アメリカ・ロスアンゼルス出前事情

アメリカの出前といえば、ピザが有名ではないでしょうか。アプリ関連のビジネスが盛況なこのご時世、身近な人にアプリでどのようなフードデリバリーを使っているのか、ヒアリングしてみましたのでいくつかご紹介します。

  • 森原悦子
  • 2016年4月22日

アメリカの出前といえば、ピザが有名ではないでしょうか。映画やドラマでもその様子を見たことがある方も多いかと思います。アプリ関連のビジネスが盛況なこのご時世、身近な人にアプリでどのようなフードデリバリーを使っているのか、私の住むアメリカ・ロスアンゼルス周辺でヒアリングしてみましたのでいくつかご紹介します。

UBER EATS

UBER EATSのWebサイト。

以下のように、ロスアンゼルスでも特定の地域しかカバーしていませんが、UBERのデリバリーサービス、UBER EATSでは利用者がアプリを通してメニューを選び、オーダー。UBERがデリバリーしてくれるというサービスです。利用者の話によると、ほかのサービスと比較すると提携先が少ないということですが、「UBERがやっているサービス」というブランド性を感じるところがあります。

UBER EATSの営業エリアと営業時間。

EAT24

EAT24のWebサイト。

アメリカ版食べログのyelpによるフードデリバリーサイト、EAT24。

配達範囲も広く、yelpのお店の評価やレビューとも連携しているので、選びやすく、配達も早いと評判のサイト。また、チップも全部アプリ上の会計で載せられるので手間要らずなのも良い点です。ただ人気店では、ディナータイムは45分以上待つこともあるそうですが、並ばなくても良いのですから辛抱あるのみですね。

EAT24のスマートフォン・タブレットアプリの紹介ページ。

DOORDASH

DOORDASHのWebサイト。

2013年にスタンフォード大学の寮からスタートしたサービスだそうで、食のカテゴリーが色々とあって、ゲーム感覚の強いサイトで楽しい雰囲気が演出されています。

しかし、試しに弊社のあるトーランス市で検索した結果、思った以上に長いデリバリータイムが表示されました。(下記参照、1時間以上…)

また、おすすめのお店として表示されたのはチェーンのファストフードばかりでした。

これでは比較にならないので、UBER EATSのサービスエリアの一つであるサンタモニカで調べてみたところ、平日午後4時で平均40分程度の待ち時間でした。ちなみに、出前元はファストフードチェーンが半分ぐらい入っていて、セブンイレブンやCVS(ドラッグストア)なども含まれていました。

実際、デリバリーフィーが高いと聞いていたこともあり、食に限らずデリバリーを受け取りにいく代行サービス、という感覚の方がしっくり来るのかもしれません。

iPhone版DOORDASHアプリの初回起動画面。
DOORDASHアプリのレストラン検索結果画面。上位5店の待ち時間は、軒並み80分以上。

料理の下ごしらえデリバリーサービス

ちなみに、完成品の料理ではなく、プロのシェフが料理の下ごしらえをしたものを冷凍ボックスに入れてデリバリーしてくれるサービスの広告も、最近自宅のポストで何度か入ってきました。

写真左:Blue Apron、写真右:MUNCHERY
写真左:Blue Apron、写真右:MUNCHERY
App StoreのBlue Apronアプリ紹介画面。
App StoreのBlue Apronアプリ紹介画面。
iPhone用Blue Apronアプリ。
iPhone用Blue Apronアプリ。

このようなサービスでは、プロの栄養士が献立を作ってプロが調理(または下ごしらえ)をすることを、単なる出前とは一線を画すポイントにしていることが多いようです。ということは、栄養に気を使っている人がターゲットカスタマーなのかもしれません。

単に出前といっても、料理を作ったお店が配達までする、いわゆる伝統的な方法をはじめとして、完成品を受け取って届けることに注力したサービスから、調理を途中までしたものを冷凍させて配達するサービスまで、ここLAでも様々なスタイルがあります。

食事だけではなく、様々なデリバリーニーズにこたえるアプリサービス。地域の悩みを地域の人手で解決するというビジネススキームの根本は同じで、どう応用するか、どう見せるか? 本当に必要なのは何か? 欲しいところに手が足りているか? というところでしのぎを削っているというところだと思います。

編集部注

先日公開した記事ですが、インドネシア・ジャカルタのバイクタクシー配車サービス「GO-JEK」は、タクシー配車にとどまらず、フードデリバリー、マッサージ、イベント会場への送迎など、様々な体験を提供しています(「ジャカルタのバイクタクシーは何でも屋?」)。

商品開発のための現地実態調査

イードの米国子会社・Interface in Design, Inc.は、どのような製品に関してもフレキシブルなスタイルで、アメリカをはじめとした世界各国で調査を実施することが可能です。例えば、出張せずに現地の状況を把握することも出来ます。

皆様の会社の商品企画や開発、デザイン部の方々が、現地向けの商品を開発する際の一助(マーケットの状況や、製品の使用状況などを通した仮説の抽出など)としていただけるはずです。

ご希望に応じてプレインタビューを加えたり、観察調査を加えるなどのオプショナルサービスも提供可能ですので、下記よりお問合せ下さい。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。