インターネット課金のためのユーザインタフェース

  • by Jakob Nielsen
  • 1998年1月25日

マイクロペイメントに関するコラムへの補足記事

ウェブの情報が経済的財とみなされるようになれば、そのウェブページやウェブリンクに関連した価値と課金を表すためのユーザインターフェイスを明示的に備えておく必要が出て来るだろう。月末に、身に覚えのない請求が回ってきたら、ユーザはかなり頭に来るはずだからだ。

一方、ユーザビリティでは、ユーザインターフェイスにおけるシンプルさを標榜しているし、一般的に、情報洪水からユーザを守ろうという姿勢をとっている。こういった矛盾する要求を満たすために、支払用ユーザインターフェイスでは、情報の価値を、その価値の大小にしたがっていくつかのやり方で表示することが期待される。一般に、次世代のコンテンツ指向のユーザインターフェイスでは、豊かな属性表現という考え方が重要になるだろう。こういったインターフェイスが、今後5年ほどの間にMacintoshに端を発するデザインに取って代わると考えられる。

ユーザの個人用設定に入力された正確な上限値に従って、どのユーザインターフェイス表現を使うかが決まるようになる。お金持ちの人ならためらいもなく支払う額であっても、制約の大きい人は避けて通れるようになる。ここに列挙した数字は、私の推測に基づいて設定した多くのユーザに適すると思われるデフォルト値である。

非常にコストが安価、例えば1ページあたり1セント以下といった金額なら、ユーザインターフェイスには特に表示しないでいいだろう。リンクをたどるコストが0.5セント以下なら、無料のリンクとまったく同じ見た目にしておいてかまわない。支払うかどうかを判断する手間の方が、支払額そのものよりも大きくなると考えられるからだ。よって、支払いそのものがユーザの目に触れることはない(当然ながら、支払いサービスから送られてくる毎月の明細書には記録される)。

コストがもう少し上がってページあたり1~10セントくらいのものなら、簡単な記号をつけたり、リンクの色を微妙に変えたり、リンクの上にマウスを移動すると金額がポップアップしたりといった形で視覚化できるだろう。ユーザのコンピュータが評価サービスにコンタクトして、そのリンクに関する他のユーザからの情報を集めるというのもいい考えだ。目的地のページについて、他のほとんどのユーザがコストに見合っていないと感じているようなら、そのリンクをたどる前にダイアログボックスが出て、この事実を教えてくれる。目的地ページの評価が高いようなら、わざわざダイアログを出すまでもない。ユーザは、リンクをたどってダイレクトにそのページに移動すればいいだろう。

高価なページとは、価格が10セント以上のもの。この場合は、確認ダイアログに引き続いて、必ずユーザに「OK」をクリックしてもらう必要がある。

10ドル以上かかるような非常に高価な行動なら、単にOKボタンをクリックする以上のインタラクションテクニックが必要になる。かなりの出費をともなうものであることをユーザにはっきり自覚させるためにも、非日常的なインタラクションにしておくことが望ましい。この図に示したのは、私たちが提案する支払い認証方法についてのアイデアである。このシステムでは小切手のイメージが表示され、費用と受取人の欄が記入済みとなっている。ユーザが署名欄をなでるようなしぐさをすると、デジタル化されたユーザの署名画像が表示されてこれが承認される。なでるしぐさは、できれば画面に直接手をふれて行えるようになっていることが望ましいが、タッチスクリーンのないシステムでは、マウス操作で行うことも可能だ。

User 'signing' payment by moving finger across image of check on screen