによって、さらに情報を集められるからである。

リサーチャーは、興味のあるアイテムにフラグを立てることも希望するかもしれない。選択肢を絞ったり、比較したりできるからだ。我々の調査の多くでは、この目的にはショッピングカートが利用されており、興味のあるアイテムを1カ所に集め、最終判断を下すために必要に応じて商品説明に戻ることが行われていた。ショッピングカートから商品説明に戻ったり、カートの商品を削除するのが容易なサイト、そして次に訪問するまでカートにアイテムが保存されるサイトは彼らからの評価が高かった。リサーチャーは他を訪問するためにサイトを離れたり、買うかどうか数日考えたりもするからである。そうした状況では前回やめたところを見つけ出せることが求められている。

リサーチャーにとっての重要な要素は以下である:

  • 明確で詳細な商品説明
  • ストーリーとセットで、わかりやすい言葉で書かれている、なじみのない用語や商品機能の定義
  • ユーザーレビュー
  • 商品比較のしやすさ
  • ショッピングカートが編集しやすく、次の訪問時まで商品を保存しておけること

バーゲンハンター

バーゲンハンターが探し求めているのは、可能な限りの一番お買い得な商品である。他のタイプの買い物客もバーゲンハンティングという行動に影響されることはある。買い物客の中には単にお買い得な物を探しており、お買い得な物が手に入ると思えば買う気になる人もいるからだ。

バーゲンハンターに必要なのは、お買い得な商品が見つけられることである。価格の表示は明確である必要がある。セールになっているアイテムはサイト内に隠れてしまわないようにし、定価も一緒に載せて、どれだけ得になっているかを目立たせるべきである。利用可能な割引があるなら、それは使いやすいものでなければならない

Hautelookは今の販売価格と元の価格、割引率を載せている。バーゲンハンターは自分がいくら「節約」できるかを確認したいとよく思っている。
Hautelookは今の販売価格と元の価格、割引率を載せている。バーゲンハンターは自分がいくら「節約」できるかを確認したいとよく思っている。

バーゲンハンターから得られるチャンスとは、セールの開催だけではなく、彼らをリピーターに変えることだ。

長期にわたるダイアリー調査で、参加者の何人かは、セール中でないかを見るためだけにサイトに戻ると述べていた。クーポンを送り、割引を提示し、最低限の購入で送料が無料になるようにして、バーゲンハンターを引き付け、つなぎ止めよう。顧客が割引を受けるためにニュースレターに登録したら、ニュースレターを確実に即、送信しよう。彼らはショッピングカート内に待機させている品物のためにそれを使おうと思っているかもしれない。

調査で我々が見たのは、買い物客が繰り返し複雑な手順をこなし、最低購入要件のあるお得な買い物の権利を得ようとしているところである。つまり、彼らは余分な時間とお金を使ってまで、割引の条件に該当するようにしていた。

バーゲンハンターにとっての重要な要素は以下である:

  • 商品の定価を添えたセールアイテムの表示と、割引アイテムのわかりやすいコーナー化
  • 商品価格と関連する割引のセット表示
  • 条件該当時のクーポン引き換えや割引申請の自動化

1回限りの買い物客

1回限りの買い物客は、商品集中型の可能性もあれば、ネット閲覧好き、バーゲンハンター、あるいはリサーチャーの可能性もある。彼らはギフトカードをもらったり、買ったりした人、あるいは贈り物を買おうとしている人であることが多い。贈り物をもらう人が欲しがっている商品のリストといった目標を持って、サイトを訪問していることもある。初めての買い物が終わった後、そのサイトを訪問するつもりはない。つまり、彼らは1回限りのために訪問をしているのである。

こうした買い物客は、訪問中のサイト、あるいは多くの場合、そのサイトが扱っている商品にすらなじみがない。彼らに必要なのは興味のある商品にたどり着け、サイトの在庫や取扱商品を確認できる明確なサイトナビゲーションである。わかりやすい商品説明は、どの商品が彼らのニーズに一番合うかを判断しやすくする。会社情報も知らないサイトを信頼して、自分の個人情報や金融情報を預ける気にさせる一助となるだろう。

1回限りの買い物客が最も不満に思うのが、サイトへの登録である。調査では買い物客の大多数が登録と精算のプロセスに手間がかかることについて文句を言っていたが、1回限りの買い物客は登録を要求されて特にムッとしていた。このサイトにはもう来ないのではないかと思っているので、アカウントを作ったり、自分についての記録をサイトに残したりはしたくないのである。アカウントを作らなくても購入できるサイトを彼らは高く評価していた。

1回限りの買い物客は、1-800-flowersのようにゲストのままで精算までいけるとありがたく感じていた。この先、買い物するためにそのサイトに戻ってくる気がないからである。
1回限りの買い物客は、1-800-flowersのようにゲストのままで精算までいけるとありがたく感じていた。この先、買い物するためにそのサイトに戻ってくる気がないからである。

1回限りの買い物客にとっての重要な要素は以下である:

すべての買い物客への配慮

ECサイトでの良質なユーザーエクスペリエンスは、あらゆるタイプの買い物客にとって非常に重要だが、重要になる要素は、買い物客の目的によってそれぞれ異なっている。ユーザータイプというものを考慮しながらデザインをすることは、買い物というエクスペリエンス全体の質を向上させる。一連のEコマースユーザーエクスペリエンスレポートにあるようなガイドラインに従うことで、こうした重要な要素をユーザブルなやり方で確実にデザインできるようになるだろう。

さらに学ぶ

調査レポート(英文)

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公開:2014年4月2日(原文:2014年3月2日)
著者:Amy Schade
原文:Designing for 5 Types of E-Commerce Shoppers

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