日記調査:長期間のユーザー行動と体験の理解
参加者は日々の活動をその都度記録し、リアルタイムのユーザーの行動やニーズについてコンテキストに基づいた知見を提供する。
日記調査の定義
日記調査は、ユーザーの行動や活動・体験に関する知見を長期的かつコンテキストに沿って収集するために用いられる定性的なユーザー調査手法である。
日記調査では、数日から数週間あるいは1か月以上にわたって、発生するインタラクションや体験を参加者は報告する。
たとえば、看護師が病院内で患者の健康記録とどのようにインタラクトしているかを調査する日記調査では、看護師に健康記録に関わるすべての活動を記録してもらう。
参加者から長期間にわたるコンテキストを含んだ自己申告データを収集することで、日記調査はユーザーが日常生活の中でどのように行動するかを理解するのに役立つのである。
日記調査とフィールド調査やコンテキストインタビューとの比較
フィールド調査やコンテキストインタビューと同様に、日記調査もコンテキスト手法の一種である。これらの手法はどれも、ユーザーのコンテキストや環境を理解するために用いられる。しかし、フィールド調査やコンテキストインタビューは、ユーザーを直接観察する必要があり、通常は対面での調査となるため、そのコストがかかる。
対照的に、日記調査はリモートで非同期的に行われるため、柔軟性があり、さまざまな場所にいるユーザーを調べることができる。そのため、多くの場合、日記調査はフィールド調査やコンテキストインタビューよりも低コストで実施可能である。
日記調査とユーザーインタビューやユーザビリティテストとの比較
ユーザビリティテストやユーザーインタビューのようなモデレーターありの1回限りのユーザー調査手法では、長期間にわたるコンテキストに基づいた知見を収集することはできない。これらの手法は、通常、ユーザーを彼ら自身のコンテキストから切り離し、短時間で行うものだからだ。
日記調査を行うべき状況
日記調査は、長期的な体験や反復的な活動に関するさまざまな調査課題を調べるのに有用である。以下のような体験の側面に関する調査課題がある場合には、日記調査の実施を検討するといいだろう。
体験の側面 | 調査課題の例 |
---|---|
習慣と頻度 | ・ユーザーは1日のうちいつ、製品を利用するのか。 ・製品とどのくらい頻繁にインタラクトするのか。 |
態度と動機 | ・ユーザーがある特定のタスクを実行する動機は何か。 ・ユーザーは何かをするとき、また時間の経過とともに、どのように感じ、考えているのか。 |
行動と認識の変化 | ・システムの学習しやすさはどうか。 ・顧客ロイヤリティは時間とともにどう変わるか。 ・組織と長期間関わった後、そのブランドに対する認識はどう変わるか。 |
カスタマージャーニー | ・典型的なカスタマージャーニーはどのようなものか。 ・複数のサービスタッチポイントとやり取りした後のその体験に対する累積的な認識はどのようなものか。 |
チャネルとデバイスの利用状況 | ・ユーザーはどのチャネルやデバイスとインタラクトしていて、その理由は何か。 ・彼らが他のものではなくそれを選ぶ動機は何か。 |
外部要因 | ・ユーザーは製品やサービスと関わる際に、どのように他の人々と協働しているか。 ・プロセスの一環として、どのような競合他社・サードパーティのサイト・補助ツールを利用しているか。 |
日記調査の対象は、調査のトピックによって、非常に広範なものから極めて限定的なものまでさまざまである。日記調査は、多くの場合、以下のいずれかに焦点を当てている:
- 広範な行動
- 特定の製品の利用状況
- 特定の活動
広範な行動に焦点を当てた日記調査
一般的な活動や行動を調査することで、リサーチャーは、ユーザーの考え方・メンタルモデル・習慣・工夫を理解できるようになる。
例:ユーザーはAmazon AlexaやGoogle Assistantのようなインテリジェントアシスタントをどのように利用しているか。
対象製品の利用状況に焦点を当てた日記調査
ユーザーと特定の製品とのインタラクションを長期間にわたって調査することで、ユーザーの動機・利用パターン・その製品を利用する際の総合的な体験についての知見を得ることができる。
例:ユーザーは日常生活で特定の料理宅配アプリケーションをどのように利用しているのか。また、その利用に関する全体的な体験や認識はどのようなものか。
対象の活動に焦点を当てた日記調査
長期間にわたって行われる特定の活動に焦点を当てた調査を行うことで、複数のインタラクションを含むことが多い広範な目標にユーザーがどのように取り組むかを理解できるようになる。
例:顧客は携帯電話の新しいプランをどのように調べて契約するのか。
この種の日記調査は、ある特定の製品やサービスに関わる活動を対象とすることもあれば、ユーザーが大規模な市場において長期的な活動に取り組む方法に焦点を当てることもある。
データの収集方法
日記調査の名前の由来は、この種の調査の伝統的な実施方法からきている。かつて調査参加者は、決められた期間中、物理的な日記をつけて、関連する行動や体験を記録するよう求められていたからだ。
今日では、参加者とリサーチャーの双方にとって日記調査をより効率的に行うためのデジタルツールが多数存在する。しかし、基本的な方法は変わっていない。参加者は、調査対象の活動についての具体的な情報を記録するよう求められる。
データ収集のための適切なツールは、さまざまな要因に基づいて選択される必要がある。ツールの選択についてはこの記事の後半で詳述するが、ツール選択の際にまず考えるべきことの1つは、調査課題と調査の焦点に合っているかどうかである。
日記調査のタイムライン
日記調査は長期間にわたるものであり、参加者に知見共有方法を指示することでより複雑にもなるため、綿密な計画と準備が必要である。
調査の目標を設定したら、以下の重要な点を検討(そしてそれを調査計画に記録)しなければならない:
- 参加者が日記を記入するタイミング
- 日記調査の期間
- 参加者の人数とプロフィール
- 謝礼と回答の要件
- ツール
- コミュニケーションテンプレートとサポート資料
- パイロット調査
- 調査前の説明会
- 調査後のインタビュー
1. 参加者が日記を記入するタイミング
日記調査での知見の収集には、イベント発生時・一定間隔・合図の際という3つの方法がよく用いられる。リサーチャーはそれぞれの調査ごとの目標・課題・焦点に応じて、参加者から情報を収集する最適な方法を判断するが、これらの方法を組み合わせて利用することも多い。
方法 | どのような場合に利用するか |
---|---|
イベント発生時(イベントサンプリング、その場記録とも) 参加者は、関心のあるイベントが発生したときに記録するように求められる。 | ・すべての関連インタラクションについて具体的な詳細情報を知りたい場合 ・インタラクションがそれほど頻繁でなく、その都度記録しても時間がかかりすぎたり面倒だったりしない場合 |
一定間隔 参加者は一定の間隔で回答の提出を求められる。 | ・すべての個々のインタラクションについての具体的な詳細が必要なく、一定の時間間隔内の複数のインタラクションの詳細情報を収集できればよい場合 ・インタラクションが非常に頻繁で、そのたびに記録するのは時間がかかりすぎたり面倒だったりする場合 ・間隔のタイミングによって知見が偏ることがない場合(たとえば、毎回午後に報告することにすると、午前中にしか行わない活動についての詳細情報が減る可能性がある) |
合図の際(体験サンプリングとも) 参加者は、テキストメッセージなどの「合図」による呼びかけに応じて回答する。 | ・すべての個々のインタラクションについての具体的な詳細が必要なく、一定の時間間隔内の複数のインタラクションの詳細情報を収集できればよい場合 ・一定の期間ごとに活動が変化する可能性があり、異なる時間帯でさまざまな知見を収集したい場合 ・参加者が自ら報告することを忘れてしまう可能性がある場合 |
2. 日記調査の期間
どのくらいの期間、参加者にインタラクションを報告してもらうかを検討しよう。日記調査の期間は以下の項目によって決まる:
- 調査課題
- どのような行動を把握しようとしているか
- そうした行動はどのくらいの頻度で起こりそうか
- 典型的なユーザーがその長期間にわたる活動を完了するのにどのくらいの時間がかかるか
活動の典型的な頻度や期間を理解するために調査を行う必要があるかもしれない。しかし、結局のところ、報告期間は参加者全体のサンプルから十分なデータポイントが得られる長さを選ぶべきである。
調査課題 | 予想される頻度または期間 | 報告期間 |
---|---|---|
ユーザーは日常生活でAmazon AlexaやGoogle Assistantのようなインテリジェントアシスタントをどのように利用しているか。 | 1日に数回 | 1週間 |
ユーザーは日常生活で特定の料理宅配アプリをどのように利用しているか。 | 週に1・2回 | 3週間 |
顧客は新しい携帯電話についてどのように調べて、購入するのか。 | 約2週間で決めて購入 | 2週間 |
3. 参加者の人数とそのプロフィール
どんな参加者に何人参加してもらうかを検討しよう。参加者の典型的な行動は、調査で調べたいものと一致していなければならない。
たとえば、料理宅配アプリに関する調査では、そのようなアプリを週に数回利用する参加者が必要かもしれない。
日記調査は、通常のユーザビリティテスト調査よりも長期間にわたって行われるため、予期しない生活の状況によって、参加者が調査から脱落する可能性が高くなる。脱落の可能性に備えて参加者を多めに集め、最終的に十分なデータポイントが得られるようにしよう。
また、参加者が何人いれば、調査課題に答えられるだけの十分なデータが得られるかも検討しよう。飽和状態(ある主題が確立されていることを保証できうるだけの十分なデータ量)に達するには、十分な数の参加者を確保する必要がある。
飽和状態とは、定性調査において、データが同じことの繰り返しになる瞬間、つまり、同じことを何度も聞くようになる瞬間のことを指す。この時点を過ぎると、参加者を増やしても収穫は逓減する。日記調査の場合、飽和状態はデータを追加しても調査対象の行動に対する理解が変わることはなく、すでに特定している主題が再確認されるようになったときに起こる。
飽和状態に達するのに最適なサンプルサイズは、調査課題や問題空間の範囲、対象となるユーザーグループの多様性や均質性によって異なる。ユーザーグループが多様であればあるほど、代表的なユーザーの構成を得るには、より多くの参加者を確保する必要がある。さらに、調査の課題が広範であればあるほど、すべての質問にわたって十分な知見を得るためには、より多くのユーザーを集めなければならない。
以下に、これらの基準に基づくサンプルサイズの大まかなガイドラインを示す。
ユーザーグループの特性のばらつき | 調査課題の範囲 | 飽和状態に達するためのおおよその人数 | |
---|---|---|---|
小規模な発見プロジェクト | かなり均質 | 問題空間が比較的小さい | 5〜12人 |
大規模な発見プロジェクト | かなり多様 | 問題空間がかなり大きく、未知の部分が多い | 12〜30人 |
大規模な調査プロジェクトまたは学術調査 | 非常に広範 | あるトピックに関する一般化可能な知識や理論を生み出すことを目的とした調査 | 30〜50人 |
4. 謝礼と回答の要件
日記調査で参加者がすべきことを明確かつ具体的に示すことで、何が期待されているかをユーザーに理解してもらい、必要なデータを得られるようにしよう。
調査の謝礼と引き換えに、参加者に期待する最低回答数を指定するとよい。しかし、参加者に自然な行動を取ってもらうためにこの最低回答数は現実的であるべきである。
参加者の回答数は変動する可能性があることを想定しておこう。場合によっては、参加者に最低回答数を超えて報告することを許可して、それによって、より多くの報酬が得られるようにしてもよい。ただし、その場合は、参加者が提出可能な回答数の上限も指定し、回答者がより多くの報酬を得るために偽のインタラクションをでっち上げないようにするべきである。
長期間にわたっての協力が求められるため、日記調査の謝礼は一般的なユーザーテストセッションの謝礼よりも高くするべきである。調査の期間と、選択したツールを利用して必要な情報をすべて提供するために要する労力を考慮しよう。
大まかなガイドラインとして、米国を拠点とする一般参加者による調査では、想定される総所要時間に対して1時間あたり約40ドルを推奨している。ただし、この金額は、専門性の高い対象者の場合は適宜調整する必要がある。
1週間を超える調査の場合は、調査期間中を通してユーザーのやる気を維持する方法を考えよう。謝礼の総額を分割し、参加者が特定の目標(たとえば、3日分の記録)を達成するごとに少額ずつ支払うことで、調査期間中のモチベーションを維持することもできる。
5. ツール
参加者から得たい情報の種類について考えよう。
- シンプルな情報か、複雑な情報か。
- 行動やインタラクションに関する簡単なフィードバックが必要なのか、それともスクリーンショット・画像・動画・スクリーンキャストも必要なのか。
- 参加者が報告する各インタラクションについて、彼らに答えてほしい具体的な質問はあるか。
これらの要素は、ツール選びに影響する。
- テキストによるシンプルな回答の場合、Facebook Messenger・WhatsApp・Telegramのようなメッセージアプリの利用が考えられる。
- より複雑なデータの場合、Googleフォーム・Googleドキュメント・Survey Monkey・dScout・Recollectiveなどのツールを検討するとよい。
必要なデータの種類以外にも、ツールの選択には考慮すべき事項がある。
データセキュリティ
回答に個人識別情報や個人情報が含まれる可能性がある場合は、データセキュリティが保証されているツールを選択しよう。
参加者の利便性
自分の参加者グループにとって最も便利なツールを考えよう。たとえば、10代の若者はメールよりもSnapchatで報告することを好むかもしれない。
コスト
ツールには無料のものもあれば、かなり高価なものもある。無料のツールは通常、汎用的なもので日記調査専用ではないため、参加者への導入・具体的な指示の作成・参加者との連絡・調査後のデータ処理に非常に手間がかかることが多い。
dScoutのような日記調査専用のツールはコストがかかるが、リサーチャーの負担を大幅に軽減してくれる。dScoutは、日記調査のセットアップと進行を効率化し、その実施を容易にしてくれる。
ツールの種類 | 利点と欠点 | ツールの例 |
---|---|---|
オールインワンツール | ✅アプリベース:参加者は呼びかけに従い、動画を録画し、写真をアップロードし、アンケートに回答する ✅エクスポートが容易:フィルタリングやタグ付け、文字起こし、データの可視化をサポートするものもある ❌ 高価 | ・dScout ・Flex ・Indeemo ・Recollective ・FocusVision |
アンケート&文書ツール | ✅長文の回答に最適 ✅無料 ❌自動的に回答を促すのが難しい ❌呼びかけを別の媒体で送信する必要がある ❌画像や動画の共有が難しい | ・SurveyMonkey ・Google Docs ・Google Forms |
メッセージアプリ | ✅参加者との対話が容易 ✅呼びかけをある程度自動化できる ❌回答のエクスポートが難しい | ・Slack ・Facebook messenger |
6. コミュニケーションテンプレートとサポート資料
参加者が回答を提出した時点で、その回答をモニターできるようにしておくとよい。データが入力され次第、それを確認できれば、まだ参加者の記憶が新しいうちにフォローアップの質問をしたり、追加情報を求めたりすることが可能だ。
調査期間中に連絡をすることを前もって参加者に伝え、その連絡手段についても同意を得ておこう。そうすれば、過度に押しつけがましくならずに、励ましの言葉をかけたり、説明を求めたりすることができる。毎日または数日おきに定期的にリマインダーを送信しよう。また、報告スケジュールに沿って、対象となる提出物の確認も行うようにしたい。
どのツールを選択するにせよ、ある程度の準備が必要だ。
参加者に送るさまざまなメッセージのテンプレート・文書・指示書は事前に作成しておくといいだろう。
準備すべき文書には以下のようなものがある:
- 参加者募集用資料
- 調査の説明
- スクリーナー
- 同意書
- 導入用資料
- 歓迎メッセージ
- 情報パッケージ:参加の手引き・要件・謝礼の詳細・記録の例・選択したツールの詳細な利用方法・スケジュール
- 継続的なコミュニケーション
- 積極的な記録の呼びかけ(自動配信用のスケジュール管理ツールの利用を検討する)
- 提供されたインタラクションの数とまだ必要なものについての定期的な連絡を合理化するための、状況と確認のメッセージのテンプレート
- 終了時の資料
- 調査後インタビューのガイド
- お礼のメッセージと謝礼の提供
調査と期待していることについて、一貫した用語を常に使用しながら、シンプルでわかりやすい表現で提示しよう。自然なばらつきや予期できない参加者間の違いを抑制しすぎないようにしながら、参加者に記録してもらいたい情報について、可能な限り具体的に説明するとよい。
記入例を示して、必要とする情報の詳細レベルをユーザーに理解してもらう必要がある。ただし、参加者の回答が、例として挙げた記録の内容に類似したものばかりにならないように注意したい。
定期的に連絡することで、参加者も計画通りに取り組みを進め、適切なデータを提供できるようになる。以下のような参加者のタイプ別にテンプレートメッセージを作成しておこう:
- 参加意欲が高く、有用な回答を提出している参加者:その努力を評価し、今後もその調子で続けてくれるようにお願いする。
- 参加意欲が低め、または提出された回答に不備がある参加者:励ましの言葉をかけたり、軌道修正に役立つような質問があれば回答すると申し出る。
- 参加意欲に欠けている、または報告要件に合わない回答を提出している参加者:やるべきことを再度説明するか、参加に関する問題が改善されない場合は、調査から除外することを検討する。
日記調査は非常に複雑だ。したがって、すべてのサポート資料を事前に作成し、確認しておくことで、混乱のリスクをなくし、参加者に成功をもたらすことができる。
7. パイロット調査の実施
日記調査はかなり費用がかかり、多くのリソースを必要とするため、まず、短いパイロット調査を実施することが有効だ。パイロット参加者に資料や日記調査の体験についてのフィードバックを求め、それに応じて調整を加えよう。
パイロット調査は、実際の調査ほど長期間行う必要はないし、分析のためのデータを集めるためのものでもない。その目的は、調査のデザイン・ツール・関連資料をテストし、プロセスを練習することにある。パイロット調査を実施することで、指示ややり方を微調整して、必要なデータが確実に得られるようになる。
8. 調査前の説明会
日記調査における調査前説明会とは、参加者に調査の準備をしてもらうために回答報告期間の前に実施される短いミーティングのことである。そこで、報告すべき内容、求められる報告回数、謝礼などを伝え、彼らの質問に答えるとよい。
非常にシンプルな調査の場合、事前説明会は必要ないかもしれない。その場合は、導入用資料が説明会の役割を果たしてくれるだろう。
しかし、調査の設定が複雑であったり、ユーザーに複雑な情報を報告させたり、不慣れなツールを使用させたりする必要がある場合は、前もって時間を取り、回答の記録をする準備をユーザーにしてもらおう。
各参加者とのミーティングを予定し、調査の詳細について説明しよう。報告期間のスケジュールやカレンダーを1つずつ確認し、質問に答え、期待することについて説明しよう。
使用するツールについても説明して、各参加者がそのツールについて十分に理解できていることを確認し、彼らが疑問に思いそうな点はすべて事前に解決しておこう。
9. 調査後のインタビュー
日記がすべて提出されたら、各参加者から提供されたすべての情報を評価する。各参加者とのフォローアップインタビューを計画し、彼らの回答の詳細について話し合えるようにしておこう。これは、調査終了前に参加者から知見を得る最後の機会である。
深堀り質問によって、ストーリーを完成させるために必要な具体的な詳細情報を引き出し、必要に応じて内容を明確にしよう。ユーザーがどのように料理宅配アプリを利用しているかを調査しているのであれば、たとえば、「このアプリを利用して満足できなかったと書かれていますね。なぜ不満だったのか、もう少し詳しく教えていただけますか」といった質問をして、漠然とした回答を明確にするといいだろう。
また、「この数週間、この料理宅配アプリを利用してみて、全体的にどこが良かったですか、または悪かったですか」といった、調査対象のより広範な体験について一般的な振り返りの質問をすることもできる。
データ分析
日記調査は長期的な調査であるため、大量の定性データが生成される。そのため、まずは調査課題を再確認してから、収集した豊富な知見をすべて掘り下げ、その回答を見つけ出すとよい。
そして、調査期間中に記録された行動を評価しよう。これらの行動は時間とともにどのように進展し、変化したのか。何がこれらの行動に影響を与えたのか。調査の焦点が特定の製品やサービスとの関係にあった場合は、カスタマージャーニー全体を調べる必要がある。