年末年始に読みたい、UXに関わる人におすすめの書籍10選
ユーザーの本質を理解するためにはさまざまな知見が必要です。そのような知見を広げる際に役立つ書籍をピックアップしました。すべてKindle版も出ていますので電子書籍派の方にもおすすめです。
融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論
タイトル:融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論
著者:渡邊 恵太
U-Siteの読者の皆様はご存じの方も多いかもしれません。「自己帰属感」というワードを用いて「気持ちの良いUI」とはどのようなものかを説いています。また著者が「設計の発想の本」と述べている通り、UIだけでなくアプリ、サービスを考えていくうえで重要な示唆を得ることができます。「観察から価値を抽出するデザイン手法が注目されている理由」について明らかにしてくれます。
今こそ読みたいマクルーハン
タイトル:今こそ読みたいマクルーハン
著者:小林 啓倫
マクルーハンの考え方の多くは60年代に発表されたものですが、今日のデジタル、ネット、コミュニケーションの特徴をとてもよく説明しており、現在の人々がどのような世界に生きているかを理解する事ができます。「メディア」「技術」を「人間の身体の拡張」と表現している考え方は、前述の「融けるデザイン」と合わせて読むと理解が深まります。
コンテンツの秘密
著者:川上 量生
「コンテンツ」の「本質」について、クリエイターとユーザーの両側面から考察しています。また情報やメディアの特性についても触れられており、コンテンツ製作者だけでなくコンテンツを扱う立場の人にとっても、役に立つ内容です。
こころの情報学
タイトル:こころの情報学
著者:西垣 通
現在は間違いなく「情報化社会」です。では「情報」とは何なのでしょうか。我々が普段扱っている情報の多くを「意味解釈の存在しない情報」であるとし、社会的動物であるヒトが他者との言語コミュニケーションを元に自身の環境世界を解釈していく上で扱う「時間的累積性を持った情報」とを分けて説明しており、情報の本質について理解を深めることができます。
面白くて眠れなくなる社会学
タイトル:面白くて眠れなくなる社会学
著者:橋爪 大三郎
ユーザーを理解するための調査手法の1つにエスノグラフィー調査があります。調査結果の分析を続けていくと社会学の領域に入っていると感じることもしばしばあります。あまり踏み込みすぎるとプロダクト/サービス開発から離れてしまうので一定のラインで止めておくことが多いですが、それでも社会学について一通り理解しておくことは視点を広げ、ユーザー理解の手助けとなります。
サービスサイエンスによる顧客共創型ITビジネス
著者:諏訪 良武、山本 政樹
サービスサイエンスとは「サービス」を科学的に分類・モデル化することでサービスの本質を理解し「顧客満足度」を高める仕組みを作るアプローチです。サービスそのものの成果だけでなくプロセス品質を高めることが顧客満足度にとって重要であり、そのためには顧客を正しく理解することが不可欠であるとしています。これは「人間中心設計」の思想と重なる部分も多くとても参考になります。
ハーバード・ビジネススクールが教える顧客サービス戦略
タイトル:ハーバード・ビジネススクールが教える顧客サービス戦略
著者:フランセス・フレイ、アン・モリス、池村 千秋 (訳)
質の高いサービスを顧客に提供するために必要なことを、多くの企業の事例を用いて説明しています。自社の顧客を単に「お客様」として扱うのではなく、顧客を「サービスを生み出すプロセスに参加している」ものと捉えている点は参考になります。また質の高いサービスを提供するためには組織の中に文化として定着させることも重要だとしており、サービスデザインの考え方とも共通します。
日本のデザイン――美意識がつくる未来
タイトル:日本のデザイン
著者:原 研哉
「デザインとは生み出すだけの思想ではなく、ものを介して暮らしや環境の本質を考える生活の思想でもある」と本書にあるように、単にスタイリングだけではない、ものを生み出す上で大切な視点を学ぶことができます。またホテルの品質を例に「経験デザイン」という考え方を紹介しています。これらは、UXと密接に結びついたものといえます。
美の構成学―バウハウスからフラクタルまで
タイトル:美の構成学―バウハウスからフラクタルまで
著者:三井 秀樹
人々は何をもって美しいと感じるのか、美しい造形とは何かについて、「構成学」という学問の観点から解説しています。機能主義が主流の現代デザインでは「装飾」が排除されがちですが「装飾」とは人間が本来持っている欲求のひとつであるとし、美的な快感が生まれる配置、構成、形体とはどのようなものかを述べています。
発想法―創造性開発のために
タイトル:発想法―創造性開発のために
著者:川喜田 二郎
最後に取り上げる書籍は「KJ法」でお馴染みの川喜田二郎氏著「発想法」です。付箋と模造紙を使ったKJ法はワークショップなどでよく利用されていますが、そのKJ法の解説書とも言える本です。KJ法は使い方を誤ると十分な効果を得られないケースもあります。本書にてKJ法の本質を理解した上で活用することをお勧めします。
終わりに
株式会社イードでは、ユーザーの本質を理解するためにさまざまな調査、分析を行っています。また調査をベースとしたアイデア発想の支援、ワークショップの運営も行っています。顧客理解、サービス開発のための調査をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
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2016年1月6日12時変更:『融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論』の紹介文で、「自己感」としていた部分を「自己帰属感」に変更いたしました。