新型コロナウイルス感染拡大のなかでの、ロサンゼルスの街の実際

アメリカのスーパーマーケットでのショッピングパニックなど

新型コロナウイルスの感染拡大でショッピングパニックが発生したとの噂を聞き、スーパーの様子を見てきました。アメリカの様子についての日本での報道を見ていると、若干の誇張を感じる事もあります。そんな中、できるだけ本当の姿を見ていただければという思いでInstagramを始めました。

  • 森原悦子
  • 2020年3月18日
スーパーの、空になった棚

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年3月13日金曜の西海岸時間正午にトランプ大統領が国家非常事態を宣言してすぐ、弊社の近所、ロスアンゼルスでは一見何も変わりなく見えました。しかしショッピングパニックが発生しているという噂を聞いて、小雨が降る中(LAでは年に数日しか雨が降りません)、住宅街にあるスーパーのショッピングパニックの様子を弊社Interface in DesignのInstagramでレポートしたものを紹介したいと思います。

つい2週間ほど前までは対岸の火事のような反応を見せていたアメリカ国内ですが、感染拡大が進み、ここ1週間ほどで一気に状況が変わってきました。人々は日本とアメリカで同じ反応かと思いきや、違う事もあるなと感じています。日本で報道されているアメリカの様子についての内容を見ていて、個人的に若干誇張されているなと感じる事もありますし、その通りだなと感じる事もあります。

新型コロナウイルスに限らず、そういうことは多々あるので、できるだけ本当の姿を見ていただき、日本のどこかのだれかのビジネスに寄与出来ればという思いでInterface in DesignのInstagramを始めました。

今回は、その中から最近アップした写真をいくつか紹介したいと思います。

スーパーの紙製品は軒並み売り切れ

3月13日の金曜日と、3月8日の日曜の同じ売り場の様子を比べてみます。非常事態宣言後は全ての紙製品が売り切れですが、つい数日前にはまだまだ在庫があった事が分かります。つい数日前までは新型コロナウイルスの脅威は、まだ遠くのどこかの事で、買い置きをする人はまだまだ少なかったのですが、さすがに非常事態宣言後のスーパーでは素早い反応が伺えました。

https://www.instagram.com/p/B9sKcEgnlFi/

一週間前のトイレットペーパー売り場
スーパーの、空になった棚
非常事態宣言が出されてすぐの同じ売り場

トイレットペーパーを真っ先に買い込むのは世界共通なのでしょうか。

アメリカの消費者が緊急事態に買い込むものは

スーパーの中で、トイレットペーパーが無いのはご紹介しましたが、続けて別のInstagramの投稿で、売れているものを紹介しています。

https://www.instagram.com/p/B9sLVtrH6o0/

売れていたのは冷凍ピザ、パン、水、牛乳、精肉、缶詰の豆やパスタソース、パスタなどでした。紹介した以外にも、消毒用の洗剤、洗濯洗剤、乾燥豆やカップ麺、幼児用のミルクなども随分と売れて棚が空いていました。

精肉の棚
水の棚
パンの棚

野菜などは売り切れているの?

野菜などの様子についても、別のInstagram投稿をしましたので紹介します。野菜は特に大きな変動は見受けられませんでしたが、バナナなどは売り切れていました。偶然売り切れだったのかもしれませんが、手軽に栄養が取れ、多少日持ちもするので、緊急時に買っておきたいものでしょう。また、玉ねぎも売れているのが見て取れました。こちらも日常的に必要で、日持ちもするので、緊急時に買っておきたいものなのかもしれません。

https://www.instagram.com/p/B9sMAuZHlQc/

3月15日(日)の深夜には、LAの市長がLA群のレストラン(持ち帰り、デリバリー除く)やジム、エンタメの施設などの営業を制限したことで、翌日からさらに食料品の買い込みが進み、混乱が見られます。

例えばこのショッピングパニックの最初のうちは、65歳以上の高齢者に対して一部のスーパーマーケットは開店の30分前に入店して買い物を出来るようにしていました。足が悪く、早く行動出来ない高齢者にはとっても優しい、社会的に良い事をしているなと感心しましたが、しかし、ショッピングパニックの激化によって、スーパーはこの高齢者優遇を辞めざるを得ない状況に陥ってしまったそうです。

マスクはやっぱりしないの?

買い物に来る人々やすれ違う車を見ると、人々はほとんどマスクを着用していません。高齢者は、感染をなるべく避けるためにマスクを着用しているのを見かけます。また、アジア系の人はマスクをしていることを見かけますが、周りの人が堂々としているのにマスクやゴーグルでカバーしている人は、アメリカの生活では逆に異常に、まるで感染しているかのように見えます

しかし、スーパーマーケットの入り口に設置されているカートなどの除菌用のシートは、いつも誰も使わないのに、今では無くなっていることもしばしばで、さらには使い捨て手袋を持参し着用して買い物をしている人を時々見受けるようになりました。

社会弱者に対する対抗策

日本でも銃が売れているという報道を見ると思いますが、なんで銃が?という質問をよくされるので、一つ例を挙げて説明したいと思います。

緊急事態になり、街の取り締まりが強化された事で、居場所を無くしたホームレスが誰かのガレージに入り込むというような事が起きています。実際、私の家のそばでもつい最近、若いホームレスが近所の庭に入り込み、警察が来る騒ぎがありました。

なぜそこまでピリピリするかというと、ホームレスには新型コロナウイルス感染者が多いのではないかと懸念されており、ホームレスが居場所を無くすことで逆に街をさまよい、新型コロナウイルスを拡散させるのではないか、という事が話題になっているのです。そして今日は逆に、日中は邪魔にならない程度に道にテントを張っても良い、という行政令が出たとニュースになっていました。街をさまよってウイルスを拡散しないでくれ、という事のようです。

ホームレス問題はとても複雑ですが、シェルターも容量いっぱいですし、経済の落ち込みによってさらにホームレスも増えるのではないでしょうか。

3月19日追記:自分を守るために銃を購入する理由と背景の一例として記載しましたが、人によって守る理由・目的はいろいろあると思いますので、ホームレス対策だけが銃の購入の理由では無いとご理解頂ければと思います。

小さな町のお店から大企業まで新型コロナウイルスに対する企業としての声明を出す

街のパン屋さんから大企業まで、私のメールボックスには各社どのように新型コロナウイルスに対応するか、という行動方針の声明メールが多数届きました。(下図:そのメールの例)

特別な事が書いてあるわけではありませんが、このように「自分・自社の考えをきちんと対外的に示す」というのは、移民・他民族国家のアメリカでは大切なんだという事を示す良い例だと感じました。もちろん、会社の専属弁護士からのアドバイスもあっての行動かと思いますが、こういったアクションは少し日本と違うかもしれません。このようなメールを個人的にもらう事でアメリカの人は安心をして、その会社に好感を持ち続けるという事が分かります。

図
例:ある大型収納用品店チェーンからのメール – CEOからのメールという形で、お店でお客さんや従業員に対しての感染拡大防止に努めるポリシーが書かれています。

まだまだ投稿していきます!

上記以外にもいくつかアメリカの現在の様子について、また日々変わる状況、本当のアメリカの社会の姿をInstagramに投稿しています!

新型コロナウイルスの影響で、海外調査や出張が難しくなっている方々にも、バーチャルではありますが出来るだけフレッシュな情報を提供出来ればと思っています。宜しければInstagramにコメントやいいね!を頂けると嬉しいです。

Interface in Designでは、2月よりInstagramを始めました。出来る限り、最新のアメリカ、ロサンゼルス状況をInstagramからタイムリーに投稿していければと考えています。

宜しければフォロー頂けると幸いです。

https://www.instagram.com/interface_in_design/

森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。

商品開発のための現地実態調査

イードの米国子会社・Interface in Design, Inc.は、どのような製品に関してもフレキシブルなスタイルで、アメリカをはじめとした世界各国で調査を実施することが可能です。例えば、出張せずに現地の状況を把握することも出来ます。

皆様の会社の商品企画や開発、デザイン部の方々が、現地向けの商品を開発する際の一助(マーケットの状況や、製品の使用状況などを通した仮説の抽出など)としていただけるはずです。

ご希望に応じてプレインタビューを加えたり、観察調査を加えるなどのオプショナルサービスも提供可能ですので、下記よりお問合せ下さい。