ミレニアルズの気持ちにあった貯蓄アプリ

アメリカ人がショッピングに狂う、Black Fridayが近づいてきました。今回は、お買い物ではなく、逆の貯蓄について取り上げます。昨今、ミレニアルズの気持ちにあった貯蓄アプリが提供されています。どんな特徴を持つのか、幾つか紹介しながら考えていきます。

  • 森原悦子
  • 2015年11月20日

アメリカは11月26日はサンクスギビングデー(感謝祭)です。日本人にはなじみが薄い祝日ですが、アメリカ人にとっておそらく1番目か2番目に大切な休日で、家族が集まる大切な行事です。日本のお盆やお正月と同じぐらい大切な休暇といって間違いはないと思います。

サンクスギビングデーは11月の第4木曜と決まっていますが、その翌日金曜はアメリカ人の多くの人々にとっての一大ショッピングイベント、Black Fridayが待っています。最近では続く月曜がCyber Mondayと言われていてBlack Fridayが実店舗の買い物の大セールとするならば、Cyber Mondayはネットショッピングの大セールのチャンスです。

クリスマスや年末に向けてアメリカ中が買い物に狂う日ですが、最近は以前より若干落ち着いてきたのでは?とも言われているようです。経済の中心を占めるようになってきたミレニアルズ(2015年現在、18歳から34歳くらいの世代)はもちろん買い物も大好きですが、他のジェネレーションよりも貯蓄をする気持が強いといわれています。

ミレニアルズは資産作りもアプリを活用?

彼等の貯蓄の方法は、メガバンクに貯金をする、というような昔からある方法とは違う方法を取りはじめているようです。-それは、やはりアプリでした。ミレニアルズの気持ちにあった資産作り・貯蓄方法として、アプリを使ったサービスが沢山出てきていますが、そのいくつかをご紹介します。

ACORNS

ACORNS

クレジットカードやデビットカードを使うたびに端数をAcorns(例えば9.95ドルをお店で使ったら、10ドル使った事して、5セントをAcornsアカウントに移動される)。Bank of AmericaのKeep the Changeと類似していますが、このサービスは端数を投資するところがキーではないでしょうか。

Betterment

Betterment

年齢と収入を画面に入力、提示された5つの典型的な貯蓄(投資)ゴールから自分の目指すものに近いものを選び、そのゴールに向かって小さい金額から貯蓄(投資)する。

digit

digit

このサービスと自分の銀行口座とをリンクさせることで、アルゴリズムが収支をチェックしてその結果に応じて少額をdigitアカウントに移行して、その金額を貯蓄(投資)する。

STASH

STASH

5ドルという少額から多くの投資信託に投資できる。かなり堅いところに投資をするためリスクが少ない。

昨今のミレニアルズ向け貯蓄アプリの共通点

アプリを使って簡単セットアップ

どのサービスもアプリを使っていて、スマートフォンタブレット、スマートウォッチからのアクセスが可能であるのと、セットアップが簡単であるところが大きな特徴です。また、大切なのは無理のない金額、つまり少額から始められる貯蓄(投資)ばかりであること、またサービス料が無料もしくは少額であるのがポイントです。

誰にでも始められる投資

また、どれも従来の貯蓄のようにメガバンクがやっているものではないという事も、ミレニアルズにとっては気持が良い事なのかもしれません。ちょっとした旧社会に対しての反抗を感じます。逆にメガバンクのように誰にでもわかる保証・安心は提供できないので、使う方はリスクも考えなければいけませんが、少額であればあまり気にならないのではないでしょうか?また、投資先もかなり堅いところであったり、推移がリアルタイムで視覚的に確認できるところも使う気持にさせてくれる要素なのかもしれません。

アメリカのミレニアルズの多くは、学費のローンを抱えている人が多く、一度に沢山の出費は難しいですが、小さな金額から始められる事と、アプリを使ってリアルタイムに投資状況を確認でき、ちょっとしたゲーム感覚で始められることがサービスの普及を促進させるのではないでしょうか?

このように、経済のメインプレーヤーが代替わりをしようとしている今、人々はスマートフォンという小さなデバイスによって、生活が小さい所から大きく変わり始めているということを実感する一例ではないかと思います。

商品開発のための現地実態調査

イードの米国子会社・Interface in Design, Inc.は、どのような製品に関してもフレキシブルなスタイルで、アメリカをはじめとした世界各国で調査を実施することが可能です。例えば、出張せずに現地の状況を把握することも出来ます。

皆様の会社の商品企画や開発、デザイン部の方々が、現地向けの商品を開発する際の一助(マーケットの状況や、製品の使用状況などを通した仮説の抽出など)としていただけるはずです。

ご希望に応じてプレインタビューを加えたり、観察調査を加えるなどのオプショナルサービスも提供可能ですので、下記よりお問合せ下さい。

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森原悦子
著者(森原悦子)について
Interface in Design, Inc. COO/President。
武蔵野美術大学卒。インダストリアルデザイナーなどとして活躍後、旧イードに入社。定性調査やエスノグラフィーといった手法を得意とし、クライアントのグローバルな商品開発のコンサルティングリサーチを多く手がける。2011年8月より現職。